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風邪にスポーツドリンクはダメ?飲みすぎによるリスクと管理栄養士がおすすめする経口補水液の作り方も伝授

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2025/08/22

「風邪のときにスポーツドリンクを飲むのはダメ」との声もありますが、注意すべきは飲む量です。飲みすぎると、糖質や塩分の過剰摂取やペットボトル症候群を招く恐れがあります。また、下痢や嘔吐・高熱により脱水が懸念される際は、経口補水液を活用するのがおすすめです。急な体調不良で買いに行けないときも、砂糖と塩で簡単に作れるレシピを紹介します。正しく水分補給をして、一日も早く元気な毎日を目指しましょう。

 

風邪のときにスポーツドリンクで水分補給するのは適切?

風邪により発熱しているとき、スポーツドリンクは手軽な水分補給としてよく飲まれます。適量であれば水分やエネルギーを効率よく補えますが、飲みすぎると「ペットボトル症候群」をはじめとした健康への悪影響を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。スポーツドリンクを飲む際の注意点をチェックしておきましょう。

スポーツドリンクは飲みすぎなければ水分補給のサポートに便利

風邪で発熱している際は、汗や呼吸によって体内の水分がどんどん失われます。脱水を防ぐには、こまめな水分補給が大切です。スポーツドリンクには、カラダに必要な塩分(ナトリウム)や糖質が含まれており、水分と一緒に電解質(体内の水分バランスや神経の働きを保つミネラル)やエネルギー源をまとめて補えます。 ただし、一度に大量に飲むと、健康に悪影響を及ぼす可能性があり注意が必要です。糖質の過剰摂取による血糖値の急上昇や、塩分の摂りすぎによる血圧の上昇・腎臓への負担が考えられます。 一般的なスポーツドリンクに含まれる糖質は5~6%ほどです。清涼飲料水に比べると控えめですが、角砂糖(1個あたり3g)に換算すると約10個分もの糖質が入っている製品もあります。甘く飲みやすいため、ゴクゴク飲んでしまいがちですが、少量ずつこまめに摂るよう心がけましょう。

スポーツドリンクの飲みすぎは「ペットボトル症候群」を招くリスクも

スポーツドリンクを大量に飲むと血糖値が急上昇し、「ペットボトル症候群」と呼ばれる状態を引き起こすリスクがあります。 とくに、10~30代の若い世代や肥満傾向のある人に多く見られる糖尿病合併症です。高血糖が続くとのどが渇きやすくなり、さらに多くの飲み物を摂取しようとします。血糖を下げるホルモンの働きが悪くなり悪循環を招いてしまうのです。症状が重くなると、意識障害や昏睡に至るケースもあるため、スポーツドリンクを大量に飲む習慣は控えましょう。

参照:「夏の暑さとペットボトル症候群、そして上手な水分補給のコツを解説!」/南東北グループ 医療法人財団 健貢会 総合東京病院
 

なぜ、風邪のときにスポーツドリンクがおすすめなのか?

風邪をひいたときの水分補給には、単なる「水」ではなく、塩分や糖質を含んだスポーツドリンクがおすすめされる場合があります。発熱や下痢・嘔吐により失われる水分だけでなく、カラダに必要な栄養成分を同時に補えるためです。スポーツドリンクが風邪のときに選ばれる理由を、カラダの仕組みと習慣の両面から解説します。

食欲がないときも飲みやすいから

風邪をひくと発熱や下痢・嘔吐を伴うケースが少なくありません。体内の水分とともに、ナトリウムやカリウムといった電解質、エネルギー源となる糖質も失われやすくなります。 私たちのカラダは、体液濃度(浸透圧=水に溶けている糖質・塩分の濃度)を一定に保ち、健康を維持しているため、体液バランスが崩れると不調を招くのです。 水分だけを補給しても、電解質が不足したままだと、かえって体液バランスが崩れてしまうリスクがあります。 とくに風邪をひくと食欲が落ちて、食事から十分な栄養を摂りにくくなるため、水だけでは必要な成分を補えません。 スポーツドリンクなら、食欲がなくても飲みやすく、水分・電解質・糖質をまとめて手軽に補えるため、体調管理に役立ちます。

