管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
「毎日疲れが取れない・・・」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。冬と夏では疲労の原因は異なるため、季節に合った旬の食材で疲れにアプローチしていきましょう。
今回は、季節別の疲労回復レシピをご紹介します。おすすめの栄養素や食品、外食時やコンビニでのメニュー選びの簡単なコツも解説するので、おいしく疲れを吹き飛ばしていきましょう!
まずは、疲労回復のために積極的に摂りたい栄養素や食品をマスターしておきましょう。
良質なタンパク質は、必須アミノ酸をバランスよく含んでいるタンパク質です。体をつくる材料として、効率よく利用されます。体を動かすための筋肉や体の機能調節を行うホルモンもタンパク質が原料です。
必須アミノ酸は、体内で作り出せないため、食事でしっかりと良質なタンパク質を摂る必要があります。
ビタミンB1は、疲れたからだに必要なビタミンです。食事から摂取した炭水化物をエネルギーに変換する働きがあります。尿や汗で排出されやすく、体内に貯蓄できません。炭水化物に偏った食事を摂っていると、ビタミンB1はさらに不足してしまいます。
ビタミンB1の吸収を高める働きを持つ栄養素が、アリシンです。ぜひ、ビタミンB1を含む食品と一緒に摂りましょう。
ビタミンCは、疲労やストレスにより消耗されやすい栄養素です。ビタミンCは、体内で作り出せないので、不足しないようにしっかりと食品から摂取しましょう。
ビタミンCは、水に溶け出しやすいので、調理の際に減りやすい性質があります。しかし、いも類に含まれるビタミンCはでんぷん質に包まれているため、流出が少なく加熱調理をしてもビタミンC補給ができるでしょう。
エネルギーを作り出すのを促し、疲労の原因となる酸化ストレスを除去します。
クエン酸は、疲労回復効果に加えて食欲増進効果もあります。不足しがちなカルシウムやマグネシウム・鉄は不溶性ですが、クエン酸と一緒に摂ると水溶性になり、吸収しやすくなるのです。鉄不足からくる“だるさ”や“疲れ”にも効果的でしょう。
GABAは、ストレスを緩和する働きがあります。
季節によって疲れの原因はさまざまです。四季に合った簡単に作れるメニューで疲れを吹き飛ばしましょう。
春は、新しい仲間や職場・引っ越しといった環境の変化が多い季節です。さらに、気温の変化も加わり、心身が変化に対応できずに自律神経は乱れてしまいます。
とくに、メンタルの疲れが見られやすいです。春に旬を迎える疲労回復食材「長芋」でケアしましょう。
疲労回復におすすめの使用食材:長芋・納豆・タコ・酢
1.長芋は皮を剥いて千切りにし、きゅうりも千切り、カイワレ大根は根元を切っておきましょう。
2.タコは、薄く切ります。
3.納豆ドレッシングの材料をすべて混ぜ合わせましょう。
4.お皿に(1)の野菜を盛り、真ん中に(2)のタコをのせて、納豆ドレッシングをかけたら完成です。
夏は、暑さでたくさんの汗をかき、体力が消耗します。また、食欲が低下して、とくにビタミンB1・C・良質なタンパク質が不足しがちです。さっぱりと栄養補給できるレシピをご紹介します。
疲労回復におすすめの使用食材:豚肉・長ねぎ・梅干し
1.梅は、種を取り除いて細かくたたきます。長ねぎは、みじん切りにしましょう。ねぎ梅だれの材料をすべて合わせます。
2.レタスは、洗って食べやすい大きさにちぎり、きゅうりは千切りにしましょう。
3.鍋にお湯を沸かし、酒大さじ1(分量外)を加えます。
4.沸騰直前で豚肉を一枚ずつしゃぶしゃぶして、色が変わったらお皿に上げて冷ましましょう。(豚肉は、沸騰したお湯で加熱したり、冷水に入れるとパサついて硬くなりやすいので、加熱し過ぎない状態で余熱で火を通し、そのまま冷まします)
5.皿に(2)の野菜を盛り、野菜の上に(4)の肉をのせます。最後に(1)のねぎ梅だれをかけたら完成です。
秋の疲労は、「冷え」と「自律神経の乱れ」が一因です。夏にアイスや冷えたドリンクをよく摂取していると内臓が冷えます。また、暑い外気と冷房の効いた室内の寒暖差により自律神経は乱れて、秋口まで不調が続いてしまうのです。
