医療ライター・薬剤師藤野紗衣
ドラッグストアや精神病院、一般病院に薬剤師として勤務。2022年よりフリーライターとして活動。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター1級。マクロビオティック料理とウォーキングを欠かさない生活を心がけている。
感染対策を徹底するには、ウイルスの侵入を防ぐための正しい知識が必要です。流水と石けんによる手洗い・適切なマスク着用・換気といった毎日の習慣が、家庭内での感染拡大を防ぐポイント。新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの呼吸器感染症に加え、冬場に流行するノロウイルスなどの感染性胃腸炎への対策も重要です。
さらに、各ウイルスの特徴に合わせた環境整備や処理方法の確認や、自宅療養に備えた食料・抗原検査キットの準備も大切。神経質にならず、できる範囲の対策を継続しましょう。
感染対策と聞くと、難しい専門知識が必要に感じるかもしれません。しかし、本質は病原体を持ち込まない・持ち出さない・広げないといったシンプルなルールに基づいています。日々の生活の中で、無意識にしている行動を見直してみましょう。
感染は、病原体(ウイルスや細菌)・感染経路(手や飛沫など)・宿主(人)の3要因がすべて揃ったときに成立します。逆に言えば、感染対策とは3つの要因を断ち切ればよいのです。どれか1つでも取り除ければ、感染は成立しません。
とくに感染経路を遮断する手洗いやマスクといった対策は、ウイルスの侵入を防ぎ、感染拡大を食い止めるために重要なポイントになります。
家庭はもっともリラックスできる場所だからこそ、無防備になりがちです。家の中ではマスクを外し、家族と近い距離で食事や会話を楽しみます。しかし、もしウイルスが持ち込まれれば、免疫力が弱い高齢者や、乳幼児といった重症化リスクのある家族に影響がおよぶかもしれません。
また、家庭内での感染は、学校・職場・地域社会へと再びウイルスを広げる原因にもなりえます。自分と大切な家族を守るため、一人ひとりの意識が大切です。
感染リスクを減らすためには、日々の行動習慣を変えるのが効果的です。正しい手洗いの方法から、シーンに応じたマスクの選び方、効率的な換気の方法まで、今日からできる感染対策の基本をマスターしましょう。
ウイルスは主に手を介して、口や鼻から体内へ侵入します。外から帰宅したとき時、食事の前、トイレの後には、こまめに手を洗いましょう。使用するのは殺菌成分入りの特別な石けんでなく、普通の固形石けんや液体石けんで十分です。
大切なのは洗い方で、指先・爪の間・親指の付け根・手首まで丁寧に洗いましょう。15~30秒程度、心の中でハッピーバースデーの歌を1~2回歌うくらいの時間をかけて洗うと、洗い残しを防げます。
自分の顔のサイズに合ったマスクを選び、鼻と口をしっかり覆ってすき間を作らないのが重要です。素材は、布やウレタンよりもフィルター効果が高い不織布マスクがおすすめ。ただし、息苦しさや熱中症のリスクにも注意し、こまめに体調を確認しましょう。子どもは人混みや病院では着用を促しつつ、普段は無理をさせない配慮も必要です。
また、マスクしていないときの咳エチケットも大切。咳やくしゃみをする際は、ティッシュやハンカチ、あるいは袖で口と鼻を覆いましょう。手で直接押さえたり、何もせずに咳をしたりするのは避け、周囲に飛沫を広げないよう心がけるのがマナーです。
室内のウイルス濃度を下げるためには、定期的な換気が有効です。目安は1~2時間ごとに5~10分程度。対角線上にある2か所の窓を開けると、空気の通り道ができて効率的な換気が可能です。とくに新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスは、換気の悪い密閉空間で感染が広がりやすいため注意が必要。
また、空気が乾燥すると喉や鼻の粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザなどにかかりやすくなります。加湿器を活用し、湿度を50~60%に保ちましょう。そして何より、誰もが感染するリスク、感染させるリスクを持っています。3密(密閉・密集・密接)になりやすい人混みへの外出を控え、感染拡大を防ぎましょう。
感染症には季節ごとの流行があります。とくに冬場は、寒さのため免疫力が低下、鼻や喉の粘膜も乾燥しやすいため、より一層の警戒が必要です。正しい知識を持ち、適切な備えをしておきましょう。
冬場に流行しやすい感染症のウイルスは、低温・低湿度を好む傾向があります。空気が乾燥すると、咳やくしゃみに含まれる水分が蒸発して軽くなり、空気中を長く浮遊。人から人へ伝播しやすくなります。代表的な呼吸器感染症としてあげられるのは、新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス・RSウイルス。
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザウイルス感染症は初期症状が似ており、発熱・咳・倦怠感などがあらわれます。感染性胃腸炎としてあげられるのはノロウイルスやロタウイルス。冬のウイルスは感染力が強いため、とくに室内の環境管理は重点的に実施しましょう。
ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため、汚染された場所や物品の消毒には次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水が有効です。ただし金属腐食性があるため、使用後は水拭きで薬剤を十分に拭き取りましょう。嘔吐物や便には大量のウイルスが含まれています。処理する際は使い捨てのガウン、マスク、手袋を着用し、ウイルスが飛び散らないようペーパータオルなどで静かに拭き取ってください。
使用したペーパータオルや手袋は、すぐにビニール袋に密閉して廃棄します。拭き取った後、消毒液で浸すように床を拭き、最後に水拭きをして仕上げましょう。嘔吐物には市販の凝固剤を備えておくと、飛び散りを抑えて処理できるため便利です。
もしも家族が発熱したり、感染症と診断されたりしたとき、家庭内での看病には細心の注意が必要です。同居家族への二次感染を防ぎつつ、感染した本人が安心して療養できる環境を整えましょう。
感染拡大を防ぐため、感染者は個室で過ごし、食事の時間や入浴の時間をずらして、可能な限り生活空間を分けましょう。タオル・食器・歯磨き粉など、他の家族も使うアイテムの共用は避けてください。また、看病する人を一人に限定して、ウイルスに接触する人数を絞り、家族内での感染リスクを最小限に抑えましょう。看病する際は、マスク着用と手指衛生を徹底してください。
感染者が使用したティッシュやマスクにはウイルスが付着しています。捨てる際はビニール袋に入れ、ウイルスが舞い散らないよう静かに密閉して廃棄しましょう。また、感染者が使用した食器や嘔吐物が付着した衣類は、他の家族の分と分けて洗浄・消毒します。よく触れるドアノブやテーブルも、薄めた塩素系漂白剤で清拭消毒し、こまめに環境を清潔に保ちましょう。
参照:感染対策の基礎知識|厚生労働省深夜や休日に発熱しても慌てないよう、平時のうちにもしもの備えをしておくと心の余裕に繋がります。自宅療養になったときに役立つ食料品や日用品、体調管理のために必要な医薬品を揃えておきましょう。
もしものときのために、市販薬・食料・日用品をセットで準備しておきましょう。食料は、食欲がないときでも飲みやすいゼリー飲料や、調理が不要なレトルト食品を一定数ストックしておくと安心です。備蓄方法は、普段の生活で消費しながら買い足すローリングストック法がおすすめ。
また、看病の際に家族を守るための使い捨て手袋や、汚染物を処理するための専用ゴミ袋も忘れずに用意しておきましょう。
発熱といった症状があり「新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスに感染したかも?」と不安なとき、自宅ですぐに確認できる抗原検査キットはとても役立ちます。現状を把握し、速やかに受診するための判断材料として備えておきましょう。購入する際は「研究用」ではなく、国の承認を受けた「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」のキットを選んでください。
もし陽性の判定が出たときは、速やかに医療機関を受診してください。陰性でも症状が続く場合は医師に相談するなど、結果を過信せず、適切な次の行動につなげる意識が大切です。
発熱時は病院受診が原則ですが、休日や夜間は休診のため、すぐに診てもらえない可能性があります。新型コロナウイルスやインフルエンザへの感染が疑われる場合は、一般用の検査キットでの確認が便利です。ただし、発熱後に買いに行くと、体への負担が大きくなるだけでなく、周囲に感染を広げる可能性も否定できません。万が一の事態に備えて、元気なうちから事前に検査キットを用意しておきましょう。
年末年始・お盆・ゴールデンウィークといった大型連休は、多くの病院が休診になります。そのため、急な発熱や喉の違和感があっても、かかりつけ医をすぐに受診できない可能性が高いでしょう。休日診療を行っている病院を探す必要がありますが、自宅から遠かったり、非常に混雑していたりするケースも少なくありません。
体調が悪い中で、受け入れてくれる病院を探し回るのは、心身ともに大きな負担です。とくに感染症が流行している時期は、病院が見つかってもすぐに受診できないケースがあります。
関連記事:連休中の急な体調不良で困ったとき病院はどうする?医療機関の探し方や受診の判断基準・注意点とは
新型コロナウイルスやインフルエンザの感染が気になる場合、抗原検査キットは状況を把握するための一助となります。しかし、症状が出てから検査キットを買いに行く行為は、自分にとっても周囲にとっても大きなリスクになるでしょう。高熱や激しい倦怠感がある中、ドラッグストアまで移動するのは、肉体的に非常に過酷です。無理な外出は体力を奪い、回復を遅らせる原因になりかねません。
さらに、移動中や店内で他人にウイルスを移してしまう懸念もあります。店舗には免疫力の低い高齢者や妊婦なども訪れるため、意図せず感染を広げてしまう事態は防がなければなりません。急な発熱で困らないために、健康なうちに備えておきましょう。
体調不良時に備えて、事前に検査キットを購入しておくのがおすすめです。インターネット通販を活用すれば、自宅にいながら誰とも顔を合わせずに検査キットを入手できます。ドラッグストアだと薬剤師と対面して説明を受ける必要がありますが、通販ならネット上の問診で購入可能です。事前準備しておけば、発熱後に外出せずに済み、負担を減らせられるでしょう。
検査キットを通販で購入する場合、注文してから手元に届くまでに通常2~3日程度の日数がかかります。発熱してから注文するのでは間に合わないため、体調に不安がない今のうちに手配を済ませておきましょう。救急箱に常備しておけば、いざというときに役立ちます。
