看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
抗原検査キットの正しい使い方を知っておくと、もしものときに役立ちます。最近は、ドラッグストアやインターネットで購入できるようになりました。「第1類医薬品」を選び、添付文書の記載事項を読んだうえで使用するのが重要です。検査には、鼻腔ぬぐい液や唾液を用います。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの疑いがある場合は、症状が出て12時間以上経過してから使用しましょう。
抗原検査とは、体内に特定のウイルスや細菌が存在しているかを調べる検査です。新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症に、現在かかっているかどうかがわかります。
抗原検査には、2通りの方法があります。ひとつは、専用の測定機器を用いてウイルス抗原の量を測定し、判別する方法。もうひとつは、イムノクロマトグラフィー法と呼ばれるウイルス抗原の有無を調べる方法です。
イムノクロマトグラフィー法は、市販の抗原検査キットに採用されています。操作が簡単で、結果も早く出るのが特徴です。鼻汁や唾液が含まれる溶液をテストカセットの滴下窓に垂らし、判定ラインに色が出るかどうかで判断します。製品により色は異なりますが、ウイルスが検出されれば判定ラインにピンクや赤紫色などの色が出ます。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、抗原検査キットは一般の方でも購入できるようになりました。2022年12月からは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に検出できるキットも販売されています。購入する際は「第1類医薬品」と表示されている製品を選びましょう。保存温度や有効期間の確認も忘れずに。
現在、さまざまな抗原検査キットが流通しており、厚生労働省で承認されていない「研究用」キットも見受けられます。誤って購入しないように注意しましょう。購入する際は「第1類医薬品」と表示されているキットを選ぶようにしてください。わからない場合は、店舗の薬剤師に確認しましょう。
抗原検査キットには、保存温度や有効期間が設けられています。抗原検査キットの外箱や添付文書をよく読み、指示を守りましょう。一般的に、保存温度は2~30℃、有効期間は24か月程度です。有効期間が過ぎると、正しい結果が出ない可能性があるため注意しましょう。
抗原検査キットは、使用法を間違えると正しい結果を得られません。使用する前に、製品の使い方を理解しておきましょう。
検査キットを使用する際は、まず添付文書を読み、手順をしっかり確認しましょう。準備のステップは以下のとおりです。
キットの中身を取り出し、すべて揃っているかを確認します。一例は以下のとおりです。
冷蔵庫で保管していた場合は、テストカセット(アルミ袋のまま)と抗原抽出液を常温に戻しておきます。
市販の抗原検査キットの多くは、鼻腔ぬぐい液を検体として使用しますが、中には唾液を用いる製品もあります。採取方法は検査キットにより異なるため、添付文書を確認しましょう。
正しい検査結果を得るには、抗原抽出液に検体を十分に出す必要があります。溶液の調整方法は検査キットにより異なるため、それぞれの指示をを守るようにしてください。調整はおおむね以下のステップで行います。
溶液を滴下する際は、滴数が多すぎても少なすぎても正しい結果が得られない可能性があるため、注意が必要です。以下のステップに従って行いましょう。
判定は、抗原検査キットの添付文書に記載されている基準に従って行います。通常、新型コロナウイルスの反応カセットには2本、インフルエンザでは3本の判定ラインが設けられており、色のあらわれ方で判定します。新型コロナウイルスの抗原検査キットを例に見ていきましょう。
コントロールライン(C)と判定ライン(T)に色のラインが認められれば「陽性」です。新型コロナウイルス抗原が検出されたため、検査した時間をメモし、判定部分と一緒にスマートフォンで撮影しておきましょう。医療機関を受診した際、診断の補助に使えます。
コントロールライン(C)が認められ、判定ライン(T)が認められない場合は「陰性」です。新型コロナウイルス抗原は検出されていない状態ですが、偽陰性(ぎいんせい)の可能性もあるため注意しましょう。偽陰性とは、感染しているにもかかわらず、結果が陰性を示す状態です。症状があるときは、医療機関を受診しましょう。
コントロールライン(C)に色のラインが認められなかった場合は、判定不能です。判定ライン(T)が認められたとしても、コントロールライン(C)があらわれなければ、検査結果は無効です。再度検査を行う必要があります。
