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悪玉菌を減らしたいなら?普段の食べ物や生活習慣を見直して、お腹が不調にならない腸内環境を目指そう

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2025/11/26

悪玉菌を減らすためには、増える原因となる生活習慣を見直すのが大切です。生活リズムを整え、ストレスをためないようにしましょう。適度な運動と十分な睡眠も欠かせません。善玉菌を含むプロバイオティクスや、善玉菌のエサとなるプレバイオティクスを、さまざまな食ベ物からバランスよく摂取するのもポイントです。
欧米型の食事やインスタント食品、加工食品の摂り過ぎに注意し、できるだけ手作りの食事を心がけましょう。

 

そもそも悪玉菌とは?善玉菌との違い

腸内細菌は3種類あり、悪玉菌は腸内細菌の一つ。増え過ぎると健康によくないため、増やさない生活習慣が重要です。腸内細菌でもっとも数が多い菌は、働きが腸内環境によって変化する日和見菌ですが、一般的に、善玉菌:悪玉菌:日和見菌が2:1:7であるのが理想とされています。腸内細菌の数や種類は非常に多様で、個人差も大きいのが特徴です。腸内環境をよい状態に保つためには、善玉菌を意識して取り入れましょう。

 

腸内環境が乱れているサインとは?

腸は食べ物を消化し、栄養素や水分を吸収し、不要な物質を便として排出する働きを担っています。そのため、腸内環境が乱れると機能が低下し、便秘やにおいの強いおならなどの症状が現れる場合も。胃もたれや食欲がないといった症状は、腸内環境の乱れが関わっている場合もあります。

<腸内環境が乱れているときの症状>


  • ・ 便秘や軟便を繰り返す
  • ・ お腹が張って苦しい
  • ・ 胃もたれを感じる
  • ・ 食欲がない
 

悪玉菌が増える原因

食生活の乱れだけでなく、ストレスや睡眠不足、運動不足といった生活習慣からも悪玉菌は増えてしまいます。生活習慣以外の原因としてあげられるのは、加齢です。中高年になるとウェルシュ菌が増えると報告されています。

食生活の乱れ

食事の内容だけでなく、食べる時間も腸内環境に影響を与えます。脂質や動物性たんぱく質の多い食事は、悪玉菌にとって格好のエネルギー源です。偏った食生活を続けると悪玉菌が増殖し、さらに、夜遅い時間の食事や不規則な食事習慣は消化に負担をかけ、腸内環境が乱れる原因になる場合があります。

ストレス

私たちの体は、自律神経によって内臓の働きがコントロールされています。自律神経の種類は、体を活動的にする交感神経と、リラックスさせる副交感神経の2つです。
2つのうち、腸の働きを促進するのは副交感神経になっています。しかし、ストレスによって交感神経が優位になると、食欲低下や消化不良、胃もたれが起こりやすくなるのです。結果、腸内環境が乱れ、悪玉菌が増加します。

睡眠・運動不足

睡眠不足は自律神経の乱れを招き、腸の働きを低下させる原因の一つになっています。また、運動不足による腸の動きの低下も便秘を招くため、腸内環境を乱しがちです。
さらに、近年の研究では、睡眠が不足すると、腸から分泌されるαディフェンシン(腸管の免疫物質)が低下し、腸内フローラに影響を与える可能性も指摘されています。

加齢

年齢を重ねるとともに善玉菌は減少し、悪玉菌が優位になりやすいです。たとえば、悪玉菌の一種であるウェルシュ菌は、中高年になると増加。腸が老化しているサインともいわれています。

参照:Shorter sleep time relates to lower human defensin 5 secretion and compositional disturbance of the intestinal microbiota accompanied by decreased short-chain fatty acid production/北海道大学大学院先端生命科学研究院
参照:腸内細菌の種類と定着:その隠された臓器としての機能/日本内科学会雑誌 104 巻 1 号
 

悪玉菌を減らし善玉菌を増やすための習慣

規則正しい生活を心がけて排便を促しましょう。ストレスはこまめに発散し、ため込まないようにします。適度な運動と十分な睡眠も大切です。自分が取り入れやすい方法を見つけ、継続しましょう。

生活リズムを整える

規則正しい生活リズムは、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。「腸脳相関」といわれるように、腸と脳は互いに影響を与え合う関係です。そのため、生活リズムを整えストレスが軽減されると、腸内環境にもよい影響が期待できます。リズムが整った生活は、結果的に悪玉菌の減少にもつながるでしょう。
体を動かす時間と休ませる時間を明確に分けた、メリハリのある生活も大切です。起床・就寝時刻や食事時間を決め、毎日なるべく同じ時間帯に活動してみてください。

ストレスをため込まない

悪玉菌を増やさないためには、ストレスをためない工夫が必要です。音楽鑑賞・趣味への没頭・湯船にゆっくり浸かる入浴など、自分に合った方法でリラックスする時間を意識的に作りましょう。ストレスをこまめに発散し、心身をいたわるのが重要です。

