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【医師監修】妊娠糖尿病の妊婦さんのための運動ガイド。ママと赤ちゃんの健康維持に向けてできること

おむつ・おしりふきDIAPER
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2025/12/26

妊娠糖尿病になるとママと赤ちゃんにさまざまなリスクが生じやすくなるため、妊婦健診で診断された場合は、適切な管理が必要となります。
運動もそのひとつ。血糖値のコントロールに効果的で、心身のリラックスにもつながっていくため、妊娠糖尿病の妊婦さんには状態に応じて、適度な運動が勧められています。
医師と相談の上、無理のない範囲で運動を取り入れて、健康な妊娠生活を送りましょう。

  • 成田

    監修医師成田 亜希子

    2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
    臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。 国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。 現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。

 

妊娠糖尿病の妊婦さんは運動してもいいの?

妊娠中の適度な運動は、血糖値のコントロールを改善する効果があるとされています。さらに、ストレスの軽減や出産に向けた体力づくりのためにも運動は重要です。
ただし、運動を始める際は、必ず医師に相談し、指導を受けましょう。個人差や妊娠の状態によって、適した運動の種類や強度が異なります。妊娠の状況や糖尿病の重症度などによっては運動がかえって悪い影響をもたらす場合もあるのです。
医師の指示のもと、無理のない範囲で運動をおこないましょう。

そもそも妊娠中でも運動は安全なの?

妊娠中や出産直後でも、運動を怖がる必要はありません。
特別な合併症を持つ場合は、運動を控えるように勧められることもありますが、多くの場合、運動は安全です。

運動を始める前の注意点はあるの?

運動を始める際は、事前に医師または助産師に相談し、あなた自身や妊娠にとって安全かどうかアドバイスを受けましょう。吐き気、腰痛、疲労など、妊娠中の症状がある場合にも、運動を続けるべきかどうか相談してください。
妊娠糖尿病でインスリンを注射している場合は、医師または糖尿病療養指導士と相談を。運動の安全性や血糖値管理について指導を受けてください。とくに、運動前後の血糖値チェックは欠かせません。運動中に低血糖になるリスクを避けるため、インスリンの作用時間や食事とのタイミングを考慮し、運動する時間帯を決めましょう。また、運動中はこまめな水分補給をおこない、脱水を防ぐのも大切です。

運動の強度や時間の長さの目安はどれぐらい?

妊娠中の運動は、体調にあわせておこないましょう。運動の強さは、会話はできるけれど歌うのは難しい程度の強度がおすすめです。
運動時間は1回30分から60分が理想です。普段運動をしていない人は10分から始め、徐々に時間を増やしていきましょう。まとまった時間が取れない場合は、10分程度の運動を複数回に分けておこなっても大丈夫です。

 

運動は妊娠糖尿病にどんな効果が期待できる?

妊娠糖尿病と診断された方は、運動療法を推奨されるケースがあります。運動は、単に体を動かすだけでなく、妊娠糖尿病の管理にさまざまなメリットをもたらしてくれるでしょう。期待できる主なメリットについて解説します。

<妊娠時の継続的な運動で期待できる効果>


  • ・出産に備えて体調を整えておく
  • ・血糖値を目標範囲内にコントロールできる
  • ・赤ちゃんが大きくなりすぎるリスクを減らす
  • ・妊娠中の健康的な体重増加を維持するのに役立つ
  • ・腰痛や股関節痛などの筋肉痛や関節痛を軽減させる

血糖値コントロールの改善

運動は、筋肉が糖をエネルギー源として消費するため、血糖値を下げる効果が期待できます。とくに、有酸素運動は、長時間の運動によって脂肪を燃焼し、血糖値を安定させる効果が期待できます。

妊娠中の健康的な体重増加の維持

妊娠中は、体重が増加するのは自然です。しかし、過度な体重増加は、妊娠糖尿病悪化のリスクを高める可能性があります。運動は、エネルギー消費を促し、健康的な体重増加を維持するのに役立つのです。

出産への備え

妊娠中の運動は、出産に必要な体力づくりにつながります。また柔軟性を高め、腰痛や股関節痛などの筋肉痛や関節痛を軽減させたり、出産時の身体的な負担を軽減する効果も期待できるでしょう。

運動が妊娠糖尿病に効果をもたらした海外の研究例

妊娠糖尿病の妊婦さんが運動するとどのような効果が得られるのか検証した研究結果は多く報告されています。これらの研究結果から、妊娠糖尿病の妊婦さんが運動すると、多くの有益な効果を得られる可能性があるのです。
どのような報告がなされているのか詳しく見てみましょう。

