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母乳とミルクどっちがいいの!?栄養価・うんち・腹持ちの違いを管理栄養士が徹底解説!

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2023/08/30

「母乳育児をしたい」と考えているママは多いようです。しかし、思うように母乳が出なかったり、赤ちゃんが飲まなかったりして、ミルクに移行するケースも多くあります。
そんななか「母乳とミルクはどっちがいいの?」「それぞれうんちに違いは現れる?」「カロリーや栄養は?」「腹持ちは?」「便秘になりにくいのは?」など疑問を抱えているママも多いのではないでしょうか。今回は、そんなお悩みに管理栄養士がお答えしていきます。ぜひ、今後の参考にしてみてください。

 

「母乳」「育児用ミルク」とは?

まずは、母乳と育児用ミルクとは、それぞれどのようなものかをおさらいしておきましょう。

母乳

母乳は、ママの乳腺から分泌される液体です。赤ちゃんの成長に必要な栄養素が含まれています。

育児用ミルク

母乳の代用品として、牛乳を原料に母乳の成分に近づけて作られています。

 

母乳と育児用ミルクの違い

母乳と育児用ミルクでは、どのような違いがあるのでしょうか。
「栄養価」「便秘」「うんち」「腹持ち」の違いについて違いを比較し、確認しましょう。

栄養価の違い


参照:「別表1 母乳及び乳児用調整粉乳の成分組成と表示の許可基準」/厚生労働省

母乳と育児用ミルクの栄養価を比較してみると、エネルギー源となる「タンパク質」「脂質」「炭水化物」はほぼ同じくらいです。しかし、ビタミンやミネラルは、全体的に育児用ミルクのほうが多く含まれているとわかります。
母乳は、赤ちゃんの必要量に対してビタミンDやビタミンKが不足しやすいのです。一方で、育児用ミルクは栄養素をまんべんなく摂取できるように作られています。

便秘のなりやすさの違い

母乳・育児用ミルクに関わらず、離乳食が始まる前から便秘になる赤ちゃんはいます。便秘の原因として考えられるのは、飲む量が足りていないケースです。母乳の場合は、量がわかりづらいので、一時的に育児用ミルクもプラスして与えてみるとよいでしょう。

うんちの違い(0~4カ月頃)

母乳と育児用ミルクでは、赤ちゃんのうんちにいくつかの違いが見られます。

母乳栄養児のうんち

「黄色い便」の出るケースが多いといわれています。赤ちゃんの腸内細菌の多くをビフィズス菌が占めている点が関係しているようです。
腐敗臭は少なく、甘酸っぱいようなニオイがします。液状やペースト状のゆるいうんちで回数は多めです。

人工乳(育児用ミルク)栄養児のうんち

「緑色の便」が出るケースが多いといわれています。赤ちゃんの腸内細菌の割合が、比較的ビフィズス菌が少なく、ほかの腸内細菌が多い点が関係しているようです。
母乳栄養児に比べると酸っぱい香りは強くありません。ベタッとした粘り気のあるうんちが多いです。母乳に比べて飲む回数が少ないので、便の回数も少なめです。
よって、黄色や緑色の便は、正常なので心配いりません。また、ツブツブが混ざっている場合がありますが、「顆粒便」といってカルシウムや脂肪が固まったもので正常なうんちです。一方で、「白」「黒」「赤」の便は、病気の可能性があります。医療機関に診てもらったほうがよいでしょう。

混合栄養の赤ちゃん

母乳とミルクの割合によって、それぞれのうんちの特徴に比例します。

腹持ちの違い

育児用ミルクは、母乳よりも消化に時間がかかるため、腹持ちがよいです。母乳は、赤ちゃんにとって消化吸収しやすい組成になっています。

 

母乳とミルク、それぞれのメリットや注意点

母乳育児とミルク育児では、それぞれメリットや注意点があるのでご紹介します。

母乳育児のメリット

母乳育児は、ママや赤ちゃんにとって多くのメリットがあります。

免疫物質が多い

免疫物質が多く(とくに産後1週間頃までの初乳に多い)ので、赤ちゃんを感染症から守る働きがあります。

愛情ホルモンが分泌される

母乳をあげると、ママの体内で「愛情ホルモン(オキシトシン)」が分泌されます。赤ちゃんとの愛情形成に有効です。

ママの体の回復が早い

母乳をあげると、子宮が収縮するため産後の子宮の回復が早くなります。

産後ダイエットに効果的

母乳でカロリーを消費できるので、体重減少がスムーズです。

病気のリスクが低減

ママへのメリットは、糖尿病などの生活習慣病や卵巣がん・乳がんのリスク低減です。また、赤ちゃんの乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症リスクを減らします。

いつでもすぐに授乳できる

外出中や災害時など、授乳する場所を確保する必要はありますが、お湯や粉ミルクがなくても、すぐに授乳できます。

母乳育児の注意点

ママが口にしたものが母乳を通じて赤ちゃんに移行し、影響を与える場合があるので、注意すべき点が多くあります。

お酒は控えめに

お酒に含まれるアルコールが赤ちゃんに移行するので、控える必要があります。どうしても飲みたい場合は、授乳の直後に少量に留めましょう。個人差がありますが、一般的に血中アルコール濃度は30分ほどで1/2に、約3時間以上空けると検出できないほどになるとされています。

