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運動後の疲労対策で差をつけよう。食事やストレッチ、コンディションを整えるためのセルフケア術完全版

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2025/09/12

運動後に疲労を感じるのは、エネルギーの不足や脳の疲労などが原因です。早めにケアしないと、パフォーマンスの低下やケガのリスクを増大させてしまいます。
疲労を残さないためには、運動前はもちろん、運動後のセルフケアが大切です。適切な時間に栄養素を補給し、ストレッチやジョギングなどで心身を整えましょう。
栄養素の補給は食事が基本です。しかし、運動後すぐに食事が摂れないときにはプロテインを活用しましょう。

 

運動後に疲労を感じる原因とは

運動後に疲労を感じるのは、エネルギーの不足・脳からのサイン・筋肉の痛みや損傷・活性酸素の発生が原因です。練習や試合が繰り返されるアスリートや、スポーツを習慣的にしている人は、早い段階で疲労対策に努める必要があります。

エネルギーの不足

運動の主なエネルギー源は、筋肉や肝臓に蓄えられている糖質(グリコーゲン)です。激しい運動を続けると、グリコーゲンが大量に消費されて枯渇状態になります。体内でエネルギーが不足すると、血糖値が低下。スタミナ切れや集中力の低下といった形で疲労を感じるようになります。

脳の疲労

「疲れた」と感じるのは、実は脳からのサインです。運動で汗をかくと、筋肉の動きや神経伝達に関与しているマグネシウム・カリウム・カルシウムといったミネラルが、体外へ排出されます。ミネラルが不足すると、神経系の働きが鈍り、筋肉のけいれんや集中力の低下を招くため、体の動きを指令する脳が疲労してしまうのです。

筋肉の痛みや損傷

筋肉を作っているのは、筋繊維(きんせんい)と呼ばれる細い線維の束です。運動によって筋肉に負荷がかかると、筋繊維に微細な傷がつくのですが、傷の修復過程で炎症反応が起こります。筋肉痛が発生するのは、炎症反応により痛みを感じさせる物質が生成されるためです。筋肉の修復作業には主にタンパク質が材料として使われ、筋肉はより強く再生されます。

活性酸素の発生

運動中は多くのエネルギーを生み出すために、体内に大量の酸素を取り込みます。取り込む過程で、一部の酸素は反応性が高い「活性酸素」に変化。適度な量の活性酸素は体によい働きもしますが、過剰に発生すると、細胞を酸化させて傷つけ、機能を低下させてしまいます。活性酸素による酸化ストレスが、自律神経や筋肉の疲労感につながると考えられているのです。

 

運動後に疲労が溜まっているときに考えられるリスク

運動後に疲労が溜まっていると、パフォーマンスの低下やケガのリスクの増大といった心配が生じます。十分な休息をとっても疲労が抜けず、競技成績の低下や全身の倦怠感が続くときは「オーバートレーニング症候群」かもしれません。

パフォーマンスの低下とケガのリスク増大

運動後の疲労を放置し、蓄積させてしまうと、体は回復しきれないまま次のトレーニングが始まる状態になってしまいます。回復していない体では、筋力や持久力、集中力といった運動パフォーマンスが著しく低下。本来持っている力を発揮できなくなります。
また、疲労によって体の反応速度やバランス感覚が鈍るため、思わぬ転倒や肉離れについても、心配しなければなりません。日々のケアを怠ると、選手生命にも影響を及ぼします。

運動後の血圧チェックで分かるオーバートレーニング症候群

十分な休息をとっても疲労が抜けず、競技成績の低下や全身の倦怠感が続く場合、「オーバートレーニング症候群」の可能性があります。初期症状は軽くて気づきにくいですが、進行すると頭痛・睡眠障害・食欲不振といった症状が出て、日常生活にも支障をきたしてしまうかもしれません。一つのサインとして、運動後に安静時の心拍数や血圧に戻る時間が通常より長くなる特徴があります。普段から血圧や心拍数をチェックし、異常を感じたら専門医に相談するのが重要です。

 

