医療ライター・薬剤師藤野紗衣
ドラッグストアや精神病院、一般病院に薬剤師として勤務。2022年よりフリーライターとして活動。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター1級。マクロビオティック料理とウォーキングを欠かさない生活を心がけている。
抗原検査キットの見方や陰性、偽陰性の違いを正しく理解するのは、ご自身と周囲を守るための重要な対策のひとつです。抗原検査キットは、判定ラインとコントロールラインの2か所の表示で結果を確認します。
判定結果が陰性でも、実際には感染している偽陰性のケースもあるため注意が必要です。陽性の結果にならなくても、体調不良があるときは自宅で安静にし、必要に応じて医療機関を受診してください。不要な外出も控えましょう。
抗原検査キットには、大きく分けて2つの種類があります。新型コロナウイルスの抗原の有無のみを調べるタイプと、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの2つのウイルス抗原を同時に検査できるタイプです。どちらのタイプでも、一般用検査薬として厚生労働省の承認を取得した体外診断用医薬品を選ぶのが重要です。
検査キットの結果は、本体にある判定部にあらわれるラインで確認します。製品によって表示の場所や意味が異なるため、必ず使用するキットの添付文書(説明書)を手元に用意し、見方を確認しながら判定しましょう。
多くのキットでは、判定ライン(T)とコントロールライン(C)の2か所の表示で判定結果を確認します。コントロールラインと判定ラインの両方に線が認められれば、陽性です。
同時検査キットも、ラインの有無で判定します。ウイルスごとに判定ラインが分かれているため、確認する場所を間違えないよう注意してください。
判定ラインの色が薄いケースでも、線が肉眼で確認できれば陽性と判定されるケースが一般的です。また、ラインの一部が欠けているときも、ラインとして認識できれば結果は有効とされます。ただし、指定の判定時間を守るのが大切です。指定の時間(例:15分)を過ぎてから浮き出たラインや、変化したラインは無効となるため、注意しましょう。
添付文書の判定例に従い、判断が難しいときは再検査や医療機関への相談をご検討ください。
抗原検査キットを使用する際、注意が必要なのは陰性と偽陰性の違いです。また、陰性の結果になっても、ウイルスに感染していないのが確定するわけではありません。言葉の意味を正しく理解するのが、適切な行動につながります。
陰性とは、あくまで検査をした時点の検体の中に、キットが検出できる量のウイルス抗原が含まれていなかったのを示す結果です。そのため、体内にウイルスが全くいない(非感染)状態を100%証明する判定ではありません。陰性と判定される場合でも、手洗いやマスク着用といった感染対策は継続する必要があります。
偽陰性とは、実際にはウイルスに感染しているにもかかわらず、判定結果が陰性と出てしまう状態を指します。偽陰性が起こる主な原因は、ウイルスの性質や不適切な採取方法が挙げられます。たとえば、発症直後で体内のウイルス量がまだ少ない時期や、回復期にある場合です。鼻腔のぬぐい方が不十分で、粘液がしっかり採取できていないときも、偽陰性になる可能性があります。
一方で、製品の不具合が疑われる場合は、添付文書の案内に従って販売元やメーカーに相談してください。
また、抗原検査キットによって検出感度に違いがあるため、偽陰性になる確率は使用する製品や条件によって異なると考えられます。
検査キットの検査精度を保ち、より正確な判定結果を得るためには、適切な製品選びと正しい使い方が欠かせません。手順を省略せず、添付文書の記載通りに検査するのが、偽陰性のリスクを減らすために重要です。
購入の際は、厚生労働省によって承認された「一般用医薬品(第1類医薬品)」を選びましょう。薬剤師が管理・販売しており、購入時に専門家から使い方の説明を受けられるため、適切に使用できます。
検査のタイミングは、咳や発熱の症状が出た日を1日目とし、2日目以降がよいとされています。ウイルス量が少ないと、正しく検出されない可能性があるためです。インフルエンザにかかった場合、抗インフルエンザ薬の服用は発症から48時間以内での開始が推奨されているため、注意して体調をみていきましょう。
早めに検査して陰性だったケースでも、翌日以降に改めて検査するなど、複数回確認するのをおすすめします。
