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抗原検査キットの使い方徹底ガイド。選び方・判定基準・使用上の注意を理解し、自分と家族を守ろう

検査薬TEST AGENT
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2025/06/06

抗原検査キットの正しい使い方を知っておくと、もしものときに役立ちます。最近は、ドラッグストアやインターネットで購入できるようになりました。「第1類医薬品」を選び、添付文書の記載事項を読んだうえで使用するのが重要です。検査には、鼻腔ぬぐい液や唾液を用います。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの疑いがある場合は、症状が出て12時間以上経過してから使用しましょう。

 

抗原検査とは

抗原検査とは、体内に特定のウイルスや細菌が存在しているかを調べる検査です。新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症に、現在かかっているかどうかがわかります。
抗原検査には、2通りの方法があります。ひとつは、専用の測定機器を用いてウイルス抗原の量を測定し、判別する方法。もうひとつは、イムノクロマトグラフィー法と呼ばれるウイルス抗原の有無を調べる方法です。
イムノクロマトグラフィー法は、市販の抗原検査キットに採用されています。操作が簡単で、結果も早く出るのが特徴です。鼻汁や唾液が含まれる溶液をテストカセットの滴下窓に垂らし、判定ラインに色が出るかどうかで判断します。製品により色は異なりますが、ウイルスが検出されれば判定ラインにピンクや赤紫色などの色が出ます。

 

抗原検査キットを購入する際の注意点

新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、抗原検査キットは一般の方でも購入できるようになりました。2022年12月からは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に検出できるキットも販売されています。購入する際は「第1類医薬品」と表示されている製品を選びましょう。保存温度や有効期間の確認も忘れずに。

「第1類医薬品」と表示されているキットを選ぶ

現在、さまざまな抗原検査キットが流通しており、厚生労働省で承認されていない「研究用」キットも見受けられます。誤って購入しないように注意しましょう。購入する際は「第1類医薬品」と表示されているキットを選ぶようにしてください。わからない場合は、店舗の薬剤師に確認しましょう。

保存温度・有効期間を守る

抗原検査キットには、保存温度や有効期間が設けられています。抗原検査キットの外箱や添付文書をよく読み、指示を守りましょう。一般的に、保存温度は2~30℃、有効期間は24か月程度です。有効期間が過ぎると、正しい結果が出ない可能性があるため注意しましょう。

 

抗原検査キットの使い方

抗原検査キットの使い方徹底ガイド。

抗原検査キットは、使用法を間違えると正しい結果を得られません。使用する前に、製品の使い方を理解しておきましょう。

準備

検査キットを使用する際は、まず添付文書を読み、手順をしっかり確認しましょう。準備のステップは以下のとおりです。

ステップ1

キットの中身を取り出し、すべて揃っているかを確認します。一例は以下のとおりです。

  • <抗原検査キット内容の一例>
  • ・ 添付文書
  • ・ テストカセット
  • ・ 抗原抽出液
  • ・ チューブ
  • ・ キャップ
  • ・ 検体採取用綿棒


ステップ2

冷蔵庫で保管していた場合は、テストカセット(アルミ袋のまま)と抗原抽出液を常温に戻しておきます。

検体の採取

市販の抗原検査キットの多くは、鼻腔ぬぐい液を検体として使用しますが、中には唾液を用いる製品もあります。採取方法は検査キットにより異なるため、添付文書を確認しましょう。

鼻腔ぬぐい液


  • ① キットに付属している滅菌綿棒を、鼻腔に沿って2cm程度挿入します。
  • ② 綿棒を鼻の内壁に沿って数回程度回転させ、5秒程度静止してから引き抜きます。
  • ③ 綿棒が十分湿っているか、触らずに確認しましょう。


唾液(綿棒で採取するタイプ)


  • ① 綿球に触らないように気をつけて、綿棒を取り出します。
  • ② 舌の先を上顎の方に押し付け、唾液を下顎にためます。
  • ③ 唾液がたまったら、綿棒で唾液を採取します。
  • このほか、唾液をそのまま採取して調べる製品もあります。

溶液の調整

正しい検査結果を得るには、抗原抽出液に検体を十分に出す必要があります。溶液の調整方法は検査キットにより異なるため、それぞれの指示をを守るようにしてください。調整はおおむね以下のステップで行います。

  • ① 検体を採取した綿棒を、抗原抽出液の入ったチューブに入れ浸します。
  • ② 綿球部をチューブの外側から強めに挟み、絞り出すようにして綿棒を取り出しましょう。
  • ③ チューブに滴下用のキャップを取り付けます。