適度な運動をする

適度な運動は自律神経を整え、腸のぜん動運動を活発にします。便通がよくなり、腸内環境が整う効果が期待できるでしょう。日常生活にウォーキングを取り入れたり、自宅でヨガをしたりと、無理なく続けられる運動がおすすめです。
その他には、「椅子に座ったまま足を上げる」だけの足上げエクササイズもあります。足上げエクササイズは、ひざに痛みがある方、デスクワークが多く運動不足気味の方でも、毎日続けられる運動です。片足10回ずつを目安に、行ってみてください。

<足上げエクササイズ>


  • ① 椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばして座わる
  • ② 片方のひざをゆっくりと、無理のない高さまで持ち上げ5秒間維持する
  • ③ ゆっくりと足を下ろす
  • ④ 反対側の足も同様にし、左右交互に10回ずつ繰り返す

適切な睡眠をとる

十分な睡眠は自律神経を整えるために不可欠です。毎日決まった時間に寝起きし、6~8時間を目安に、自分に合った睡眠時間を確保しましょう。腸を十分に休ませる意識も大切です。
寝る前には、ぬるめのお湯にゆっくり浸かったり、好きな音楽を聴いたりして、できるだけ心身をリラックスさせてください。スマートフォンやパソコンの画面から出るブルーライトは、睡眠の質を低下させる可能性があるので、就寝1~2時間前には使用を控えましょう。

 

悪玉菌を減らす食べ物・飲み物

腸内環境を整えるには、決まった食品を食べ続けるのではなく、さまざまな食品を摂取するのが大切です。善玉菌を含むプロバイオティクスや、善玉菌のエサとなるプレバイオティクスをバランスよく摂るようにしましょう。

善玉菌そのものを摂るプロバイオティクス

善玉菌を含む食品は、プロバイオティクスと呼ばれています。
食べ物から摂取しても、腸内に定着するのは困難で、数日程度しか留まれないとされています。そのため、毎日継続して摂取するのが大切です。また、摂取するタイミングも工夫しましょう。たとえば、ヨーグルトは、胃酸の影響を受けにくい食後に摂るのがおすすめです。
乳製品が苦手な方は、納豆や味噌、ぬか漬けといった日本の伝統的な発酵食品を選ぶとよいでしょう。

善玉菌のエサとなる成分を摂るプレバイオティクス

プレバイオティクスは、腸内にもともと存在する善玉菌のエサになる成分です。水溶性食物繊維や不溶性食物繊維、オリゴ糖が挙げられます。とくに、善玉菌を増やすためには水溶性食物繊維が有効です。穀類やいも類、野菜などからバランスよく摂取しましょう。



参照:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 炭水化物成分表編・第2章本表別表1/文部科学省
参照:用語集「プロバイオティクス(probiotics)」/公益財団法人腸内細菌学会
参照:用語集「プレバイオティクス(probiotics)」/公益財団法人腸内細菌学会
 

セルフケアの一つとして。整腸薬で腸内環境を整える選択肢

食事や生活習慣の改善を試みても、便秘や軟便などの症状が気になる場合は、セルフケアの選択肢の一つとして医薬品があります。整腸薬は、乱れがちな便通を整える効能・効果が認められています。
さまざまな製品がありますが、たとえば、生菌を組み合わせて腸内環境に働きかけるアイテムも一つです。生菌である納豆菌・乳酸菌・ビフィズス菌を含んでいると、生菌が善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑え、乱れがちな腸内環境を改善していきます。
整腸薬は、自分の症状に合った製品を選びましょう。選択に迷う際は、薬剤師や登録販売者への相談がおすすめです。

 
悪玉菌を増やさないためには避けた方がよい食品にも注目

悪玉菌を減らす心がけも大切ですが、まずは増やさないように気を配りましょう。悪玉菌を増やさないために、食べ過ぎに注意したい食品があります。たとえば、揚げ物やファストフードなどの脂質やたんぱく質を多く含む欧米型の食事、カップ麺などの食品添加物が多いインスタント食品、ハム・ソーセージといった加工食品です。たんぱく質や脂肪は悪玉菌のエサとなり、食品添加物は菌の多様性を低下させ、腸内環境を乱す原因になります。食事は、加工食品をなるべく避け、旬の野菜や果物などの素材そのものの味を活かせる食材で手作りするのがおすすめです。
毎日の食事を見直し、悪玉菌が増えにくい腸内環境を目指しましょう。 

  • 藤野紗衣

    医療ライター・薬剤師藤野紗衣

    ドラッグストアや精神病院、一般病院に薬剤師として勤務。2022年よりフリーライターとして活動。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
    介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター1級。マクロビオティック料理とウォーキングを欠かさない生活を心がけている。