血糖値を下げる効果が期待できる研究報告

アイルランドの研究者チームは、適度な有酸素運動が血糖値のコントロールを改善したとする研究結果を、2018年に報告しています。
この報告によれば、週3回40~60分の有酸素運動(サイクリング、ウォーキングなど)をおこなったところ、妊娠糖尿病の妊婦さんの血糖値コントロールが改善したと明らかになりました。また、妊娠糖尿病の発症リスクとなる肥満に該当する妊婦さんは、有意に妊娠糖尿病の発症が抑えられたとされています。

参照:Effect of exercise modality on markers of insulin sensitivity and blood glucose control in pregnancies complicated with gestational diabetes mellitus: a systematic review/WILEY Online Libray

メンタルヘルスを改善する効果が期待できる研究報告

妊娠中の運動は、ストレスを軽減してメンタルヘルスを改善するとの報告が、2021年にスペインの研究者チームによってなされています。これまでには、妊娠糖尿病の妊婦さんは妊娠糖尿病ではない妊婦さんに比べてストレスを感じやすく、メンタルヘルスの問題を抱えやすいと報告されています。適度な運動は、妊娠糖尿病の妊婦さんに生じやすい、メンタルヘルスのさまざまな問題の軽減につながる可能性が期待できるかもしれません。

参照:Exercise During Pregnancy and Prenatal Depression: A Systematic Review and Meta-Analysisuu/National Library of Medicine
参照:Experiences of stigma, psychological distress, and facilitative coping among pregnant people with gestational diabetes mellitusuu/BMC Pregnancy and Childbirth
 

妊娠糖尿病の妊婦さんにはどのような運動がよい?

妊娠糖尿病と診断された妊婦さんは、妊娠の状況などに応じて運動が推奨されています。心肺機能を高めて脂肪燃焼効果が期待できる有酸素運動、筋肉の強化を目的とする無酸素運動が両方とも必要です。 それぞれどのような運動がよいのでしょうか?

有酸素運動

有酸素運動とは、ウォーキング、ストレッチ、サイクリング、水泳、エアロビクスなど長時間継続しておこなう運動です。これらの運動では、筋肉を収縮させるエネルギーを作り出す際に、糖分と酸素を必要とするため、有酸素運動と呼ばれています。
有酸素運動は血糖値を安定化させ、妊娠糖尿病のリスクとなる肥満を予防する効果があります。そのため、妊娠糖尿病の改善だけでなく予防にも効果があるとされているのです。
とくにウォーキングはストレス解消にもつながり、簡単に始められるため取り組みやすい運動です。また、関節への負担を軽減できる水中でのウォーキングなども妊婦さんに人気があります。

<負荷の少ない有酸素運動としておすすめの運動例>


  • ・ウォーキング
  • ・水泳
  • ・固定式サイクリング
  • ・水中エクササイズ
  • ・低負荷エアロビクス

無酸素運動

無酸素運動とは、短距離走や筋力トレーニングなど短時間に強い力を発揮する運動のことです。運動時に筋肉が収縮するためのエネルギーを作り出すのに酸素がいらないため、無酸素運動と呼ばれています。
無酸素運動は筋肉量を増やして基礎代謝を高める効果が期待できます。そのため、無酸素運動をおこなうと肥満の予防になるだけでなく、血糖値を下げるインスリンというホルモンの効果を高める効果が得られるのです。
妊娠中にできる無酸素運動には限りがあるため、筋力トレーニングはご自身のペースで無理なくできるでおこないましょう。
軽いウエイトを使用した8~15回程度の反復運動を目安にしてください。
スクワットやプランクなどは出産時の体力づくりにもつながるため、身体の不調がなければ積極的に取り入れてくださいね。

<筋力トレーニングをする際の注意点>


  • ・休憩をしっかりとる
  • ・ウエイトを押したり引いたりするときは息を吐き、リラックスするときは息を吸い、呼吸を整える
  • ・よい姿勢を心がける
  • ・骨盤底筋を収縮させたり弛緩させたりする「ケーゲル・エクササイズ」などの骨盤底筋エクササイズも忘れずにおこなう
 

妊娠時期に応じて運動する際の注意点はあるの?

