管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
オートミールを使うと栄養価の高い離乳食を手軽に作れます。白米よりも食物繊維をはじめとした栄養価が高く、水分を加え電子レンジでチンするだけで粥状になるため、忙しいママやパパの栄養補給にもおすすめです。裏ごしすれば離乳初期から使えますが、消化不良が見られる場合は中期以降に様子を見て使いましょう。月齢に合ったレシピや目安量・冷凍保存を活用した時短テクを管理栄養士が解説します。
オートミールは、原料であるえん麦(オーツ麦)をシリアルにした食品であり、離乳食にも使いやすい食品です。エネルギー源となる炭水化物やタンパク質を含み、鉄分が豊富なため、離乳期の栄養補給に重宝します。
オートミールを離乳食に使う際は、下記2つのポイントを守りましょう。
オートミールは食物繊維が多いため、消化器官が未熟な離乳初期(生後5~6カ月)に与える際は、軟らかく煮て、裏ごししましょう。
下痢や便秘になりやすい赤ちゃんの場合は、消化・吸収に慣れてきた離乳中期(生後7~8カ月)以降に使用するなど、体調や発達状態を考慮する必要があります。
オートミールはいくつか種類がありますが、離乳食には素早く調理できる「クイックタイプ」がおすすめです。クイックタイプは、原料であるえん麦を蒸した後にローラーでつぶして細かくしているため、水分を加えるだけで軟らかくなります。通常は、そのままでも食べられますが、離乳食では消化しやすくするために必ず加熱して使いましょう。
赤ちゃんのお世話に離乳食作りが加わると、ママやパパは大忙しです。オートミールを使えば、下記のように手軽に高栄養な離乳食が作れるため、心強い味方となるでしょう。
オートミールは鉄分が豊富であり、100g中に3.9mg含まれています。鉄分は赤ちゃんの健全な成長に必要な栄養素です。生後半年間ほどは体内に備えた貯蔵鉄を消費しますが、生後6~7カ月頃になると貯蔵鉄だけでは補いきれなくなるため、食品から補給する必要があります。
オートミールは鉄分を多く含みますが、植物性食品よりも動物性食品のほうが鉄分吸収率は高いです。従って、オートミールだけでなく、フォローアップミルクやマグロ・カツオといった多様な食品から鉄分を補給するとよいでしょう。
クイックタイプのオートミールは、加熱してから乾燥させているため、水分を加えて電子レンジや鍋で数分間加熱するだけで食べやすい粥状になります。
お米よりもスピーディーで手軽にヘルシーな離乳食を作れるため、忙しい産後に便利です。
離乳期の月齢に合わせたオートミールレシピを紹介します。調理ポイントや目安量・時短に役立つ冷凍方法や使い方もお伝えするため、参考にしてみてください。
離乳初期は、オートミールに水を加えて加熱後に裏ごししてから与えましょう。目安量は小さじ1杯程度からスタートして、赤ちゃんの食欲や発達・成長に応じて調整してみてください。
【時短テクと使い方】
粗熱が取れてから、製氷機に小さじ1ずつ入れ、蓋をして冷凍しましょう。1週間ほど保存可能です。
使うときは、1食分ずつ耐熱皿に入れて、ラップをふんわりとかけて500Wの電子レンジで30秒~40秒加熱します。火傷しないように必ず粗熱が取れてから与えましょう。
栄養豊富なオートミールにバナナの甘みが加わり、赤ちゃんがデザート感覚で食べられる一品です。離乳中期は、オートミールに水分を加えて加熱し、舌で潰せる硬さに仕上げましょう。目安量は50~80g程度ですが、赤ちゃんの食欲や発達・成長に応じて調整します。
【時短テクと使い方】
<A>は1~2の手順で、数回分をまとめて作り、粗熱が取れてから、1食分ずつ冷凍しておくと便利です。1週間ほど保存できます。
使うときは、1食分ずつ耐熱皿に入れ、ラップをふんわりとかけて加熱し、粗熱が取れてからつぶしたバナナとヨーグルトを混ぜましょう。
手づかみでパクパク食べられるおやきです。生後9カ月から1歳過ぎの赤ちゃんは、手づかみ食べをすると発育や発達に役立つとされているため、赤ちゃんの自主性に任せて食べさせてあげましょう。
赤ちゃんとママが積極的に摂りたい鉄分やタンパク質を補給できるため、ママのおやつにも重宝します。ママはお好みで塩をかけるとおいしいですよ。
離乳後期は、オートミールに水分を加えて加熱し、歯茎で潰せる硬さに仕上げます。主食の目安量は80g程度ですが、赤ちゃんの食欲や発達・成長に応じて調整しましょう。
【時短テクと使い方】
冷凍保存する場合は、1枚ずつラップに包んでから冷凍保存用袋に入れて冷凍しましょう。1週間ほど保存可能です。
使うときは、フライパンで再加熱するか、耐熱皿にラップごとのせて電子レンジで加熱します。火傷しないように必ず粗熱が取れてから与えましょう。
オートミールは食物繊維が豊富で、100g中に含まれる食物繊維総量は9.4g、うち水溶性食物繊維は3.2g、不溶性は6.2gです。
食物繊維は健康のために欠かせない成分ですが、消化機能が未熟な赤ちゃんにとっては過剰に摂り過ぎると消化不良になるリスクがあります。
たとえば、下痢になったり、便のかさとなる不溶性食物繊維が多いため、便が詰まったりするケースがあるのです。
オートミールを与える際は、赤ちゃんの排便状況に注意を払いましょう。
オートミールは、栄養が詰まった胚芽などを取り除かず加工するため、精米された白米よりも食物繊維をはじめとした栄養素を豊富に含んでいます。また、血糖値を上げにくい低GI食品であるため、赤ちゃんはもちろんママやパパにもおすすめの健康食品です。
とくに授乳中のママは、赤ちゃんの分も栄養補給する必要があるため、ご自身の健康のためにも、オートミールを主食に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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