手軽にエネルギーや塩分を摂れるから

昔から日本では、風邪をひくと「塩を少し加えた重湯」や「梅干し入りのおかゆ」が食べられてきました。食欲がなくても比較的摂りやすく、体調維持に必要な塩分や糖質・水分を同時に補えるのが先人の知恵です。 スポーツドリンクも同様に、手軽に塩分や糖質・水分補給をサポートできるため、体調がすぐれないときに重宝します。

 

スポーツドリンクと経口補水液との違いと風邪の際の選び方

風邪をひくと水分や電解質が失われやすいため、脱水に注意が必要です。とくに高齢者や子どもは脱水を招きやすいため、早めの対策が求められます。 水分補給には「スポーツドリンク」のほか、「経口補水液」が役立ちますが、双方は成分濃度や目的が異なるため、症状に応じた使い分けが重要です。

風邪のひき始め・軽い発熱には「スポーツドリンク」を

軽度の発熱や、少し汗をかいた程度の脱水には、糖質が多めに含まれていて飲みやすいスポーツドリンクがおすすめです。エネルギー補給にもなるため、体力維持を目的としたい場面で活躍します。 スポーツドリンクは、経口補水液に比べると糖質が多く塩分が少なめに配合されているため、甘くて飲みやすいのです。体液に近い浸透圧になるよう設計されており、体内へ素早く吸収されやすい特長があります。

嘔吐・下痢・高熱があるときは「経口補水液」を

嘔吐・下痢・高熱により、カラダから水分がどんどん失われて脱水が懸念される状態では、スポーツドリンクよりも経口補水液が適しています。経口補水液は、ナトリウムやカリウムといった電解質を多く含み、糖質は控えめです。 水分と塩分の吸収効率が高く、重度の脱水リスクがある場面に向いています。味にやや塩気を感じるため、市販品では飲みやすい味付けに工夫されているのがポイントです。症状に合った飲み物を選んで、脱水を防ぎましょう。 とくに下記の症状があるときは経口補水液が適しています。

<風邪で経口補水液が適している症状の目安>


  • ・高熱で大量に汗をかいている
  • ・嘔吐や下痢が続いている
  • ・水を飲んでもすぐに吐いてしまう
  • ・口中が渇く、尿量が減る
 

風邪をひいたときにおすすめな経口補水液の作り方

風邪による発熱や下痢・嘔吐が続くと、水分とともにカラダに必要な塩分や電解質が奪われてしまいます。そんなときに役立つのが、カラダに吸収されやすい成分で作られた「経口補水液」です。市販製品もありますが、じつはご家庭にある材料でも簡単に作れます。 万が一に備えて、正しい分量を覚えておくと安心です。好みに合わせて柑橘果汁を加えると、さっぱりと飲みやすくなりますよ。

  • 【材料】(作りやすい分量)
  • ・水 1L
  • ・砂糖 大さじ4と1/2(40g)
  • ・塩 小さじ1/2(3g)
  • ・柑橘果汁(レモン・ライムなど) お好みで

  • 【作り方】
  • ① 水筒やピッチャーに、すべての材料を入れ、菜箸でよくかき混ぜて溶かします。
  • ② お好みで柑橘類果汁を加えましょう。すっきりと飲みやすくなります。
 
風邪のときには飲み方や温度にも気をつけよう

風邪をひいた際の水分補給では、カラダへの負担を避けるために、少量ずつこまめに摂る心がけが大切です。さらに、冷たすぎる飲み物は刺激となるため、常温が望ましいでしょう。糖質や電解質を含むスポーツドリンクは、栄養補給のサポートにピッタリです。加えて、普段から自分の体調や好みに合わせて飲み物の温度や種類を調整する習慣をつけると、風邪の時期も快適に過ごしやすくなります。

  • 高村 恵美

    管理栄養士ライター高村恵美

    12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
    自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。