コーヒーは一日1~2杯まで

コーヒーに含まれるカフェインが赤ちゃんに移行するので、控える必要があります。カフェインは、飲んだあと15分~30分で母乳に影響を与えますが、その母乳を飲んだ赤ちゃんが吸収するカフェイン量は、ママが摂った量の1%未満です。そのため、全く禁止する必要はありません。

コーヒーのほか、緑茶・エナジードリンク・栄養ドリンク・紅茶などにもカフェインが含まれているので、飲み過ぎには注意しましょう。

一部の内服薬が飲めない

薬の成分が赤ちゃんに移行してしまうため、一部の内服薬は授乳中に飲めない場合があります。薬を処方してもらう際は、医師に授乳中である点を伝えましょう。

鉄・ビタミンDが不足しやすい

母乳で育った乳幼児は、育児用ミルクや混合栄養の乳幼児に比べて、鉄やビタミンDの摂取量が少ない傾向がわかっています。「鉄欠乏性貧血」やビタミンD欠乏症である「くる病」を発症する子どもの多くは母乳のみで育てられている乳幼児です。離乳食によって、しっかりと栄養を補完していく必要があります。

ママの代わりがいない

完全母乳の場合、他人に預けるのが難しいため、常に赤ちゃんと一緒にいなければなりません。ママの体調不良や用事があっても、休養時間を確保しにくいのが難点です。

ミルク育児のメリット

ミルク育児ならではのメリットもたくさんあります。自分のライフスタイルに合わせて、ミルク育児や混合栄養で育てる選択肢もあるでしょう。

お酒・コーヒーなどの制限がない

ママが摂取した成分が赤ちゃんへ移行しないので、自分の好きなものを口にできます。

パパも授乳育児ができる

哺乳瓶での授乳ならパパにもできます。赤ちゃんを撫でたり、触ったりスキンシップしながらミルクをあげると、「愛情ホルモン(オキシトシン)」が分泌されるので、より育児参加に積極的になるでしょう。
また、外出先で授乳に使うベビールームは、女性専用の場所が多いですが、育児に積極的に関わるパパ達の声で、男性も利用できるベビールームも設置され始めています。

ママが休める

ママ以外の人に授乳を任せられるので、赤ちゃんを預けてママは気分転換したり、体調不良のときは体を休める時間を作りやすいでしょう。

よく寝てくれる

母乳よりも育児用ミルクのほうが、夜ぐっすりと寝てくれる場合が多いようです。その分、ママもしっかり体を休められるでしょう。

ミルクの量が把握できる

母乳では量が足りているかどうかわかりづらいですが、育児用ミルクでは明確にわかります。ママの安心感につながるでしょう。

ミルク育児の注意点

ミルク育児の注意点についても知っておきましょう。

産後の体の回復が遅れる

おっぱいを吸われるとオキシトシンというホルモンが分泌され、子宮を収縮させます。ミルク育児では、その効果は期待できないため、産後の回復が遅れる傾向もあります。

お金がかかる

ミルク育児の場合、母乳育児では不要な「粉ミルク」を定期的に買わなければいけません。成長にともない飲む量も増えるので、出費が大きくなります。

外出時の荷物が多い

ミルク育児の場合、母乳育児では不要な「哺乳瓶」「粉ミルク」「お湯を入れた水筒」などが必要です。準備や洗い物の負担も増えます。

飲ませるまでに手間と時間がかかる

育児用ミルクを飲ませるには、70度以上に湯を沸かして、粉を溶かし、適温に冷ます必要があります。哺乳瓶を洗浄・殺菌する必要もあるので、母乳に比べて手間がかかるでしょう。

 

母乳とミルク、結局どっちがいいの?

日本では「母乳で育てたい」と考えているママが多いようです。しかし、母乳と育児用ミルクには、それぞれ違った特徴やメリットがあります。
基本的に母乳が出る場合は、母乳を優先して、「母乳が出ない」「赤ちゃんの体重が増えない」など、ママや赤ちゃんの体調・ライフスタイルに合わせて、育児用ミルクを上手に活用するとよいでしょう。

 
あなたに合った方法がベスト

日本では、「母乳育児が基本」という考えが根強いので、「ミルクだと愛情不足になるのでは!?」と不安になる親御さんもいます。しかし、大切なのはどのように授乳をするかです。育児用ミルクであっても、赤ちゃんを抱いて、目を見て、声をかけながらの授乳によって、愛情形成を育んでいけます。
また、赤ちゃんは、お母さんの胎盤から多くの免疫物質をもらって生まれてきます。その免疫は、生後6カ月頃までしっかりと働くのです。日本には、心強い予防接種もたくさんあります。母乳にはミルクに比べ、免疫物質が多く含まれています。ですが、ミルクだからといって心配する必要はありません。
母乳と育児用ミルクは、それぞれよい点があるので、あなたに合った方法で授乳するとよいでしょう。

  • 高村 恵美

    管理栄養士ライター高村恵美

    12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
    自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。

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