食事で摂ったエネルギーの10%は、すぐに熱を発し、体を温めます。そのため、食事をしっかり摂取するのが重要です。
疲労回復におすすめの使用食材:玄米・かぼちゃ・ベーコン・玉ねぎ
1.かぼちゃは、種やワタを取り除いて1.5cm角に切ります。玉ねぎとベーコンはみじん切りに、マッシュルームはタテ4等分に切りましょう。
2.フライパンにオリーブオイルを熱し、軽く洗った玄米と玉ねぎ・ベーコンを入れ炒めます。
3.かぼちゃとマッシュルーム・白ワインも加えて炒め、アルコール分をとばしましょう。
4.ボウルに<A>の材料を入れて混ぜ、(3)に1/3量を加え、平らにならして蓋をして7分ほど煮込みます。
5.<A>のスープの残り1/2量を加え、軽く混ぜて、平らにならしてから再度7分ほど煮込み、さらに残りのスープをすべて加えて7分ほど煮込みましょう。
6.調製豆乳と塩を加えて3分煮たら、火を止め、粉チーズを加えて混ぜ合わせます。
7.器に盛り付け、ブラックペッパーとドライパセリをかけたら完成です。
冬の疲労感の一因は、室内外の寒暖差による自律神経の乱れによるものです。また、寒さで外出機会が減ると運動量も減るため、疲労物質が体に蓄積されやすくなります。
冷えによる血行不良も疲れやすさの一因です。冬は、アツアツの鍋でしっかりと体を温めましょう。
疲労回復におすすめの使用食材:豚肉・長ねぎ・にんにく・レモン汁
1.豚バラ肉は一口大に切り、塩をふっておきます。
2.白菜は一口大に切り、長ねぎは小口切り、にんにくは薄切りにしましょう。
3.水に鶏ガラスープの素を加え、混ぜます。
4.ねぎ塩だれ用の長ねぎはみじん切りにし、ボウルにねぎ塩だれの材料を入れて混ぜましょう。
5.鍋に半量の白菜・豚肉・長ねぎをのせ、もう一度繰り返し、(3)のスープをかけます。にんにくを散らし、ふたをして中火で加熱します。
6.煮立ったら弱火にして10分煮ましょう。
7.(4)のねぎ塩だれを回しかけ、ふたをして5分煮て、お好みでブラックペッパーをふったら完成です。
外食やコンビニの利用が多い方は、「おにぎりだけ」「菓子パンだけ」「ラーメンだけ」など糖質に偏りがちです。
糖質に偏った食事では、糖質からエネルギーをつくり出すビタミンB1を大量に消費してしまいます。エネルギー不足になると、疲れやすくなるので注意が必要です。
疲労を回復するには、栄養バランスが偏らないように「主食・主菜・副菜」の3つを揃うメニューを選ぶのがポイントです。
朝食で意識して摂りたいのは、脳のエネルギー源となる炭水化物です。加えてタンパク質食品をしっかりと摂れば、体が温まり、よいスタートをきれるでしょう。
「パン+ヨーグルト+バナナ」「おにぎり+ゆでたまご+ミニトマト」など品数を増やすように意識しましょう。トマトジュースや冷凍ブロッコリーといった、すぐに食べられる野菜をストックしておくと便利です。
体の代謝が活発なお昼は、ボリューミーな食事を摂取できます。外食の際は、単品メニューよりも定食がよいでしょう。単品を選ぶ場合は、サラダや小鉢をプラスして野菜を増やすように心がけます。
コンビニ弁当の場合は、幕の内弁当のように主菜がしっかりと入っていて、野菜も摂れるメニューがおすすめです。
消費エネルギーが少なく、脂肪をため込みやすい時間帯です。炭水化物を少なめにしてタンパク質源と野菜を積極的にチョイスしましょう。
忙しい毎日を送っていると、「おにぎりだけ」「パンだけ」といったように食事が炭水化物に偏りがちです。
炭水化物に偏ると、炭水化物をエネルギーに変換する“ビタミンB1”が大量に消費されます。結果、エネルギー不足になり疲れやすくなってしまうのです。
また、環境の変化や気温差に体がうまく対応できないと自律神経は乱れ、“だるさ”や“疲れ”を生じます。
外食やコンビニの利用が多い人も、メニュー選びのコツさえ覚えてしまえば、栄養バランスを整えるのは簡単です。ぜひ、季節に合ったレシピで、おいしく疲れを吹き飛ばしましょう。
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