なお、検査キットは「研究用」ではなく、国の承認を受けた「第1類医薬品」を選んでください。「研究用」と表記された製品は性能が確認されておらず、正確な判定ができない可能性があります。正しい結果を得るために、承認された医薬品を用意しましょう。
厚生労働省/新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報
新型コロナウイルスやインフルエンザに対応した一般用抗原検査キットとして、興和が用意している『アンスペクトコーワ』があります。種類は2つあり、どちらも国が承認した「第1類医薬品」です。
インフルエンザも同時に調べたいか、痛みの少ない唾液で検査したいかによって適したキットが異なります。それぞれの特徴を理解し、自身のニーズに合わせて選びましょう。
| 商品名 | アンスペクトコーワW 【第1類医薬品】 | アンスペクトコーワ SARS-CoV-2(一般用)【第1類医薬品】 |
|---|---|---|
| 商品 |
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| 特徴・選び方 | 一度に調べたい派 | 痛くないのがいい派 |
| こんな人におすすめ |
・新型コロナかインフルエンザかわからない ・検査は一度で済ませたい ・鼻の検査に抵抗がない |
・鼻に綿棒を入れるのが怖い(子供など) ・痛みを伴わずにチェックしたい ・まずは新型コロナだけ確認したい |
| 検査できるウイルス | 新型コロナ&インフルエンザA/B型(同時検査) | 新型コロナのみ |
| 検体採取の方法 |
鼻腔ぬぐい液 (鼻の穴に綿棒を入れる) |
唾液 (唾液に綿棒を浸す) |
| 判定までの時間 | 約15分 | 約15分 |
| 検査可能回数 | 1回 | 1回 |
| 使用期限 |
24ヶ月(2~30℃で保管) ※使用期限は外箱に記載 |
使用期限は24カ月(2~30℃で保存) |
| 区分 | 第1類医薬品 | 第1類医薬品 |
アンスペクトコーワWは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスA・B型を一度の検査で同時に調べられる検査キットです。発熱や喉の痛みといった症状が似ている両方の感染症について、15分程度で判定結果を確認できます。
検査方法は鼻の中に綿棒を入れてぬぐうだけで、難しくはありません。検体採取が一度で済むため負担を抑えられ、結果確認までの時間短縮にもつながります。
アンスペクトコーワ(一般用)は、唾液を採取するだけで新型コロナウイルスの抗原を確認できる検査キットです。鼻の奥まで綿棒を入れる必要がないため、痛みに敏感な方や鼻での検査に抵抗がある方でも、無理なく検査を進められます。心理的なハードルが低く、手軽に感染の有無を調べたい方におすすめです。
ただし、検査できるのは新型コロナウイルスのみなので、インフルエンザの検査には対応していません。
第1類医薬品の抗原検査キットによる検査結果は、感染の有無を判断するための補助的な手段であり、医師による確定診断を行うものではありません。また、ネット通販でも薬剤師の確認が必須となるため、スムーズに入手できるよう注意点を把握しておきましょう。
抗原検査キットの結果はあくまでセルフチェックの参考情報であり、医師による確定診断とは異なります。検査で陰性が出たとしても、検体に含まれるウイルス量が少ないなどの理由で検出されないケースがあるため、感染していないと断定はできません。発熱や咳といった症状がある場合は、結果にかかわらず医療機関への受診を検討しましょう。
また、症状がない人が「自分は陰性だ」と証明する目的で使うのは推奨されていません。無症状の段階では、正確な判定が難しいためです。検査キットは体調が悪いときに、次の行動を決める判断材料として活用しましょう。
第1類医薬品である抗原検査キットは、ネット通販であっても薬剤師による情報提供と確認が義務付けられています。 したがって、注文ボタンを押しただけでは手続きが完了しません。多くの場合は店舗から問診メールが届き、回答後に薬剤師からの『使用承諾メール』に返信する必要があります。確認作業を放置すると、商品は発送されず自動的にキャンセルされる場合があるため注意しましょう。
体調の急変は前触れなく訪れます。昨晩までは元気だったのに、朝起きたら高熱が出ているといった事態は、誰にでも起こり得ます。
しかし、感染症のニュースが増えてから準備を始めると、注文が殺到して品薄になったり、配送が遅れたりする懸念があります。
本当に必要なタイミングで手元にない状況を避けるためにも、在庫がある今のうちに家族構成や生活状況に応じて、必要数の確保を検討しましょう。
感染対策の基本は、外からのウイルスを防ぐだけではありません。規則正しい生活・十分な睡眠・栄養バランスの取れた食事で、健康な体の土台を作る心がけが何より重要です。
また、情報収集も大切。噂に惑わされず、厚生労働省や自治体の公式サイトで正しい情報を確認しましょう。もしものときに備え、かかりつけ医や地域の相談窓口をスマホに登録しておくのもおすすめです。神経質になりすぎず、ストレスを溜めないよう、できる範囲で対策を続けていきましょう。
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