監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
DHAとEPAは健康維持に役立つ脂質として知られています。青魚に多く含まれる脂質として知られているため、耳にしたことがある、興味がある人も多いのではないでしょうか。DHAやEPAは、オメガ3脂肪酸として厚生労働省で設定している食事摂取基準があります。基準をクリアするためには、1日の目安量や上限、多く含まれる食品や効率的にとる方法、注意点についての確認が大切です。記事を参考に食生活に役立ててくださいね。
はじめに、DHA、EPAとはどのような栄養素か、成分の特徴や分類について解説していきます。
DHAとは「ドコサヘキサエン酸」、EPAは「エイコサペンタエン酸」の略称で、人が生きていくうえで大切な役割のある栄養素です。人の体内では作られない「必須脂肪酸(ひっすしぼうさん)」の一種で、食べ物から摂取する必要があります。
「脂肪」というと美容や健康にはよくないイメージですが、ふたつの成分は私たちの体に欠かせない成分なのです。
脂肪酸は体のエネルギー源として利用され、組織を正常に機能させる役割があります。分子構造の違いにより、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。
飽和脂肪酸はおもに動物性の脂肪に含まれ、常温では固形です。いっぽう不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に含まれ、常温では液状です。
「不飽和脂肪酸」は多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸に分類され、多価脂肪酸はオメガ6系やオメガ3系に分類されます。DHAとEPAはオメガ3系です。一価不飽和脂肪酸はおもにオメガ9系ですが、オレイン酸から産生されるミード酸は多価不飽和脂肪酸であることがわかってきました。ミード酸は必須脂肪酸が不足したときに産生されます。
脂肪酸の分類をご覧ください。
オメガ3系(n-3系)脂肪酸は体に欠かせない栄養素であり、厚生労働省では摂取基準を設定しています。1日あたりの摂取量の目安、摂取量上限をみていきましょう。
DHAとEPA、α-リノレン酸を含むオメガ3系(n-3系)脂肪酸の摂取基準として設定しています。表は成人の男女別の摂取基準です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では摂取量の上限は設定されていません。とはいえ、摂取しすぎはよくありません。食事全体のバランスが大切です。
魚に含まれるイメージの強いDHAとEPAですが、他にどんな食品に含まれているのでしょうか。
肉類では、クジラの皮に多く含まれています。しかし実際に食する機会は少ないでしょう。DHAは豚肉(肩、脂身、生)で67.0mg、鶏卵(全卵・生)で72.0mg、EPAは牛肉(もも)で20.0mg、鶏卵(全卵・生)は1.0mg含まれています。肉と卵だけで1日の摂取量目安をクリアするのは難しいと言えるでしょう。
(※数値は100gあたりの含有量)
魚は健康維持に役立つ食品ですが、日本人の摂取量は減少傾向です。
令和3年度の水産白書によると、食用魚介類の1人1年あたりの消費量は平成13年度をピークに減少し、平成23年以降は肉類の消費量を下回っています。
魚介類の価格の高さや調理の手間、食べたい魚介類が入手しにくい、調理方法を知らないなどの理由で消費者が魚介類を購入しないと分析されています。
参考:水産庁 令和3年度水産白書 水産の動向 水産物消費の状況
DHAとEPAは青魚に多いイメージですが、実際どうなのでしょうか。魚介類100gあたりの含有量の上位を見てみましょう。
DPAやEPAを効率的に摂取するために、おさえておきたいポイントをまとめました。ぜひ参考にしてみてくださいね。
DHAやEPAは一度に大量に摂取するのではなく、毎日のこまめな摂取が推奨されています。100gあたり1000mg(1g)以上含まれ、スーパーで購入しやすい魚を紹介しましょう。
値段を考えると「まぐろなら赤身でもいいのでは」と思われる方もいるのでは。