抗原検査キットを使用する際に最も重要なのは、検査を行うタイミングです。陽性の判断や使用済みキットの処分方法にも、注意すべき点があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
自宅で検査する際は、熱や咳などの症状が出てから12時間以上経過したタイミングで行いましょう。早すぎるとウイルスの量が十分ではなく、偽陰性になる可能性があるためです。
新型コロナウイルスは、2~9日目にかけてウイルス量が増加します。インフルエンザのウイルス量は、症状が出始めてから12~48時間がピークです。
コントロールライン(C)が認められれば、正しく検査ができています。判定ライン(T)は、検査の結果を示す線です。色が薄くても、判定ライン(T)が認められれば陽性となります。製品によりラインが異なる場合があるため、添付文書を確認しておきましょう。
自宅で抗原検査キットを使用した際は、家庭ゴミとして廃棄します。一般的には「燃えるゴミ」として扱われますが、各自治体の指示を確認したうえで廃棄しましょう。他の人への感染を防ぐために、以下の点に注意が必要です。
抗原検査キットの判定結果が陽性でも、すぐに受診しなくてよい場合があります。もともと健康で症状が軽いときは、自宅で療養するのもひとつの方法です。栄養価の高い食事や水分摂取、十分な睡眠を心がけ、ゆっくり休みましょう。ただし、高熱が続いているときや、食事・水分がとれないときなどは、医療機関の受診が推奨されます。基礎疾患がある人や妊婦、乳幼児、高齢者は早めに受診した方がよいでしょう。重症化を防ぐには、適切な治療を受けるのが重要です。
発熱時は病院受診が原則ですが、休日や夜間は休診のため、すぐに診てもらえない可能性があります。新型コロナウイルスやインフルエンザへの感染が疑われる場合は、一般用の検査キットでの確認が便利です。ただし、発熱後に買いに行くと、体への負担が大きくなるだけでなく、周囲に感染を広げる可能性も否定できません。万が一の事態に備えて、元気なうちから事前に検査キットを用意しておきましょう。
年末年始・お盆・ゴールデンウィークといった大型連休は、多くの病院が休診になります。そのため、急な発熱や喉の違和感があっても、かかりつけ医をすぐに受診できない可能性が高いでしょう。休日診療を行っている病院を探す必要がありますが、自宅から遠かったり、非常に混雑していたりするケースも少なくありません。
体調が悪い中で、受け入れてくれる病院を探し回るのは、心身ともに大きな負担です。とくに感染症が流行している時期は、病院が見つかってもすぐに受診できないケースがあります。
関連記事:連休中の急な体調不良で困ったとき病院はどうする?医療機関の探し方や受診の判断基準・注意点とは
新型コロナウイルスやインフルエンザの感染が気になる場合、抗原検査キットは状況を把握するための一助となります。しかし、症状が出てから検査キットを買いに行く行為は、自分にとっても周囲にとっても大きなリスクになるでしょう。高熱や激しい倦怠感がある中、ドラッグストアまで移動するのは、肉体的に非常に過酷です。無理な外出は体力を奪い、回復を遅らせる原因になりかねません。
さらに、移動中や店内で他人にウイルスを移してしまう懸念もあります。店舗には免疫力の低い高齢者や妊婦なども訪れるため、意図せず感染を広げてしまう事態は防がなければなりません。急な発熱で困らないために、健康なうちに備えておきましょう。
体調不良時に備えて、事前に検査キットを購入しておくのがおすすめです。インターネット通販を活用すれば、自宅にいながら誰とも顔を合わせずに検査キットを入手できます。ドラッグストアだと薬剤師と対面して説明を受ける必要がありますが、通販ならネット上の問診で購入可能です。事前準備しておけば、発熱後に外出せずに済み、負担を減らせられるでしょう。
検査キットを通販で購入する場合、注文してから手元に届くまでに通常2~3日程度の日数がかかります。発熱してから注文するのでは間に合わないため、体調に不安がない今のうちに手配を済ませておきましょう。救急箱に常備しておけば、いざというときに役立ちます。
なお、検査キットは「研究用」ではなく、国の承認を受けた「第1類医薬品」を選んでください。「研究用」と表記された製品は性能が確認されておらず、正確な判定ができない可能性があります。正しい結果を得るために、承認された医薬品を用意しましょう。
厚生労働省/新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報
新型コロナウイルスやインフルエンザに対応した一般用抗原検査キットとして、興和が用意している『アンスペクトコーワ』があります。種類は2つあり、どちらも国が承認した「第1類医薬品」です。
