管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
生活習慣病予防には食事管理が重要です。しかし、飽食の時代を生きる現代人は、考えてメニューを選ばないと栄養が偏り不調を招きます。
たとえば、糖質・脂質・塩分・カロリーは過剰で、ビタミンやミネラルが不足した食生活を続けていると不調を招いてしまうのです。メニューの改善例や簡単レシピを参考にして、体を労わってあげましょう。40歳~74歳の一部対象者は、特定保健指導により健康支援を受けられる機会もありますよ。
生活習慣病を予防するには、健康維持に必要な栄養素を過不足なく摂る食生活が肝心です。栄養バランスを整えるためのポイントをお伝えします。
生活習慣病を防ぐには、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂る食生活が重要です。
主食・主菜・副菜がそろった献立を意識すると、栄養バランスが整いやすくなります。
朝食を抜くと、一日に必要な栄養素を補いきれないだけでなく、便秘や肥満リスクが高まります。
生活習慣病を防ぐには、しっかりと朝食を食べて体を目覚めさせる食習慣が大切です。朝食を食べると体内時計がリセットされ、体が活動モードに切り替わります。一日を元気にスタートでき、活動量が多くなるため、物理的に腸の動きをサポートして便秘予防につながるのです。また、活動量増加により消費エネルギーが多くなれば、肥満予防にもなります。
エネルギー源となる栄養素は、糖質・タンパク質・脂質の3つがあります。1gあたりのエネルギー量は、糖質とタンパク質が4kcalに対して、脂質は9kcalと2倍以上です。
脂質の摂り過ぎは肥満につながります。とくに肉の脂身やラードといった動物性脂肪の過剰摂取は、動脈硬化や心臓病・乳がん・大腸がんのリスクも高めるため注意が必要です。
「揚げ物を控える」「ノンオイルドレッシングにする」「脂が少ない部位の肉を選ぶ」といった工夫で、脂質を軽減できます。
疲れているときは、甘いお菓子や清涼飲料水が欲しくなりますが、血糖値を急上昇させて肥満の原因になるため摂り過ぎに注意しましょう。
とくに液体状の清涼飲料水には、果糖ブドウ糖液糖や砂糖が吸収しやすい状態でたくさん配合されています。ゴクゴク飲んでしまうと血糖値を急上昇させて肥満リスクを高めるため、なるべく控えましょう。
塩分の摂り過ぎは、高血圧につながり、心臓病や脳血管障害リスクを高めます。胃がんとの関連も示唆されているため、塩分の摂り過ぎには気をつけましょう。
「麺類の汁を残す」「しょうゆやソースはかけずにつける」「食べ過ぎないようにする」「香辛料や酸味・だしを効かせる」といった工夫で、減塩できます。
成人の塩分摂取目安量(目標量)は、男性7.5g未満/日、女性6.5g未満/日です。
食物繊維摂取は、生活習慣病を防ぐうえで重要です。食物繊維は、体内で消化・吸収されず、エネルギー源にならないため、積極的な摂取により肥満予防に役立ちます。
食物繊維は、糖質の吸収スピードを緩和したり、脂質吸収を抑制したり、コレステロールを排泄する働きがある有用成分です。飽食の時代に生きる現代人の心強い味方ともいえます。
食物繊維を含む野菜や海藻・きのこ・こんにゃく・果物を積極的に取り入れましょう。
30歳~64歳までの食物繊維摂取目安量(目標量)は、男性22g以上/日、女性18g以上/日です。
骨がもろくなる病気を骨粗しょう症と言い、腰が曲がったり、骨折しやすくなったります。骨粗しょう症を防ぐには、主要な骨の構成成分であるカルシウムを十分に摂取する必要があるのです。
カルシウムを含む乳製品や小魚・海藻類を食卓に取り入れて、不足しないようにしましょう。
30歳~74歳までのカルシウム摂取目安量(推奨量)は、男性750mg/日、女性650mg/日です。
魚には、EPA・DHAといった脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)が含まれています。EPAやDHAは、血中中性脂肪値を低下させる作用が報告されている成分です。
中性脂肪値が気になる方は、魚を積極的に摂るとよいでしょう。
生活習慣病を招きやすい食事には、特徴やパターンがあります。改善例を紹介するので、自身の食生活に取り入れられるポイントを探してみましょう。
忙しい現代人は、時間に追われて栄養バランスが乱れがちです。まずは、生活習慣病を招きやすい食事の特徴を見ていきましょう。
つぎに、生活習慣病を招きやすい食事例と改善例を見ていきましょう。
改善前の食事は、夜のボリュームが多く糖質や脂質に偏りがあり、高カロリーな割にビタミンやミネラルが不足しています。また、朝食を欠食しているため、体が活動モードになりにくい食事パターンです。
改善例は、主食・主菜・副菜を意識した食事を3食摂り、糖質だけでなくタンパク質やビタミン・ミネラルもしっかりと摂取できます。調理油を控えてカロリーを抑えるのもポイントです。食物繊維を摂取すべく、主食に全粒穀物を取り入れ、野菜・果物も組み入れています。
最近は、コンビニメニューでも選び方を工夫すれば栄養バランスのよい食事が摂れますよ。
サバ水煮缶やカット野菜を使用して、手軽に魚や野菜を摂取できるヘルシーサラダです。包丁や火を使わず作れるため、忙しい方も取り入れやすいでしょう。
平成20年度より、40歳~74歳の方を対象にメタボリックシンドロームに着目した特定健診が行われています。健診結果により、メタボリックシンドロームに該当した方や予備軍の方には、特定保健指導が行われ、食事相談もできるのです。
特定保健指導では、生活習慣病予防を目的に保健師や管理栄養士とともに、食事や運動などに関する計画を立てます。計画をもとに、3カ月間にわたり健康サポートを受けられるので、ぜひ活用しましょう。
生活習慣病予防には、適切な食事に加えて、適度な運動も重要です。身体活動量が多いほど、生活習慣病の発症や死亡リスクは低くなると報告されています。
また、座位時間が多いと死亡リスクが高くなるといった研究結果もありますが、日本人は世界的に見て座位時間が多いと報告されているため要注意です。平日1日における総座位時間が8時間以上ある方は、男性では38%、女性では33%もいます。健康づくりをするために、少しでも座る時間を減らして、体を動かすよう心がけましょう。運動に関しては 「関連コラム:生活習慣病を運動で予防しよう!効果的な頻度と無理なく簡単に続けられる屋外・室内のおすすめエクササイズ」にて詳しく記しています。
参照:「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」/厚生労働省
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