検体採取は判定結果を左右する重要な工程です。鼻腔ぬぐい液を採取するタイプは、綿棒を鼻の穴から指定の深さまで入れ、鼻腔の壁(粘膜)に沿って数回回転させ、粘液をしっかりと採取してください。鼻の中が乾燥していると採取が難しい場合もあります。具体的な採取方法は製品ごとに異なるため、添付文書に従ってください。自己採取が不安な方は、医療機関の受診を検討しましょう。
キットに含まれる反応液は温度や湿度の影響を受けやすいため、高温多湿を避けて保管しましょう。冷蔵庫で保管していた場合は、使用前に常温に戻してから検査します。反応を阻害する要素を排除するのが大切です。
判定結果が陽性であっても陰性であっても、体調不良があるときは行動に注意しましょう。判定結果だけを見て通勤・通学したり、無理して外出したりするのは避けてください。
陽性反応が出た場合は、医療機関に連絡のうえ受診方法を確認してください。とくに重症化リスクが高い方や、症状が重い・つらいと感じるときは早めの相談が重要です。やむを得ず自宅療養するときも、家族への感染を防ぐための隔離や換気などを行い、周囲への配慮を十分にしましょう。
陰性であっても、ウイルスに感染していないのが確定したわけではありません。偽陰性の可能性があります。発熱や咳などの症状がある間は、マスクの着用・手洗い・不要不急の外出を控えるといった感染対策を続けてください。症状が悪化したり、改善が見られなかったりするときは、判定結果にかかわらず医療機関に相談するのをおすすめします。
発熱時は病院受診が原則ですが、休日や夜間は休診のため、すぐに診てもらえない可能性があります。新型コロナウイルスやインフルエンザへの感染が疑われる場合は、一般用の検査キットでの確認が便利です。ただし、発熱後に買いに行くと、体への負担が大きくなるだけでなく、周囲に感染を広げる可能性も否定できません。万が一の事態に備えて、元気なうちから事前に検査キットを用意しておきましょう。
年末年始・お盆・ゴールデンウィークといった大型連休は、多くの病院が休診になります。そのため、急な発熱や喉の違和感があっても、かかりつけ医をすぐに受診できない可能性が高いでしょう。休日診療を行っている病院を探す必要がありますが、自宅から遠かったり、非常に混雑していたりするケースも少なくありません。
体調が悪い中で、受け入れてくれる病院を探し回るのは、心身ともに大きな負担です。とくに感染症が流行している時期は、病院が見つかってもすぐに受診できないケースがあります。
関連記事:連休中の急な体調不良で困ったとき病院はどうする?医療機関の探し方や受診の判断基準・注意点とは
新型コロナウイルスやインフルエンザの感染が気になる場合、抗原検査キットは状況を把握するための一助となります。しかし、症状が出てから検査キットを買いに行く行為は、自分にとっても周囲にとっても大きなリスクになるでしょう。高熱や激しい倦怠感がある中、ドラッグストアまで移動するのは、肉体的に非常に過酷です。無理な外出は体力を奪い、回復を遅らせる原因になりかねません。
さらに、移動中や店内で他人にウイルスを移してしまう懸念もあります。店舗には免疫力の低い高齢者や妊婦なども訪れるため、意図せず感染を広げてしまう事態は防がなければなりません。急な発熱で困らないために、健康なうちに備えておきましょう。
体調不良時に備えて、事前に検査キットを購入しておくのがおすすめです。インターネット通販を活用すれば、自宅にいながら誰とも顔を合わせずに検査キットを入手できます。ドラッグストアだと薬剤師と対面して説明を受ける必要がありますが、通販ならネット上の問診で購入可能です。事前準備しておけば、発熱後に外出せずに済み、負担を減らせられるでしょう。
検査キットを通販で購入する場合、注文してから手元に届くまでに通常2~3日程度の日数がかかります。発熱してから注文するのでは間に合わないため、体調に不安がない今のうちに手配を済ませておきましょう。救急箱に常備しておけば、いざというときに役立ちます。
なお、検査キットは「研究用」ではなく、国の承認を受けた「第1類医薬品」を選んでください。「研究用」と表記された製品は性能が確認されておらず、正確な判定ができない可能性があります。正しい結果を得るために、承認された医薬品を用意しましょう。
厚生労働省/新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報
新型コロナウイルスやインフルエンザに対応した一般用抗原検査キットとして、興和が用意している『アンスペクトコーワ』があります。種類は2つあり、どちらも国が承認した「第1類医薬品」です。
インフルエンザも同時に調べたいか、痛みの少ない唾液で検査したいかによって適したキットが異なります。それぞれの特徴を理解し、自身のニーズに合わせて選びましょう。