インフルエンザも同時に調べたいか、痛みの少ない唾液で検査したいかによって適したキットが異なります。それぞれの特徴を理解し、自身のニーズに合わせて選びましょう。
| 商品名 | アンスペクトコーワW 【第1類医薬品】 | アンスペクトコーワ SARS-CoV-2(一般用)【第1類医薬品】 |
|---|---|---|
| 商品 |
|
|
| 特徴・選び方 | 一度に調べたい派 | 痛くないのがいい派 |
| こんな人におすすめ |
・新型コロナかインフルエンザかわからない ・検査は一度で済ませたい ・鼻の検査に抵抗がない |
・鼻に綿棒を入れるのが怖い(子供など) ・痛みを伴わずにチェックしたい ・まずは新型コロナだけ確認したい |
| 検査できるウイルス | 新型コロナ&インフルエンザA/B型(同時検査) | 新型コロナのみ |
| 検体採取の方法 |
鼻腔ぬぐい液 (鼻の穴に綿棒を入れる) |
唾液 (唾液に綿棒を浸す) |
| 判定までの時間 | 約15分 | 約15分 |
| 検査可能回数 | 1回 | 1回 |
| 使用期限 |
24ヶ月(2~30℃で保管) ※使用期限は外箱に記載 |
使用期限は24カ月(2~30℃で保存) |
| 区分 | 第1類医薬品 | 第1類医薬品 |
アンスペクトコーワWは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスA・B型を一度の検査で同時に調べられる検査キットです。発熱や喉の痛みといった症状が似ている両方の感染症について、15分程度で判定結果を確認できます。
検査方法は鼻の中に綿棒を入れてぬぐうだけで、難しくはありません。検体採取が一度で済むため負担を抑えられ、結果確認までの時間短縮にもつながります。
アンスペクトコーワ(一般用)は、唾液を採取するだけで新型コロナウイルスの抗原を確認できる検査キットです。鼻の奥まで綿棒を入れる必要がないため、痛みに敏感な方や鼻での検査に抵抗がある方でも、無理なく検査を進められます。心理的なハードルが低く、手軽に感染の有無を調べたい方におすすめです。
ただし、検査できるのは新型コロナウイルスのみなので、インフルエンザの検査には対応していません。
第1類医薬品の抗原検査キットによる検査結果は、感染の有無を判断するための補助的な手段であり、医師による確定診断を行うものではありません。また、ネット通販でも薬剤師の確認が必須となるため、スムーズに入手できるよう注意点を把握しておきましょう。
抗原検査キットの結果はあくまでセルフチェックの参考情報であり、医師による確定診断とは異なります。検査で陰性が出たとしても、検体に含まれるウイルス量が少ないなどの理由で検出されないケースがあるため、感染していないと断定はできません。発熱や咳といった症状がある場合は、結果にかかわらず医療機関への受診を検討しましょう。
また、症状がない人が「自分は陰性だ」と証明する目的で使うのは推奨されていません。無症状の段階では、正確な判定が難しいためです。検査キットは体調が悪いときに、次の行動を決める判断材料として活用しましょう。
第1類医薬品である抗原検査キットは、ネット通販であっても薬剤師による情報提供と確認が義務付けられています。 したがって、注文ボタンを押しただけでは手続きが完了しません。多くの場合は店舗から問診メールが届き、回答後に薬剤師からの『使用承諾メール』に返信する必要があります。確認作業を放置すると、商品は発送されず自動的にキャンセルされる場合があるため注意しましょう。
体調の急変は前触れなく訪れます。昨晩までは元気だったのに、朝起きたら高熱が出ているといった事態は、誰にでも起こり得ます。
しかし、感染症のニュースが増えてから準備を始めると、注文が殺到して品薄になったり、配送が遅れたりする懸念があります。
本当に必要なタイミングで手元にない状況を避けるためにも、在庫がある今のうちに家族構成や生活状況に応じて、必要数の確保を検討しましょう。
新型コロナウイルス感染症もインフルエンザも、冬に感染者が増加します。新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、インフルエンザの流行シーズンが早まっているようです。令和5年は例年より早い12月に流行のピークを迎えており、今後も同時流行に注意する必要があります。流行シーズンは、手洗いや咳エチケット、マスクの着用といった基本的な対策を徹底しましょう。感染が疑わしいときに自宅で検査できるよう、抗原検査キットを準備しておくのもおすすめです。
参照:令和6年度インフルエンザQ&A/厚生労働省
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。