疲労を残さず、パフォーマンスを維持するための運動前対策

運動前にしっかり対策をして、運動後に疲労を残さないようにしましょう。運動開始1~2時間前に、BCAAや果汁100%のオレンジジュースを摂取するのがおすすめです。さらにウォーミングアップを行い、全身の血流を促して筋肉の温度を上昇させましょう。

運動開始1~2時間前のエネルギー補給

運動中のエネルギー切れを防ぎ、集中力を維持するために、運動開始前にエネルギーを補給するときには、BCAAを含む食事やサプリメントを検討してみましょう。手軽に補給したいときには、果汁100%のオレンジジュースや甘酒もおすすめです。

BCAA

BCAA(分岐鎖アミノ酸)は、必須アミノ酸であるバリン・ロイシン・イソロイシンの総称です。運動時には筋肉でエネルギー源として利用されるため、事前に摂取しておくと、筋肉の分解を抑制し、パフォーマンスの維持に役立つでしょう。さらに、BCAAには運動後の筋肉痛や疲労感の軽減に役立つとされています。食事やサプリメントで意識的に補給したい栄養素です。

果汁100%のオレンジジュース

手軽なエネルギー補給として、果汁100%のオレンジジュースがおすすめです。疲労対策に役立つクエン酸とビタミンCを同時に摂取できます。とくにビタミンCは、汗で失われやすい鉄やカルシウムの吸収をサポートする栄養素です。
また、オレンジの香り成分であるαリモネンにはリラックス効果も期待でき、心身ともによいコンディションで運動に臨めます。

甘酒

甘酒は発酵過程で作られるビタミンやアミノ酸を豊富に含むため、別名「飲む点滴」とも言われています。米こうじの甘酒はでんぷんがブドウ糖に分解されているため、体に吸収されやすく、エネルギー補給や疲労対策に効果的です。

参照:こうじ甘酒の成分・機能性・安全性/生物工学会

運動前に全身のウォーミングアップ

運動前のウォーミングアップは、ケガの予防とパフォーマンス向上のために不可欠です。全身の血流が促進され、筋肉の温度が上昇します。ウォーミングアップにより、筋肉や腱の柔軟性が高まり、関節の可動域も広がるのです。また、運動前に体を温めると、筋疲労に対する耐性が向上する可能性も研究で示されています。

参照:分岐鎖アミノ酸(BCAA)摂取がレジスタンス運動後の遅発性筋痛および筋疲労に及ぼす影響/J-stage
参照:分枝アミノ酸摂取の有無が運動負荷中の筋疲労に及ぼす影響/徳島文理大学研究紀要第103号.令和 4.3
参照:運動前の温熱刺激が筋疲労耐性に与える影響/J-stag
 

運動後が本番!コンディションに差がつくセルフケア術

疲労対策は、運動後が本番です。糖質・タンパク質・ビタミンB群といった栄養素を適切な時間に補給しましょう。また、クールダウンで心身を落ち着かせ、入浴や睡眠で生活習慣を整えるのがおすすめです。

運動後の食事による栄養補給はゴールデンタイムを逃さないで

運動後は、糖質・タンパク質・ビタミンB群を中心に、適切なタイミングで栄養を補いましょう。栄養素は、具材にタンパク質を使ったおにぎりなどセットで摂るのが理想的です。

糖質

運動で消費したエネルギー源(グリコーゲン)を補うため、糖質の補給は最優先事項です。とくに運動後30分以内は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、体が糖質をもっとも効率よく吸収し、筋肉に蓄えようとします。タイミングを逃さず、おにぎり・バナナ・ゼリー飲料などを摂取しましょう。具材に鶏そぼろや鮭が入ったおにぎりなら、タンパク質も同時に摂れて一石二鳥です。

タンパク質

運動で傷ついた筋繊維を修復し、より強い筋肉を作るためには、材料となるタンパク質が欠かせません。タンパク質の摂取も、運動後45分以内が効果的とされています。糖質と同時に摂取すると、筋肉の合成がより促進されるため、セットで考えるのが理想的です。鶏むね肉・魚・ゆで卵・牛乳やヨーグルトといった乳製品などを積極的に食事に採り入れましょう。

