医療ライター・薬剤師藤野紗衣
ドラッグストアや精神病院、一般病院に薬剤師として勤務。2022年よりフリーライターとして活動。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター1級。マクロビオティック料理とウォーキングを欠かさない生活を心がけている。
新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)とインフルエンザの違いや見分け方、同時検査キットについて知っておくと、発熱時の判断がしやすくなります。同時検査キットは、診断の補助ツールとして適切なタイミングで使用し、陰性であっても感染対策と体調管理を続けましょう。
感染した場合、学校には法律に基づく出席停止期間がありますが、社会人には一律の決まりはありません。事前に勤務先に確認しておくと安心です。
2025~2026年も、季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行が懸念されています。「いつ、どこで感染してもおかしくない」という意識を持ち、最新の情報を把握しておくのが大切です。
厚生労働省の報告によると、定点当たりの感染者数は増減を繰り返しながら、夏と冬の年2回流行するパターンが定着しつつあります。2025年12月時点で主流となっているのは、NB.1.8.1(通称:ニンバス)系統とNB.1.8.1の亜系統株です。ニンバスは咽頭痛が強く、「カミソリを飲み込んだよう」と表現されるほどの激しいのどの痛みを訴えるケースが報告されています。
2025~2026年シーズンは、過去10年と比較しても大規模な流行となる可能性があります。例年、流行期は12月から3月にかけてですが、今季は立ち上がりが早く、2025年10月2日に流行入りが発表されました。患者数は、2003-2004年シーズン以来のスピードで増加しています。早期化の背景には、新型コロナ対策の緩和による人流の増加、免疫を持たない人の増加、海外からのウイルスの持ち込みなどが要因として挙げられています。
参照:ゲノムサーベイランスによる系統別検出状況/国立感染症研究所新型コロナ・インフルエンザ・風邪の初期症状は似通っており、症状だけで原因を特定するのは困難です。そのため、自己判断せず、医療機関の受診や検査キットの結果を判断材料にしましょう。
新型コロナ・インフルエンザ・風邪は、感染経路はほぼ同じですが、原因となるウイルスが異なります。潜伏期間は、インフルエンザは1~3日と短いのに対し、新型コロナは2~14日(株により異なる)、風邪は2~4日程度。また、インフルエンザは急激に発症する傾向があり、新型コロナや風邪は比較的緩やかに症状が出るのが一般的です。
症状だけではウイルスや変異株を特定できませんが、ある程度の傾向はあります。2025年の新型コロナ(ニンバス系統など)は、のどの痛みや咳・痰が強く出る傾向があり、山口大学の研究でも喉頭内腔に重度の炎症が見られると報告されました。一方、インフルエンザは38℃以上の急激な発熱に加え、関節痛・筋肉痛といった全身症状が特徴的です。「発熱とともに、のどの痛みと咳のどちらも強く出る」場合は注意しましょう。
流行期において、絶対に感染しない人はいません。感染しても無症状であったり、ワクチン接種などにより免疫を持ち、軽症で済んでいたりするケースが多いのが実情です。本人は元気でも、ウイルスを保有していれば周囲に感染させるリスクがあります。「自分は大丈夫」と思い込まず、少しでも体調に違和感があるときや、高齢者と会う前にはセルフチェックをするなど、感染拡大を防ぐ行動を心がけましょう。
発熱すると、「すぐに結果を知りたい」と焦って検査をしてしまいがちですが、検査キットには適切な使用タイミングがあります。早すぎるとウイルス量が足りず、正確な判定が難しい(偽陰性)があるためです。
発症直後(発熱直後)はウイルス量が少なく、感染していても陰性と判定される可能性があります。とくにインフルエンザの抗原検査は、発熱から12~24時間経過してからの使用が一般的です。検査のタイミングによって結果が変わる可能性があるため、症状が出てから何時間後に検査したかを記録しておきましょう。同時検査キットは1回の検体採取で両方の抗原を確認でき、医療機関を受診する前のセルフチェックとして活用できます。
参照:アンスペクトコーワSARS-CoV-2(一般用)/興和株式会社陽性の結果が出たら、検査結果を持って医療機関を受診するか、お住まいの自治体のルールに従って療養してください。陰性でも「絶対に感染していない」という保証はありません。偽陰性の可能性も考慮し、引き続き感染対策を行いながら体調管理に努めてください。陰性でも症状が続くときや、体調が悪い場合は、無理をせず医療機関に相談しましょう。
発熱時は病院受診が原則ですが、休日や夜間は休診のため、すぐに診てもらえない可能性があります。新型コロナウイルスやインフルエンザへの感染が疑われる場合は、一般用の検査キットでの確認が便利です。ただし、発熱後に買いに行くと、体への負担が大きくなるだけでなく、周囲に感染を広げる可能性も否定できません。万が一の事態に備えて、元気なうちから事前に検査キットを用意しておきましょう。
年末年始・お盆・ゴールデンウィークといった大型連休は、多くの病院が休診になります。そのため、急な発熱や喉の違和感があっても、かかりつけ医をすぐに受診できない可能性が高いでしょう。休日診療を行っている病院を探す必要がありますが、自宅から遠かったり、非常に混雑していたりするケースも少なくありません。