成分量をくろまぐろで比較してみたところ、100gあたりの脂身にDHAは3200.0mg・EPAは1400.0mg含まれています。いっぽう赤身には、DHAは120.0mg・EPAは27.0mgでした。オメガ3系脂肪酸でみると、くろまぐろ脂身100gには5.81g・赤身では0.17gと大きな差があります。赤身で基準量を摂取しようとすれば、大変な量を食べる必要があるのです。
DHAやEPAを効率的に摂取するために、魚の調理方法や食べ方で工夫できるポイントを紹介します。
DHAやEPAは酸化しやすく、加熱すると脂分が流れ、栄養分も流れ出てしまいます。栄養を効率的に摂取するためには、生で食べるのがベストです。刺身やなめろう、カルパッチョにして食べるといいでしょう。とくに旬の魚は脂がのって栄養面や味にすぐれているため、おすすめです。
グリルを使用して焼き魚にすると、脂は流れ落ちてしまいます。その脂に大切なDHAやEPAが含まれているのです。無駄なく栄養をとるには汁ごと食べられる調理法がおすすめです。ホイル焼きや煮魚、照り焼きにすると汁やタレごと食べられます。臭みが気になる時は、しょうがや梅干しを加えてみましょう。
簡単に済ませたい時や魚が購入できない時は、缶詰の利用も方法のひとつ。水煮缶や味噌煮、かば焼き缶詰は手軽なアイテムです。
そのまま食べてもよいですが、ちょっとの手間を加えアレンジするだけで、立派な一品になります。缶詰は汁に栄養が溶け出しているので、汁ごと使用してください。
例えば、肉の代わりに、さばの水煮缶を利用してカレーにする「さばカレー」はいかがでしょうか。こどもから大人まで好まれるレシピです。
DHAやEPAを効率的に摂るために、魚を調理する際には、注意したいポイントがいくつかあります。
魚は「生」で食べるとDHAやEPAを効率的に摂取できます。しかし、魚介類にはアニサキス(幼虫)の寄生している場合があり、生きたまま体内に入ると食中毒の原因となる可能性があります。原因になりやすいのは、さば・さんま・あじ・いわし・ひらめ・かつお・さけの刺身と、冷凍処理をしていないシメサバです。
魚の調理は次のポイントを守るようにしてください。
魚の一部は、自然界にある食物連鎖により水銀が取り込まれています。魚の食べ方により、おなかの中の赤ちゃんに影響を与える可能性があるとされています。心配な人は、妊婦健診で医師や助産師に相談するようにしましょう。
私たちの体を構成する細胞膜には脂質が必要なため、良質な油を選ぶ意識が大切です。体型の変化や健康が気になり始める40代からは、自身の目的に沿った油の摂取を心がける必要があります。まずは油の役割や種類ごとの特徴を理解しておきましょう。
外食や加工食品の利用が増え、脂質を摂取する機会が増えた結果、体脂肪や血中脂質のバランスが乱れやすくなりました。しかし、油はエネルギー源として欠かせない栄養素です。肥満につながるイメージがあり避ける方もいますが、細胞膜の材料として関与しているため、健康維持に脂質は欠かせません。そこで、中性脂肪や悪玉コレステロール値が気になる方に利用されるケースの多い、良質な油に注目が高まっています。
油は構成する脂肪酸によって性質が異なり、体への影響も変化します。それぞれの特徴を理解して使い分けましょう。
トランス脂肪酸は健康リスクが高いため、摂取は控えめに。飽和脂肪酸は大切なエネルギー源ですが、摂りすぎは禁物です。反対に積極的に摂りたいのは、効率的にエネルギーに変換される中鎖脂肪酸。また悪玉コレステロール値を下げる機能が期待できるオメガ3系脂肪酸、オメガ9系脂肪酸もおすすめです。オメガ6系脂肪酸は必須脂肪酸ですが、摂りすぎると健康を損なう原因にもなるので適量を心がけましょう。
機能性表示食品として販売されている主な油は、中鎖脂肪酸、EPA・DHA、α-リノレン酸などです。体脂肪や悪玉コレステロール値の低下など、種類によって役割が異なります。自身の悩みに合わせて使い分け、健康維持に役立てていきましょう。
中鎖脂肪酸は、体脂肪や内臓脂肪が気になる方に利用されることが多い油です。摂取した際の分解スピードが速く、短時間でエネルギーに変わる性質を持ちます。また、体脂肪や内臓脂肪、皮下脂肪を減らす、体脂肪率を低下させる機能が報告されています。
無味無臭で料理の味を邪魔せず、使いやすいのも嬉しいポイント。ただし、加熱すると煙が出やすいため、飲み物やサラダに混ぜて使いましょう。
