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【医師監修】健康診断の前には10時間以上の絶食を。時間別での食事のとり方や控えるべき生活習慣を解説

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2025/10/07

健康診断の前には少なくとも10時間以上の絶食が必要です。検査の前に食事をとると、血糖値や中性脂肪の検査値に異常が生じる可能性があります。 検査が午前中の場合には、前日の21時までに食事をすませてください。検査がお昼過ぎの場合も朝食を抜き、夕方の場合は軽めの朝食をとりましょう。 健康診断の前には控えるべき生活習慣もあります。注意事項を守って、正しい検査結果を知りましょう。

  • 成田

    監修医師成田 亜希子

    2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
    臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。 国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。 現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。

 

健康診断前の食事で絶食が必要な理由とは

健康診断で行う血液検査の基準値は、空腹時を基準に設定されています。そのため、食事で血糖値や中性脂肪の数値に影響が出ると、正常な判断ができなくなる可能性があります。
なお、糖尿病の方や妊婦の方が血液検査を行う場合、絶食を必要としないケースもあります。今回の記事で説明するのは、一般的な健康診断を前提としていますのでご注意ください。

食後は血糖値や中性脂肪が上昇する

食事をとると、糖質が体内で消化されてブドウ糖となり血液に取り込まれます。さらに、脂質や余ったブドウ糖は血中の中性脂肪を増やします。
糖質を多く含む炭水化物や脂質の多い食事をとると血糖値や中性脂肪が上昇し、空腹時の数値がわからなくなってしまうのです。血糖値や中性脂肪の数値が高くなると、糖尿病や脂質異常症の疑いと判断されて再検査となる可能性があります。
血糖値は、食後2時間程度で空腹時の数値に戻りますが、中性脂肪が空腹時の数値に戻るには10時間以上かかるとされています。そのため、診断前に絶食が必要な場合は、最低でも10時間以上は時間をあけてください。

健康診断で絶食する前にとる食事の注意点

絶食前の食事についても脂っこい食べ物や甘い食べ物・飲み物は避けて、消化の良いものを選んでください。
消化の良くない食事をとってしまうと、健康診断まで10時間以上あけても血糖値や中性脂肪が空腹時の数値に戻らない可能性があります。また、内視鏡検査をする場合には消化管の中に食べ物が残ったままの状態では正確な検査ができなくなる場合もあります。
前日の食事でアルコールを摂取すると、肝機能の数値に影響が出てしまいます。アルコールは完全に避けるのが無難でしょう。

 

午前中に健康診断を受診する場合の食事の時間ととり方

前日の21時までには食事を終えてください。もちろん、食事はうどんや豆腐など消化に良い食べ物を選び、量も控えめにしましょう。
水分は、診断の2時間前までは水や白湯、カフェインが入っていないお茶であれば飲んでも問題ありません。ジュースや牛乳など糖分や脂質を含む飲み物は、食事と同様に前日の21時以降は避けてください。カフェイン入りのお茶やコーヒーについても、血圧の数値に影響を与える可能性があるため避けるのが無難です。
口さみしいときでも、ガムやアメも禁止です。持病の服薬については、担当医に相談してみてください。糖尿病で服薬している方は、血糖値に影響を与えるため検査前には服用を中止するのが一般的です。

 

午後に健康診断を受診する場合の食事の時間ととり方

健康診断の前には10時間以上の絶食を。

朝食から検査の時間まで10時間以上あくのなら、軽食をとっても問題ありません。量は、パン1枚、ごはん1膳ほどで、ジャムやバターは使用せず牛乳やクリームなども避けてください。当然ですが、昼食は抜いてください。
当日の水分は、検査の2時間前まで水か白湯、カフェインが入っていないお茶であれば摂取しても大丈夫です。水分を完全に絶つと、脱水症状を起こしたり、検尿ができなくなったりする可能性もあるので小まめに摂取してください。

ガムやアメ、服薬の注意点は、午前中に健康診断を受診する場合と同様です。服薬については、自分で判断せずに必ず医師に相談してください。

 