| 商品名 | アンスペクトコーワW 【第1類医薬品】 | アンスペクトコーワ SARS-CoV-2(一般用)【第1類医薬品】 |
|---|---|---|
| 商品 |
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| 特徴・選び方 | 一度に調べたい派 | 痛くないのがいい派 |
| こんな人におすすめ |
・新型コロナかインフルエンザかわからない ・検査は一度で済ませたい ・鼻の検査に抵抗がない |
・鼻に綿棒を入れるのが怖い(子供など) ・痛みを伴わずにチェックしたい ・まずは新型コロナだけ確認したい |
| 検査できるウイルス | 新型コロナ&インフルエンザA/B型(同時検査) | 新型コロナのみ |
| 検体採取の方法 |
鼻腔ぬぐい液 (鼻の穴に綿棒を入れる) |
唾液 (唾液に綿棒を浸す) |
| 判定までの時間 | 約15分 | 約15分 |
| 検査可能回数 | 1回 | 1回 |
| 使用期限 |
24ヶ月(2~30℃で保管) ※使用期限は外箱に記載 |
使用期限は24カ月(2~30℃で保存) |
| 区分 | 第1類医薬品 | 第1類医薬品 |
アンスペクトコーワWは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスA・B型を一度の検査で同時に調べられる検査キットです。発熱や喉の痛みといった症状が似ている両方の感染症について、15分程度で判定結果を確認できます。
検査方法は鼻の中に綿棒を入れてぬぐうだけで、難しくはありません。検体採取が一度で済むため負担を抑えられ、結果確認までの時間短縮にもつながります。
アンスペクトコーワ(一般用)は、唾液を採取するだけで新型コロナウイルスの抗原を確認できる検査キットです。鼻の奥まで綿棒を入れる必要がないため、痛みに敏感な方や鼻での検査に抵抗がある方でも、無理なく検査を進められます。心理的なハードルが低く、手軽に感染の有無を調べたい方におすすめです。
ただし、検査できるのは新型コロナウイルスのみなので、インフルエンザの検査には対応していません。
第1類医薬品の抗原検査キットによる検査結果は、感染の有無を判断するための補助的な手段であり、医師による確定診断を行うものではありません。また、ネット通販でも薬剤師の確認が必須となるため、スムーズに入手できるよう注意点を把握しておきましょう。
抗原検査キットの結果はあくまでセルフチェックの参考情報であり、医師による確定診断とは異なります。検査で陰性が出たとしても、検体に含まれるウイルス量が少ないなどの理由で検出されないケースがあるため、感染していないと断定はできません。発熱や咳といった症状がある場合は、結果にかかわらず医療機関への受診を検討しましょう。
また、症状がない人が「自分は陰性だ」と証明する目的で使うのは推奨されていません。無症状の段階では、正確な判定が難しいためです。検査キットは体調が悪いときに、次の行動を決める判断材料として活用しましょう。
第1類医薬品である抗原検査キットは、ネット通販であっても薬剤師による情報提供と確認が義務付けられています。 したがって、注文ボタンを押しただけでは手続きが完了しません。多くの場合は店舗から問診メールが届き、回答後に薬剤師からの『使用承諾メール』に返信する必要があります。確認作業を放置すると、商品は発送されず自動的にキャンセルされる場合があるため注意しましょう。
体調の急変は前触れなく訪れます。昨晩までは元気だったのに、朝起きたら高熱が出ているといった事態は、誰にでも起こり得ます。
しかし、感染症のニュースが増えてから準備を始めると、注文が殺到して品薄になったり、配送が遅れたりする懸念があります。
本当に必要なタイミングで手元にない状況を避けるためにも、在庫がある今のうちに家族構成や生活状況に応じて、必要数の確保を検討しましょう。
抗原検査キットは、体調の変化に備えてあらかじめ購入し、自宅に常備しておくと、いざというときにスムーズに検査できます。高熱が出てから販売店を探して出歩くのは体力的につらく、周囲への感染リスクも高めてしまうためです。また第1類医薬品である抗原検査キットは、休日など薬剤師が不在の時間帯には、購入できない可能性もあります。万が一のときでも自宅で検査できる体制を整え、一年を通して感染対策を心がけましょう。
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