EPAやDHAは、血中の中性脂肪値を低下させる機能が報告されているため、健康診断の結果が気になる方に向いています。体の中では十分に作り出せないため、意識して摂取しましょう。
EPAやDHAは青魚に多く含まれますが、魚が苦手な人は、精製されたオイルやサプリメントといった機能性表示食品で取り入れる選択肢もあります。ただし、酸化しやすい性質があるため、空気に触れにくい工夫がされた製品を選ぶとよいでしょう。
悪玉(LDL)コレステロール値の低下をサポートしたい場合、α-リノレン酸を含むアマニ油の摂取を意識する方もいます。α-リノレン酸は体内で合成できない必須脂肪酸であるため、食事から積極的に摂取しましょう。
ただし、熱を加えると栄養素が損なわれてしまいます。サラダや納豆などに直接かけて食べるとよいでしょう。毎日小さじ1杯程度を目安に取り入れ、健康習慣のきっかけにしてみてください。なお、酸化が進むと品質が劣化しやすいため、酸化を防げるシームレスカプセルなどを選びましょう。
油の酸化を抑えながら、場所を問わず摂取できる点がシームレスカプセルの利点です。アマニ油や魚油に含まれる栄養素は酸化に弱いですが、継ぎ目のないカプセル構造なら空気との接触を抑えられます。
利便性の高さも魅力であり、個包装のためカバンに入れて外出先へ自由に持ち運べます。飲みやすい小粒で計量の手間もなく、水でサッと飲むだけで済むため、忙しい毎日でも負担になりません。また液状の油にありがちな味や香りを感じにくく、油が苦手な人でも無理なく続けられるでしょう。
健康状態によって、人それぞれ適した油が異なります。内臓脂肪や悪玉コレステロール値など、悩みに合わせた選択が大切です。複数を併用する際は脂質の摂りすぎに注意してください。
機能性表示食品には、中性脂肪やコレステロール、体脂肪への機能が科学的に報告されたシームレスカプセルのアイテムがあります。成分ごとに期待できる機能が異なるため、まずは特徴を把握してみてください。
| 商品名 | 商品 | 分類 | 主成分と期待できる機能 | おすすめの人 | 内容量 | 1日摂取目安量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| EPA・DHAシームレスカプセル |
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機能性表示食品 | EPA・DHA:血中の中性脂肪値を低下させる | 魚を食べる機会が少なく、血中脂質が気になり始めた人 | 111.0g(1包3.7g×30包) | 1包(3.7g) |
| アマニ油(α-リノレン酸)シームレスカプセル |
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機能性表示食品 | α-リノレン酸:血中の悪玉(LDL)コレステロール値を低下させる | お肉や揚げ物が好きで、悪玉コレステロール値が気になる人 | 78g(1包2.6g×30包) | 2包(5.2g) |
| MCTシームレスカプセル |
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機能性表示食品 | 中鎖脂肪酸(オクタン酸、デカン酸):BMIが高めの方の体脂肪や内臓脂肪や皮下脂肪を減らす、体脂肪率を低下させる | 健康診断の数値が気になり、体型を整えたい人 | 93g(1袋3.1g×30袋) | 1袋(3.1g) |
※本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。
※本品は、疾病の診断、治療、予防を目的にしたものではありません。
※食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
EPA・DHAやアマニ油といったオメガ3系脂肪酸と中鎖脂肪酸(MCTオイル)は、併用可能です。目的に応じた栄養補給の選択肢として利用されています。
ただし、脂質の過剰摂取には十分な注意が必要です。一度に多くの量を摂ると、お腹の不快感やお腹がゆるくなる場合があります。体調に合わせて日替わりで使い分けるなど、工夫して取り入れましょう。
機能性表示食品は医薬品とは異なり、「食品」に分類されます。健康サポートに役立ちますが、病気の治療を目的に使う薬ではありません。広告の断定的な表現を鵜呑みにせず、正しい知識を持って、日々の生活を整える補助として活用しましょう。