うっかり健康診断直前に食事や間食をしてしまったら

健康診断をひかえていても、いつもの習慣で食事や間食をしてしまう可能性もあるでしょう。食事や間食をしてしまったら、病院に連絡して指示にしたがってください。
食事をとった事実を隠したり、量を少なく申告したりすると正確な検査結果の判断ができず、結局のところ再検査が必要となってしまいます。特に、血液検査では、血糖値や中性脂肪の数値で再検査の判定を受ける可能性が高いでしょう。
正確な診断を受けるには検査日程を延期すべきですが、食事の内容や量によっては、医師が食事の内容や量も加味して判断が可能なケースもあります。

 

健康診断前に控えたい生活習慣

健康診断前には、食事以外でも控えたい生活習慣があります。普段の生活で当てはまる生活習慣がある場合には、健康診断の前だけでも注意してください。

  • ・ タバコ、アルコール
  • ・ 激しい運動
  • ・ プロテイン、サプリメント
  • ・ 睡眠不足

タバコ、アルコール

喫煙は血圧や心拍数に影響を与えます。タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、血圧や心拍数を上げる原因となります。健康診断の直前に喫煙すると、血圧や心拍数を正常に計測できなくなるため、少なくとも検査の当日はタバコを吸うのは止めましょう。
アルコールを摂取すると肝臓がアルコールを分解するために働くので、肝機能の数値が高くなります。肝機能の数値が高いと、慢性肝炎や肝硬変など重篤な病気を引き起こす原因となるため、精密検査が必要となります。
少なくとも健康診断の前日は休肝日にして、普段から肝機能の数値が高い方は数日間はアルコールを控えるのをおすすめします。

激しい運動

健康診断前の数日間は、激しい運動を避けましょう。激しい運動は、体内のたんぱく質を消費します。その結果、尿からたんぱく質が排出されたり、腎機能の数値に影響を与えたりする可能性があります。
普段からランニングや筋トレの習慣がある方も、正しい数値を計測するために数日間はウォーキング程度の運動で我慢してください。

プロテイン、サプリメント

プロテインやサプリメントは、過剰摂取すると尿から排出されたり、肝臓や腎臓などに負担を与えたりする可能性があります。
プロテインを摂取する場合は、食事から摂取するたんぱく質の量に注意が必要です。少なくとも検査の前日には、摂取しないのが無難でしょう。
サプリメントについても、検査の2~3日前からは服用しないのがおすすめです。サプリメントを長期間服用している場合には、検査結果に悪影響がないかを医師に相談してみるとよいでしょう。

睡眠不足

睡眠不足が続くと、自律神経の乱れにより身体のさまざまな機能に悪影響を与えます。特に脈が早くなったり、不整脈が出たりするなど循環器系の検査に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
検査の前日には、アルコールや夜更かしを避けて、最低でも6時間以上は睡眠時間を確保してください。

 

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<機能性表示食品の注意点>

  • ・食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
  • ・商品は、事業者の責任で特定の保健の目的が期待できる旨を表示し、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官による個別審査は受けていません。
  • ・商品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。

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出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

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注意事項を守って正しい診断結果を

長く健康に過ごすには定期的な健康診断は欠かせません。健康診断を受けていても、正しい診断結果を得るには注意事項を守る必要があります。
健康診断前には10時間以上の絶食が必要で、アルコールやタバコも控えなくてはなりません。深夜の食事やアルコール、タバコの習慣は、健康診断がなくとも避けるべき習慣です。
健康診断をきっかけに、普段の生活習慣も見直して、健康で生き生きとした毎日を過ごしましょう。

 
監修医師からのアドバイス

多くの生活習慣病は早い段階では自覚症状がほとんどなく、進行して合併症を引き起こしたり体に大きなダメージを及ぼしたりするようになって初めて発見されるケースが少なくありません。
健康診断は、自覚症状がない状態でも体に変調があるか調べるための検査です。病気は早くに発見して治療を開始した方が回復しやすいケースがほとんどであるため、健康診断は私たちの健康を守ってくれる大切な検査でもあります。
しかし、健康診断で行う血液検査、尿検査、心電図検査、画像検査などは食事や運動、睡眠などの生活習慣の影響を受けやすいものです。
正確な検査結果を得るには、検査前から絶食、適度な水分摂取や運動、禁煙、禁酒など守るべきことがたくさんあります。健康診断を受けるときは、今回ご紹介した注意事項を参考に、検査を受けるまでの時間を過ごしましょう。検査をする医療機関から特別な指示がある場合は、必ず指示に従って検査に備えてください。

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