看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
スポーツによるケガリスク対策には、運動前後のケアや日頃の習慣づくりが欠かせません。筋肉や関節の使いすぎ、体力不足、疲労の蓄積といった原因を理解し、ウォーミングアップやクールダウンではストレッチを取り入れましょう。栄養バランスのとれた食事や質のよい睡眠、入浴といった工夫もポイントです。さらに、サポーターを適切に活用すれば、スポーツ時の動作を支えるのに役立ち、スポーツに取り組みやすくなります。
スポーツでケガをする主な背景には、筋肉や関節への過度な負担、体力や筋力不足、疲労の蓄積が挙げられます。無理なくスポーツを楽しむために、体の状態を把握し、無理をしないようにしましょう。
スポーツでは同じ動作の繰り返しが多いため、特定の部位に過度な負荷がかかり「オーバーユース」と呼ばれる障害になる場合があります。野球での投球動作による肩や肘の不調、ジョギングでの膝や足首の違和感などが代表例です。休む間もなく筋肉や関節を動かしていると、パフォーマンスが落ち、大きなケガにつながる可能性も少なくありません。
体力や筋力が不足すると、ケガをしやすくなります。十分な体力や筋力がない状態で動くと、関節や筋肉に過剰な負荷がかかるためです。とくに初心者や久しぶりに体を動かした人は、激しい動きをするとケガのリスクが高まるため、注意しましょう。トレーニングは、段階的に強度を上げるようにしてください。
集中力が続かなくなり、フォームが崩れたり、些細な段差につまずいたりするなど、思わぬケガにつながるリスクも。練習量の調整や休養は、スポーツをする方にとって欠かせない要素です。疲労がたまると、筋肉の柔軟性や反応速度が落ち、体のコントロールがしづらくなります。
ケガのリスクを下げるためには、スポーツをするタイミングに合わせたケアが欠かせません。運動前はウォーミングアップ、運動中は水分補給、運動後はクールダウンを取り入れましょう。
開始前のウォーミングアップは、スポーツの基本です。準備運動やストレッチを必ず行いましょう。筋肉が温まると柔軟になるため、ケガのリスク対策に役立ちます。全身をスムーズに動かすには、下半身の大きな筋肉を意識するのがポイントです。運動前には、体を大きく使う「動的ストレッチ」やウォーキングがおすすめ。ストレッチは以下の点に注意しましょう。
運動中は体温が上昇し発汗しやすくなるため、水分不足になりがちです。水分不足になると、集中力が落ち、ケガをしやすくなります。休憩を取りながら定期的に水分を補給しましょう。体重の2%以上の脱水がない程度での水分補給が推奨されています。たとえば、体重が60kgであれば、1.2kg以上体重が減らないようにするのが重要です。とくに長時間に及ぶスポーツや暑い環境で行われる場合は、脱水に注意しましょう。
また、よく動かす部位にサポーターを着用すると、筋肉や関節の動きをサポートし、フォームを保ちやすくなります。
運動後には軽いジョギングやストレッチを取り入れ、徐々に体を落ち着かせましょう。よく動かした部位は冷却する工夫も取り入れると、クールダウンの一助にもなります。筋肉をリラックスさせると、次の活動に向けて体調が整いやすくなるためです。睡眠前には強い刺激を与えすぎないよう、ゆったりと過ごしましょう。
スポーツによるケガは、スポーツをしているときだけでなく、普段の生活習慣も大きく影響します。食事や睡眠、入浴で日頃からコンディションを整えましょう。
食事は体づくりの基本です。筋肉の材料となるたんぱく質に加え、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEを含む食品も栄養補給に役立ちます。活動のエネルギー源となる炭水化物も、適切に摂取しましょう。練習や試合で力を発揮するには、さまざまな食品をバランスよく摂るのが大切です。以下におすすめの食品をまとめたので、ぜひ取り入れてみてください。
睡眠不足が続くと、日常生活への影響のほかに、パフォーマンスの低下やケガのリスクにつながります。とはいえ、単に睡眠時間を増やせばよいわけではなく、「睡眠の質」が重要です。以下を参考に、睡眠の質を高める生活を意識しましょう。
ぬるめのお湯にゆったり浸かると、副交感神経が優位になり、心身が落ち着きやすくなります。疲労を感じるときは半身浴、冷えを感じるときは全身浴など、状況に応じた方法を選びましょう。運動直後は体温や心拍数が高い状態であり、すぐに入浴すると体への負担が大きくなるため、入浴するタイミングは動いた直後ではなく、帰宅後や就寝前がおすすめです。湯温は36~40℃、入浴時間は10~20分程度が推奨されます。
セルフケアに加えて、サポーターを上手に活用するのも、リスク対策に役立ちます。役割や選び方を理解し、自分に合った商品を使いましょう。
サポーターは、関節や筋肉、筋肉周辺を支え、運動や日常生活で動きを安定させるのが主な役割です。スポーツ中に着用すれば、無理な方向への動きを避けやすく、パフォーマンスを維持しやすくなります。筋肉のブレも抑えられ、関節の動きをサポートするので、スポーツをする際は活用するとよいでしょう。
サポーターのメリットを活かすには、部位やサイズ、機能をチェックして選びましょう。選び方を間違えると、不快感や痛みを引き起こすケースもあるので、購入する際はサイズをしっかり確認しておきましょう。
サポーターは、部位ごとに対応したさまざまな商品が販売されています。自分が気になる部位や、スポーツで負担がかかりやすい部位の商品を選びましょう。
サポーター選びで大切なのは、自分に合ったサイズかどうかです。きつすぎると、しびれを感じたり、指先に冷たさを感じたりする可能性があります。逆に、ゆるすぎる場合は、フィット感が下がり、サポート力も十分に発揮されません。商品パッケージに記載されているサイズ表を確認して、購入するようにしましょう。
サポーターは使う場面や目的に応じて選べるように、特長ごとにタイプがあります。たとえば、冬場や冷房の効いた室内では「保温タイプ」、夏場や汗をかきやすいスポーツをするなら「高通気タイプ」がおすすめです。よりしっかりサポートしたいときには、テーピング機能の付いた「固定タイプ」もよいでしょう。
スポーツによるケガは筋肉や関節の使いすぎ、体力不足、疲労の蓄積といった要因から生じます。ウォーミングアップやクールダウン、バランスのよい食事や質の高い睡眠、入浴などのセルフケアを心がけ、ケガのリスクを減らしましょう。さらに、サポーターを活用すれば、関節の安定や動きの意識付けにも役立ちます。
計画的に休養し、疲労をためない心がけも大切です。自分に合った方法を取り入れ、スポーツを楽しんでください。
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