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塩分過多によるむくみを解消するには?管理栄養士がおすすめする食べ物や飲み物・減塩方法を紹介

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2024/04/26

塩分過多はむくみの原因の1つとして、広く知られています。日本人の平均塩分摂取量は1日に10g以上で、実は男女ともに目標量を大幅にオーバーしているのです。むくみを解消したい方は、どれくらいまで減塩すべきかを知ることから始めましょう。管理栄養士の目線から、おすすめの食べ物や飲み物、お酒の席で塩分を摂り過ぎない方法をお伝えします。塩分でむくみが生じるメカニズムや塩分が排出されるまでの時間もあわせて知り、むくみ知らずな毎日を目指しましょう。

 

「塩分」で「むくみ」が生じるメカニズムとは?

むくみの原因は、体の冷えや血行不良など複数ありますが、食事面では「塩分の摂り過ぎ」が問題視されています。
私たちの体は塩分濃度を一定に保とうとする働きがあるため、塩分を摂り過ぎると濃度を薄めようと水分を溜め込み、むくみの原因になるのです。

 

むくみを予防するために適切な塩分量をチェックしよう

食塩は、ナトリウムと塩素の化合物です。ナトリウムは、血液・リンパ液・骨といった組織に存在している必須ミネラルの1つであり、体の機能調節に欠かせません。
「減塩=健康」のイメージは強いですが、やみくもに減らせばよい訳ではないのです。

1日に必要な塩分量とは?

日本人の食事摂取基準2020年版では、成人の塩分目標量を以下のように設定しています。

  • ・男性:7.5g未満/日
  • ・女性:6.5g未満/日

ただし、塩分の必要量は健康状態や活動量により異なり、血圧が高めの方(最高血圧:130mmHg以上、最低血圧:85mmHg以上)は「1日6g未満」と、さらに厳しい目標量が設定されています。

参照:日本人の食事摂取基準(2020 年版)

塩分過多ってどのくらい?

日本人の食事摂取基準(2020年版)に塩分過多(耐容上限量)の明確な量は示されていません。食塩に関しては、過剰摂取による健康障害のリスク以前に、生活習慣病の発症と重症化の予防が重要視されているのです。
健康維持のためには、食塩の目標量(男性:7.5g未満/日、女性:6.5g未満/日)を超えると、「塩分の摂り過ぎ」と認識しておくのがよいでしょう。
しかし、日本人の平均的な塩分摂取量は、令和元年国民健康・栄養調査で1日10.1gとの結果が出ており、塩分の摂り過ぎが問題視されているのです。

参照:令和元年国民健康・栄養調査

余計な塩分が排泄されるのは何時間後?

塩分の構成成分であるナトリウムは、摂取したうちの95%以上が尿として排出されます。摂取した栄養分は、塩分に限らずおよそ24~48時間で体外に排出されるのが一般的です。

塩分不足になるとどうなるの?

日本人の食事摂取基準2020年版では、成人が摂るべき塩分の最低必要量を1日1.5gと設定しています。
しかし、塩分を減らし過ぎた場合、健康にどのような影響があるかは、いまだ解明されていません。塩分に関する研究は複数行われていますが、結果に一貫性が見られず、「塩分摂取量が少ないほど、死亡率が低下する」との結果もあれば、「塩分摂取量が1日4g未満の場合は、死亡率が上がる」といった報告もあるのです。
世界の食文化をのぞいてみると、塩を全く摂らない民族もいます。例えば、アマゾンの狩猟採集民(ヤマノミ)の主食は川魚や野生動物ですが、味つけは一切しません。彼らは食材に含まれる1~3gほどのごくわずかな塩分摂取量で生きています。無塩文化を送る人々を対象に行われた調査では、なんと高血圧や脳卒中の方は一人もいませんでした。
世界の研究結果や無塩文化を送る食文化を考慮しつつも、慎重な立場をとるなら1日4g未満の減塩には注意が必要です。しかし、醤油や味噌が欠かせない日本の食文化では、塩分不足になる可能性は極めて低いでしょう。

参照:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
 

むくみにつながる塩分過多な4つの食習慣とは?