テストカセットへ溶液を滴下

溶液を滴下する際は、滴数が多すぎても少なすぎても正しい結果が得られない可能性があるため、注意が必要です。以下のステップに従って行いましょう。

  • ① 使用する直前にアルミ袋からテストカセットを取り出し、平らな場所に置きます。
  • ② カセットの滴下部分に、溶液を指示どおりに滴下しましょう。
  • ③ 15分静止して判定を待ちます(時間は抗原検査キットにより異なる)。
 

抗原検査キットの判定基準

判定は、抗原検査キットの添付文書に記載されている基準に従って行います。通常、新型コロナウイルスの反応カセットには2本、インフルエンザでは3本の判定ラインが設けられており、色のあらわれ方で判定します。新型コロナウイルスの抗原検査キットを例に見ていきましょう。

陽性

コントロールライン(C)と判定ライン(T)に色のラインが認められれば「陽性」です。新型コロナウイルス抗原が検出されたため、検査した時間をメモし、判定部分と一緒にスマートフォンで撮影しておきましょう。医療機関を受診した際、診断の補助に使えます。

陽性

陰性

コントロールライン(C)が認められ、判定ライン(T)が認められない場合は「陰性」です。新型コロナウイルス抗原は検出されていない状態ですが、偽陰性(ぎいんせい)の可能性もあるため注意しましょう。偽陰性とは、感染しているにもかかわらず、結果が陰性を示す状態です。症状があるときは、医療機関を受診しましょう。

陰性

判定不能(再判定)

コントロールライン(C)に色のラインが認められなかった場合は、判定不能です。判定ライン(T)が認められたとしても、コントロールライン(C)があらわれなければ、検査結果は無効です。再度検査を行う必要があります。

判定不能(再判定)
 

抗原検査キットを使用する際のポイント

抗原検査キットを使用する際に最も重要なのは、検査を行うタイミングです。陽性の判断や使用済みキットの処分方法にも、注意すべき点があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

検査のタイミングを見極める

自宅で検査する際は、熱や咳などの症状が出てから12時間以上経過したタイミングで行いましょう。早すぎるとウイルスの量が十分ではなく、偽陰性になる可能性があるためです。
新型コロナウイルスは、2~9日目にかけてウイルス量が増加します。インフルエンザのウイルス量は、症状が出始めてから12~48時間がピークです。

参照:報道発表.2020年6月.抗原検査の使用方法の見直しについて/厚生労働省
関連コラム:インフルエンザの潜伏期間や行動制限期間は何日?検査は症状があらわれてから12時間以降のタイミングで

色が薄くても判定ライン(T)が認められれば陽性

コントロールライン(C)が認められれば、正しく検査ができています。判定ライン(T)は、検査の結果を示す線です。色が薄くても、判定ライン(T)が認められれば陽性となります。製品によりラインが異なる場合があるため、添付文書を確認しておきましょう。

使用済みのキットは感染リスクに配慮し処分する

自宅で抗原検査キットを使用した際は、家庭ゴミとして廃棄します。一般的には「燃えるゴミ」として扱われますが、各自治体の指示を確認したうえで廃棄しましょう。他の人への感染を防ぐために、以下の点に注意が必要です。

<使用済みの検査キットの捨て方>


  • ① ビニール袋を二重にして、使用済みの検査キットを入れる
  • ② 袋の口をしっかり縛る
  • ③ 4日間保管した後、廃棄する
  • ④ ゴミを捨てたあとは、石けんで十分に手を洗う

参照:新型コロナウイルス簡易キットの捨て方について/多摩市
 

陽性判定が出たときの対処方法

抗原検査キットの判定結果が陽性でも、すぐに受診しなくてよい場合があります。もともと健康で症状が軽いときは、自宅で療養するのもひとつの方法です。栄養価の高い食事や水分摂取、十分な睡眠を心がけ、ゆっくり休みましょう。ただし、高熱が続いているときや、食事・水分がとれないときなどは、医療機関の受診が推奨されます。基礎疾患がある人や妊婦、乳幼児、高齢者は早めに受診した方がよいでしょう。重症化を防ぐには、適切な治療を受けるのが重要です。

 
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行に備えよう

新型コロナウイルス感染症もインフルエンザも、冬に感染者が増加します。新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、インフルエンザの流行シーズンが早まっているようです。令和5年は例年より早い12月に流行のピークを迎えており、今後も同時流行に注意する必要があります。流行シーズンは、手洗いや咳エチケット、マスクの着用といった基本的な対策を徹底しましょう。感染が疑わしいときに自宅で検査できるよう、抗原検査キットを準備しておくのもおすすめです。

参照:令和6年度インフルエンザQ&A/厚生労働省

  • 北村由美

    看護師ライター北村由美

    看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
    自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。