機能性表示食品は病気を治す医薬品とは異なり、あくまで健康を維持するための「食品」です。医薬品は病気の治療や予防を目的に用いられ、国の厳しい審査を経て承認されます。一方、機能性表示食品は事業者の責任において、科学的根拠を届け出た製品です。日常生活における健康の維持や増進を助ける役割を担います。
機能の内容は、パッケージを確認してみましょう。中性脂肪やコレステロールなど、気になる指標がある場合は、目的に合う製品を選ぶと健康管理により役に立ちます。正しい知識を持ち、バランスのよい食事にプラスする形で活用しましょう。
※参照:健康食品と医薬品の違い ~効果や品質の違い/消費者庁
健康食品を選ぶ際は、「安心・安全」といった広告表現に惑わされないようにしましょう。含まれている成分や摂取の仕方、体質によっては、思わぬ健康被害が起こる可能性もあります。キャッチコピーだけで判断せず、成分量や摂取目安、注意事項をよく確認しましょう。
とくに、持病のある方やアレルギーを持つ方は注意が必要です。「健康に良さそうだし、食品だから問題ない」と安易に判断せず、きちんと医師に相談しましょう。
機能性表示食品の油を生活に取り入れる際は、摂取するタイミングや日頃の習慣も意識しましょう。ちょっとした心がけで、健康を保ちやすくなります。
機能性表示食品は食品であるため、医薬品のように摂取するタイミングが定められているわけではありません。一般的には、食事中または食後の摂取が取り入れやすいとされています。脂溶性食品の場合は、油に溶けやすい性質を持つため、食事に含まれる脂質と一緒に取り入れるとよいでしょう。
健康的な体づくりには、機能性表示食品に頼り切るのではなく、栄養バランスの取れた食事と適度な運動が不可欠です。とくに食生活は、主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスを。適切なエネルギー量の摂取に加え、意識的に体を動かしてこそ、健康維持につながります。不足しがちな成分を補う補助的な位置づけとして活用しましょう。安易に機能性表示食品へ依存せず、ライフスタイル全体を整える意識が大切です。
10年後の自分を健やかに保つには、目的に合わせた油選びが大切です。「とりあえず」や「なんとなく」で選ぶのではなく、自身の健康管理の目的に合っているかを検討しましょう。食事バランスと運動を基本に、機能性表示食品を上手に活用すれば、無理のない健康管理を意識するきっかけになります。食事に良質な脂質を取り入れる習慣を続け、毎日を元気に過ごしましょう。
オメガ3系脂肪酸のDHAやEPAは、青魚に豊富に含まれています。しかし、魚にかかる調理の手間や、肉を好む人が増えていったため、日本人の魚ばなれが進んでいます。
必要な栄養素をしっかりとるためには、調理方法を工夫したり、缶詰を利用しておかずを作るなどして、毎日の食事で魚を食べましょう。
ただ、摂取量の目安をクリアするには、たくさんの量の魚を食べなければなりません。
たくさん食べられない人や魚が苦手な人は、サプリメントを利用し、不足しがちな栄養を補給する方法もあります。
また、DHA・EPAには血中の中性脂肪値を低下させる働きがあり、中性脂肪が気になる方に適しています。バランスのよい食事を基本とし、サプリメントのサポートを受け、健康な生活を送りましょう。
DHAとEPAは中性脂肪やコレステロールを減少させる効果があります。私たちの健康を維持していく上で大切な脂質ですが、近年ではDHAとEPAが多く含まれる魚の摂取量が減少しているため、不足しがちな方も少なくありません。
食事から十分なDHAとEPAが補えない場合はサプリメントを活用するのがお勧めです。
ただし、摂り過ぎには注意しましょう。
特にEPAは血液をサラサラにする効果が高く、過剰に摂取すると出血したときに血が止まりにくくなることも。米国食品医薬品局では、DHAとEPAをサプリメントから摂取する場合は一日で2g以上を摂取しないように警告しています。
健康によいといっても摂り過ぎは禁物です。食事内容も考慮して、サプリメントの摂り過ぎには注意してください。
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