以下の食習慣に1つでも当てはまる方は、塩分を摂り過ぎている可能性が高いので、減塩を心がけましょう。

1.加工食品をよく食べる

ちくわやはんぺんといった練り製品、佃煮や漬物、ベーコンやハムといった加工食品には、多くの塩分が含まれています。普段から加工食品をよく食べる人は、塩分を摂り過ぎている可能性が高いでしょう。

2.調味料をよく使う

塩・醤油・味噌といった塩辛い調味料だけでなく、手頃な料理酒・みりん風調味料・ケチャップにも塩分が含まれています。料理に多用していると、あっという間に塩分の目標量を超えてしまうので要注意です。

3.食べる量が多い

一つひとつは減塩メニューでも、食べる量が多ければ塩分量も増えてしまいます。適量を守るのが大切です。

4.外食やお惣菜が多い

外食やお惣菜はおいしさを重視しているため、塩分が多い場合がほとんどです。
とくに、とろみのついた麻婆豆腐やあんかけ焼きそば、カレーといったメニューは、塩分が多いので控えましょう。麺類の汁を残す、料理のタレ・ソースをつけないといった工夫も有効です。

 

むくみ予防のために、お酒の席で塩分を控えるには?

塩分過多によるむくみを解消するには?

お酒の席では塩分多めのおつまみが多く、過剰摂取になりがちです。
以下の点に注意して、塩分の摂り過ぎを回避しましょう。

セルフの調味料(塩分入り)は使用しない

セルフで利用できる塩分入りの調味料は、なるべく使用しないようにしましょう。
参考までにかけ調味料の塩分量を紹介します。

<調味料(小さじ1)に含まれる塩分量>

<調味料(小さじ1)に含まれる塩分量> 参照:「調味料の食塩相当量」/厚生労働省

香辛料・薬味・酸味を使用する

こしょう・一味・七味といったセルフの調味料は、使用しても大丈夫です。
薬味のしょうが・ねぎ・大葉、付け合わせのレモン・柚子・カボスの風味を利かせれば、塩分控えめでも食べやすくなります。

シメのラーメンやお茶漬けは控える

お酒のシメのラーメンやお茶漬けは、塩分過多になるので控えましょう。ラーメン1杯の塩分含有量は約6gとされており、女性の一日の塩分目標量6.5gに迫る塩分が含まれています。スープを残せば2~2.5g程度を減塩できますが、それでも3.5~4gの塩分摂取になるのです。

食べ過ぎないように、主食・主菜・副菜・デザートをゆっくり楽しむ

濃い味のメニューは少量に留めて、ほかの料理はなるべく素材の味を楽しめるメニューにしましょう。下記のように、主食・主菜・副菜・デザートのパターンを決めると、満足感を得られます。さらに、ゆっくり噛んで食べると満腹感が得られ、食べ過ぎ防止に効果的です。

  • 例)
  • ・「主食」は、色付きごはんや麺類ではなく白米や雑穀米を1食分しっかり食べる
  • ・「主菜」は、味が濃いので1品にする
  • ・「副菜」は、野菜にしてドレッシングをかけない(主菜と一緒に食べると摂取しやすい)
  • ・「デザート」は、甘いものやフルーツにする
 

塩分過多によるむくみ解消におすすめな食べ物・飲み物

塩分を摂り過ぎてむくんでしまった場合に、積極的に摂りたい食べ物や飲み物を紹介します。

「カリウム」が豊富な食品

カリウムは、塩分を体外へ排出する働きがあります。以下の食品を積極的に取り入れましょう。

  • ・するめ
  • ・バナナチップス
  • ・干し芋
  • ・きなこ
  • ・ピスタチオ
  • ・青汁(ケール) など

「サポニン」を含む食品

サポニンは、利尿作用があるため余分な塩分を体外へ排出するのに役立ちます。以下の食品を積極的に取り入れましょう。

  • ・大豆製品
  • ・ごぼう
  • ・あずき
  • ・すいか
  • ・きゅうり など

白湯

むくみの対策には、こまめに白湯を飲むのがおすすめです。冷たい飲み物は、血液循環を悪化させるため、むくみの原因になります。
また、むくみ予防のために水分を控えるのは効果がないうえに、水分不足となり静脈に血栓ができる危険性があるのでおすすめできません。
適切な水分補給量は、食事以外から1.5リットル前後が目安とされています。一度に吸収できる水分量(コップ1~2杯程度)を、起床時や就寝前・3度の食事の際に分けて飲むとよいでしょう。

 
生活習慣の見直しで「むくみ」とおさらばしよう

むくみの原因は、塩分過多だけでなく「長時間の同じ姿勢」「身体の冷え」「お酒の飲み過ぎ」「運動不足」「病気」など多岐に渡ります。
塩分を控えてもむくみが改善しない場合は、ほかに原因があるかもしれません。適度に運動したり、湯船に浸かって身体を温めたり、お酒を控えるといった生活習慣の見直しが大切です。
症状が辛い場合は、病気が潜んでいる可能性があります。医療機関を受診し、原因を明らかにして、適切な治療を受けましょう。

  • 高村 恵美

    管理栄養士ライター高村恵美

    12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
    自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。