妊娠中は、身体が大きく変化する時期です。とくに、リラキシンというホルモンの影響で関節が緩みやすくなるため、運動には注意が必要です。初期にはつわりや疲労感があり、中期以降は胎児が大きくなることで身体の中心も変わり、バランス感覚が変化します。そのため、それぞれの時期に合った運動を選ぶことが大切です。また、過度なストレッチは関節を痛める可能性があるため避けましょう。運動をする際は、必ず医師や助産師に相談し、自分の体調に合った運動を選ぶようにしましょう。

<妊娠中に避けたほうがよい運動例>


  • ・水上スキーや乗馬など、身体接触を伴う運動や転倒の危険性が高い運動
  • ・胎児は体温調節ができないので、とくに妊娠初期の暖かすぎたり湿度が高すぎたりする環境での運動
  • ・骨盤底に負担をかけるため、運動中の息止め
  • ・妊娠4ヶ月以降に仰向けでの運動(横向きで行うか、立ったまま行う)
  • ・長時間同じ姿勢でいること(ずっと立っている、あぐらをかいて座っている、ヨガのポーズなど)
  • ・妊娠ホルモンの影響で、靭帯が弛緩している可能性があるため、急激な方向転換や跳ねたりすること
  • ・妊娠末期のウォーキング・ランジやシングルレッグ・ステップアップのような一方向だけの過度な運動

妊娠初期に運動する際の注意点

妊娠初期は、ホルモンバランスが大きく変化する時期です。この時期にはつわりが生じる妊婦さんも多く、運動の頻度、時間、種類はそれぞれの体調にあわせたものをおこなうようにしましょう。
定期的に体を動かしていて、体調に問題がなければ、運動は通常続けても問題ありません。ただし、体は変化していくため、転倒に注意する必要があります。また、体調がよい場合でも激しい運動や長時間に渡る運動は避けた方がよいでしょう。
軽めのウォーキングやストレッチなどは血行をよくする効果が期待でき、つわりや便秘など妊娠によって引き起こされる症状の改善も役立ちます。ストレス解消にもよいでしょう。

妊娠中期に運動する際の注意点

妊娠中期はつわりが落ち着き、比較的体調がよく運動も続けやすい時期ですが、お腹が大きくなり体の中心も変わり、身体の変化が著しい時期です。
仰向けに寝ると赤ちゃんが大きな血管を圧迫し、血流が悪くなることもあります。そのため、仰向けになるような運動は避けましょう。また、運動中はこまめな水分補給が大切です。ウォーキングや水泳など、無理のない範囲で運動をおこないましょう。運動をする前には、必ず医師に相談してください。

妊娠後期に運動する際の注意点

妊娠後期はお腹の赤ちゃんが大きく成長するため、最も身体に負担がかかりやすい時期です。お腹が大きくなるため運動すると息切れや疲労感などを感じる妊婦さんも多いでしょう。運動するときは無理をせず、体調にあわせて適度な有酸素運動と筋肉トレーニングをおこないましょう。
また、妊娠後期は腰痛などのマイナートラブル(※)を抱える妊婦さんも増えてきます。身体の痛みがあるときに無理な運動は禁物です。
※マイナートラブルとは
妊娠中は、ホルモンバランスの変化や子宮の成長などにより、つわり、便秘、腰痛といった不快な症状が現れることがあります。これらの症状をまとめて「マイナートラブル」と呼びます。
マイナートラブルは、病気ではなく、妊娠中の体の自然な変化によるものです。個人差はありますが、適切な対処法や休息をとることで、多くの場合、症状を軽減できます。

 

妊娠の状況や体調によっては運動ができない場合もある?

妊娠糖尿病の妊婦さんには適度な運動が推奨されています。しかし、妊娠の状況や体調によっては運動ができない場合もあるのです。
とくに、次のような条件に当てはまる妊婦さんは注意が必要です。

重症の場合

妊娠糖尿病が進行して腎機能が悪くなっている場合には、運動をすると腎臓にさらなる負担をかけることがあります。そのため、重症の妊婦さんには運動を制限する場合があります。

妊娠経過の異常

切迫流産や切迫早産、前置胎盤など安静が必要となる妊娠経過の異常がある場合には運動できなくなります。無理な運動をするとママと赤ちゃんが危険な状況になることもあるため注意が必要です。

 
妊娠糖尿病の妊婦さんは医師と相談して運動を始めるか検討しよう

適度な有酸素運動と無酸素運動は、血糖値のコントロールを改善する効果があります。また、メンタルヘルスなど妊娠糖尿病の妊婦さんで生じやすいトラブルの予防や改善にも効果があるとされています。
妊娠糖尿病と診断された妊婦さん、過去の妊娠で妊娠糖尿病を発症した妊婦さんは無理のない範囲で運動をしてみましょう。
ただし、妊娠の状況や体調によっては運動ができない場合もあります。必ず医師に相談してから運動を始めるようにしましょう。