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妊娠糖尿病によるママや赤ちゃんへの影響はある?健康に過ごすために早期発見と適切な治療の相談を

おむつ・おしりふきDIAPER
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2025/12/17

妊娠糖尿病は、ママと赤ちゃん双方に影響を及ぼす可能性のある病気です。帝王切開率の上昇や肩甲難産、巨大児といったリスクが高くなります。妊娠糖尿病でない方と比べると、ママ・赤ちゃん共に、将来糖尿病やメタボリックシンドロームになる可能性が高いとわかっています。ママと赤ちゃんがよい状態で過ごすためには、食事療法や運動療法、薬物療法で血糖値を良好に保つのが重要です。リスクや治療について具体的にみていきましょう。

 

妊娠糖尿病のママ・赤ちゃんへの影響

妊娠糖尿病により血糖値の高い状態が続くと、ママと赤ちゃんに悪影響をもたらす可能性があります。それぞれへの影響をみていきましょう。

ママへの影響

ママには以下の影響を及ぼす可能性があります。合併症を予防するために、血糖を適正な状態にコントロールするのが重要です。

<ママへの影響>


  • ・ 早産
  • ・ 羊水過多
  • ・ 帝王切開率の上昇
  • ・ 妊娠高血圧症候群
  • ・ 感染症(膀胱炎・腎盂腎炎など)
  • ・ 巨大児による難産

赤ちゃんへの影響

ママの血糖が高ければ、お腹の赤ちゃんの血糖も上昇し、合併症を引き起こす可能性があります。また、先天異常のリスクも高まるとされています。

<赤ちゃんへの影響>


  • ・ 巨大児(体重4,000g以上)
  • ・ 肩甲難産
  • ・ 新生児低血糖
  • ・ 呼吸障害
  • ・ 新生児黄疸
 

妊娠糖尿病のママと赤ちゃんが注意したい病気

妊娠糖尿病は妊娠中や出産時だけでなく、将来の健康にも影響を及ぼすリスクがあります。ママと赤ちゃんが、将来かかる可能性のある病気をお伝えします。

ママ

妊娠糖尿病を経験したママは、そうでない方と比べると、将来糖尿病やメタボリックシンドロームを発症する可能性が高いことがわかっています。そのため、産後も注意が必要です。

赤ちゃん

妊娠中に妊娠糖尿病のママから生まれた赤ちゃんは、小学生中後期~中学生くらいの年齢で、体格(BMIや体脂肪など)が高めになりやすいです。将来的な肥満やインスリン抵抗性、血糖異常(食後高血糖など)といったリスクが高まる可能性が指摘されています。
こうしたリスクを抑えるには、遊びや運動で、日常的に体を動かす習慣が大切です。

 

そもそも妊娠糖尿病はどんな病気?

妊娠糖尿病は、妊娠中にはじめてわかった、糖尿病の基準を満たさない軽い糖代謝異常です。私たちの体は、すい臓で作られるインスリンというホルモンによって血糖がコントロールされています。しかし、妊娠すると妊娠していないときと比べてインスリンが効きにくい状態となるため、血糖が上がりやすくなるのです。とくに妊娠中期以降は高血糖になりやすく、一定の範囲を超えると妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠中に血糖が高くなる糖代謝異常には他に「妊娠中の明らかな糖尿病」と「糖尿病合併妊娠」があり、3つは区別されます。

参照:糖尿病と妊娠に関するQ&A 一般的概念Q1/日本糖尿病・妊娠学会
参照:糖尿病と妊娠に関するQ&A 一般的概念Q2/日本糖尿病・妊娠学会
 

妊娠糖尿病と診断を受けたときの治療

妊娠糖尿病は定期的な検査を受け、早期発見するのが大事です。診断を受けた場合、医師と相談しながら食事療法や運動療法、薬物療法がおこなわれます。

妊娠糖尿病の目標

ママと赤ちゃんへの悪影響を予防するために、妊娠中は健常な妊婦さんの血糖値に近づけることが大事です。しかし、自己判断で行動することは控えてください。必ず医師の指示を守るようにしましょう。

食事療法

食事療法の目標は、赤ちゃんの健全な発育とママの血糖コントロール、適正な体重増加です。医師や助産師、管理栄養士に相談しながら、いくつかのポイントをおさえ、食事をとるよう心がけていきます。

  • ・ 適正エネルギー量の食事をとる
  • ・ 栄養のバランスを考える
  • ・ 規則正しい時間に食事をする
  • ・ 鉄分・葉酸を多く含む食品をとる
  • ・ カルシウムを多く含む食品をとる
  • ・ 塩分を控える
  • ・ 野菜から先に食べる
  • ・ 必要があれば分割食にする

運動療法

妊娠中の運動は、血糖コントロールや体重管理に効果的です。ただし、妊娠の状況や体調によってはできないケースもあります。運動は可能か、運動の内容は適切か、必ず医師に相談し、許可を得てからおこないましょう。
1週間に3~4回、1日の運動時間は30分程度を目安にしてください。ウォーキングや体操、ヨガなどの全身運動がおすすめです。

薬物(インスリン)療法

食事療法や運動療法で血糖コントロールが難しいケースでは、インスリン療法の適応となります。飲み薬は、胎盤を通して赤ちゃんに移行する可能性があり、安全性が確認されていない薬もあるため、インスリン注射が選択されるケースが多いでしょう。
自己血糖測定で、1日の血糖値変化の確認もおこないます。血糖測定のタイミングや回数、インスリン注射の量は必ず医師の指示を守るようにしましょう。
インスリン注射をおこなっている場合は、低血糖になる恐れがあります。症状や対処方法を理解し、症状がみられた際はすみやかに対処できるように準備しておいてください。対処が遅れると、意識障害や昏睡にいたるケースもあるのです。
発汗や手足の震え、強い空腹感といった低血糖の初期症状を覚えておきましょう。ブドウ糖10gまたはスティックシュガーなどを持ち歩き、初期症状を自覚したときに、できるだけ早く摂取できるようにしておくのが肝心です。近くに砂糖がないときは、市販のジュースで代用できます。

参照:妊娠と糖尿病/国立成育医療研究センター
 
産後も食事や運動に気をつけ健康リスクを予防しよう

妊娠糖尿病は産後血糖値は改善し、インスリン注射をしていたママも不要となるケースが多いです。しかし、妊娠糖尿病にかかったママと赤ちゃんは、将来の健康リスクにも注意して、経過を見守っていく必要があるでしょう。
産後もバランスのとれた食事や、適度な運動を継続するのが大事です。治療についての疑問は必ず医師に確認してくださいね。
ママと赤ちゃんが健康で過ごせるように、身につけた知識を活かしていきましょう。

  • 北村由美

    看護師ライター北村由美

    看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
    自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。