ビタミンB群(B1, B2, B6)

糖質やタンパク質を効率よくエネルギーに変えたり、体の材料にしたりするためには、潤滑油の役割を果たすビタミンB群が必要です。激しい運動をすると消費量が増えるため、意識的な補給が大切。糖質の代謝を助けるビタミンB1は豚肉に、脂質の代謝に関わるB2は牛乳や卵に、タンパク質の分解・合成を助けるB6はマグロやカツオといった赤身魚に多く含まれています。

運動後のクールダウンで心身を鎮静モードへ

筋肉の収縮機能をケアするには、ジョギングなどの全身を使った軽運動による積極的な休息方法が効果的です。しかし、精神的な疲労や筋肉痛を抑える意味では、ストレッチやマッサージも有用とする報告もあります。

ストレッチ

運動後にゆっくりと筋肉を伸ばすストレッチは、クールダウンの基本です。筋肉の緊張を和らげ、血流を促進して、疲労物質の排出を助けます。また、心拍数を落ち着かせ、興奮した交感神経からリラックスモードの副交感神経へ切り替えるスイッチとなり、心身の鎮静化に役立ちます。心地よい伸びを感じながら、深い呼吸と共にストレッチしましょう。

軽いジョギング

疲労対策には、体を休ませる「消極的休息」だけでなく、軽く体を動かす「積極的休息」も有効です。息が上がらない程度の軽いジョギングは、全身の血流を促進し、疲労物質の除去を早める効果があります。ただし、激しすぎる運動は疲れの原因になる活性酸素を生み出し、自律神経を疲弊させるため、やりすぎは禁物です。「少し汗ばむ程度」を目安に、週に数回程度取り入れるようにしましょう。

マッサージ

セルフマッサージは、リラックスさせたり、自然治癒力の向上をもたらしたりするのに効果的です。運動直後ではなく、炎症が少し落ち着いた翌日以降にするのがよいでしょう。手のひらで優しくさすったり、親指で心地よい圧をかけたりと、部位や状態に合わせておこないます。ただし、やりすぎは自己回復力を弱める可能性もあるため、毎日ではなく体の状態を見ながらマッサージしましょう。

入浴で血行を促進し、リラックスを

38~40℃程度のお湯にゆっくり浸かるのは、疲労対策に非常に効果的です。全身の血行が促進され、筋肉の弛緩と疲労物質の排出を助けます。運動直後の入浴は避け、汗がひいて呼吸が整う30分~1時間後がベストタイミングです。体の深部体温が一旦上昇した後、体温が低下すると入眠しやすくなる効果も期待できます。

コンディショニングは「質の高い睡眠」から

体の疲労対策に不可欠なのが、睡眠です。睡眠中、とくに眠り始めの深いノンレム睡眠時に「成長ホルモン」がもっとも多く分泌されます。成長ホルモンの働きは、タンパク質の合成促進や、日中に傷ついた筋肉・組織の修復です。
重要なのは睡眠時間だけでなく、「いかに深く眠るか」といった睡眠の質。就寝前のスマホ操作を控えるなど、深い眠りに入れる環境を整えましょう。

参照:疲労回復にはどのような方法が最も効果的か?/国立大学法人信州大学
 
運動後のプロテインは有効な選択肢

コンディションサポートの一助としての栄養摂取は、日々の食事が基本です。しかし、運動後すぐに食事が摂れないときや、手軽に栄養を補給したいときには、プロテインが非常に有効な選択肢となります。
とくに運動直後のゴールデンタイムには、吸収の速いプロテインがおすすめ。自分の目的やライフスタイルに合わせて賢く活用し、効率的な体作りと疲労対策に役立てましょう。

  • 藤野紗衣

    医療ライター・薬剤師藤野紗衣

    ドラッグストアや精神病院、一般病院に薬剤師として勤務。2022年よりフリーライターとして活動。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
    介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター1級。マクロビオティック料理とウォーキングを欠かさない生活を心がけている。