監修医師矢花 武史
東北大学病院眼科所属。東北大学眼科助教。
プロフィール:東北大学医学部眼科教室・プロフィールページ
「目がショボショボする」「目が重い」といった症状を抱えていませんか?目の疲れは長時間のスマートフォンやパソコンの使用、デスクワークといった目を酷使する方に多くみられます。
目の疲れが蓄積されて慢性化すると、頭痛や肩こり・吐き気など全身にまで悪影響を及ぼすことに。
スッキリとした目で過ごすために、疲れ目の原因や生活スタイル・仕事環境を見直して対策する方法をご紹介します。
目のかすみや乾き・ピントが合わない・目の奥が痛むといった症状を感じた経験がある方は多いでしょう。
人は80%以上の情報を目から得ているといわれるほど、思っている以上に日々目を酷使しています。目の疲れを引き起こす原因を詳しくみていきましょう。
出典:「屋内照明ガイド」/社団法人照明学会編 電気書院 1978年
参照:「視覚は人間の情報入力の80%」説の来し方と行方/筑波技術大学人間の目は、もともと遠くを見やすいようにできていて、近くを見るときには目の筋肉である毛様体筋を緊張させてピントを調整しています。つまり、近くを見続けると筋肉を使い続けるため、目に負担がかかるのです。
画面や文字が小さいスマートフォン、パソコン・タブレットといったデジタルデバイスを見ている間や、細かい作業を行う際は目をあまり動かしません。
すると、筋肉が緊張し続けてピント調節機能が低下してしまいます。ピントがずれているまま物を見続ける状態になるため、まばたきの回数が減り、涙の出る量も減って目が乾燥してしまうのです。
まばたきの回数が減って目の表面を覆っている涙が蒸発すると、角膜がむき出しになります。涙の量が不足していると目に入った異物を洗い流せなくなり、異物が角膜を傷つけてしまいます。
本来であれば傷を自己修復する機能が働きます。ですが、ダメージが大きいと修復が追いつかなくなってしまい、結果として「物が見えづらくなる」「目が疲れる」といった症状を引き起こしてしまうのです。
スマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトはエネルギーが強く、一定方向に進まずに散乱する特徴があります。光がチラついて、まぶしさや目の疲れを感じやすくなります。
コンタクトや眼鏡は長年使い続けていると、いつの間にか度数が合わなくなっている場合があります。視力と度数が合わないまま使い続けると、見えづらさを調整しようとして目に負担がかかります。
室内外問わず、過ごしている環境から影響を受けて、目が疲れてしまう場合があります。
たとえば、以下の環境で過ごしている場合には、目に負担がかかりやすくなるため、注意が必要です。
目が疲れていても、軽い症状の場合には休息や睡眠によって自然に回復します。
しかし、休んでも疲れのとれない状態が続くと、目の痛みや充血、頭痛や肩こりといった目以外の症状を引き起こす眼精疲労に進行する場合があります。
酷くなると吐き気、気分の落ち込みや食欲不振など、全身にまで症状が広がってしまうのです。
頻繁に目が疲れると感じる場合には、生活スタイルや仕事環境に問題があるのかもしれません。疲れ目を予防する対策方法についてご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
日頃の生活スタイルを思い返してみて、改善点を見つけましょう。
パソコンやスマートフォンの画面に集中している間は、気づかないうちにまばたきの回数が減っています。目が乾燥しやすくなるため、意識的にまばたきをしましょう。
目のまわりの筋肉がほぐれると、疲れ目の予防につながります。遠くを見たり近くを見たり、目を左右に動かしたり、円を描くようにぐるっと回したり、眼球をしっかり動かす意識で目の運動を行いましょう。
睡眠時間が短くなると、その分日中に酷使した目を休める時間が減ってしまいます。十分な睡眠をとって目をリラックスさせましょう。
度数が合っているコンタクトレンズでも、長時間の使用によって目が乾燥してドライアイを生じやすくなります。目が乾いていると感じたら眼鏡を使い、目に負担がかからないように調整しましょう。
目から紫外線をできるだけ吸収しないように、日差しの強い季節には日傘や帽子、UVカット効果のあるサングラスを着用しましょう。
照明を明るめに設定して、読書や細かい作業で明るさが足りないときには、手元を照らすライトを使いましょう。
デジタル社会の今、オフィス環境が目に与える影響は大きくなっています。とくにパソコンを長時間使う作業の場合は、目の負担を減らすため工夫しましょう。
パソコン作業をするときは、1時間に1回10~15分程度の休憩時間をとり、さらに1~2回小休止をとりましょう。
休憩時間にはスマートフォンやパソコンの画面を見ずに、遠くを眺めたり目を閉じたりして目を休めてください。
ホットアイマスクや蒸しタオルでじんわり温めるのも、疲れ目の予防に役立ちます。
パソコンでの作業時間が長い場合には、以下を参考にパソコンやデスク環境を整えましょう。
スマートフォンやパソコンを長時間使用していると、まばたきの回数が減って目が乾き、目が疲れやすくなります。
目の疲れを放っておくと症状が進んでさらなる不調を引き起こし、全身にまで悪影響を与える場合があるため、日頃から疲労をためない工夫が必要です。
「生活スタイルやオフィス環境を見直して整える」「目を酷使する作業が長時間続く場合は忙しくてもこまめに休憩をはさむ」といった点を心がけましょう。
ホットアイマスクや蒸しタオルで目を温めると、固まった筋肉がほぐれやすくなります。それでも目の疲れがとれないときには目薬やサプリメントなどで補い、早めに疲れ目のケアをしましょう。
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