体調が悪い中で、受け入れてくれる病院を探し回るのは、心身ともに大きな負担です。とくに感染症が流行している時期は、病院が見つかってもすぐに受診できないケースがあります。
関連記事:連休中の急な体調不良で困ったとき病院はどうする?医療機関の探し方や受診の判断基準・注意点とは
新型コロナウイルスやインフルエンザの感染が気になる場合、抗原検査キットは状況を把握するための一助となります。しかし、症状が出てから検査キットを買いに行く行為は、自分にとっても周囲にとっても大きなリスクになるでしょう。高熱や激しい倦怠感がある中、ドラッグストアまで移動するのは、肉体的に非常に過酷です。無理な外出は体力を奪い、回復を遅らせる原因になりかねません。
さらに、移動中や店内で他人にウイルスを移してしまう懸念もあります。店舗には免疫力の低い高齢者や妊婦なども訪れるため、意図せず感染を広げてしまう事態は防がなければなりません。急な発熱で困らないために、健康なうちに備えておきましょう。
体調不良時に備えて、事前に検査キットを購入しておくのがおすすめです。インターネット通販を活用すれば、自宅にいながら誰とも顔を合わせずに検査キットを入手できます。ドラッグストアだと薬剤師と対面して説明を受ける必要がありますが、通販ならネット上の問診で購入可能です。事前準備しておけば、発熱後に外出せずに済み、負担を減らせられるでしょう。
検査キットを通販で購入する場合、注文してから手元に届くまでに通常2~3日程度の日数がかかります。発熱してから注文するのでは間に合わないため、体調に不安がない今のうちに手配を済ませておきましょう。救急箱に常備しておけば、いざというときに役立ちます。
なお、検査キットは「研究用」ではなく、国の承認を受けた「第1類医薬品」を選んでください。「研究用」と表記された製品は性能が確認されておらず、正確な判定ができない可能性があります。正しい結果を得るために、承認された医薬品を用意しましょう。
厚生労働省/新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報
新型コロナウイルスやインフルエンザに対応した一般用抗原検査キットとして、興和が用意している『アンスペクトコーワ』があります。種類は2つあり、どちらも国が承認した「第1類医薬品」です。
インフルエンザも同時に調べたいか、痛みの少ない唾液で検査したいかによって適したキットが異なります。それぞれの特徴を理解し、自身のニーズに合わせて選びましょう。
| 商品名 | アンスペクトコーワW 【第1類医薬品】 | アンスペクトコーワ SARS-CoV-2(一般用)【第1類医薬品】 |
|---|---|---|
| 商品 |
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| 特徴・選び方 | 一度に調べたい派 | 痛くないのがいい派 |
| こんな人におすすめ |
・新型コロナかインフルエンザかわからない ・検査は一度で済ませたい ・鼻の検査に抵抗がない |
・鼻に綿棒を入れるのが怖い(子供など) ・痛みを伴わずにチェックしたい ・まずは新型コロナだけ確認したい |
| 検査できるウイルス | 新型コロナ&インフルエンザA/B型(同時検査) | 新型コロナのみ |
| 検体採取の方法 |
鼻腔ぬぐい液 (鼻の穴に綿棒を入れる) |
唾液 (唾液に綿棒を浸す) |
| 判定までの時間 | 約15分 | 約15分 |
| 検査可能回数 | 1回 | 1回 |
| 使用期限 |
24ヶ月(2~30℃で保管) ※使用期限は外箱に記載 |
使用期限は24カ月(2~30℃で保存) |
| 区分 | 第1類医薬品 | 第1類医薬品 |
アンスペクトコーワWは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスA・B型を一度の検査で同時に調べられる検査キットです。発熱や喉の痛みといった症状が似ている両方の感染症について、15分程度で判定結果を確認できます。
検査方法は鼻の中に綿棒を入れてぬぐうだけで、難しくはありません。検体採取が一度で済むため負担を抑えられ、結果確認までの時間短縮にもつながります。
アンスペクトコーワ(一般用)は、唾液を採取するだけで新型コロナウイルスの抗原を確認できる検査キットです。鼻の奥まで綿棒を入れる必要がないため、痛みに敏感な方や鼻での検査に抵抗がある方でも、無理なく検査を進められます。心理的なハードルが低く、手軽に感染の有無を調べたい方におすすめです。
ただし、検査できるのは新型コロナウイルスのみなので、インフルエンザの検査には対応していません。
第1類医薬品の抗原検査キットによる検査結果は、感染の有無を判断するための補助的な手段であり、医師による確定診断を行うものではありません。また、ネット通販でも薬剤師の確認が必須となるため、スムーズに入手できるよう注意点を把握しておきましょう。
抗原検査キットの結果はあくまでセルフチェックの参考情報であり、医師による確定診断とは異なります。検査で陰性が出たとしても、検体に含まれるウイルス量が少ないなどの理由で検出されないケースがあるため、感染していないと断定はできません。発熱や咳といった症状がある場合は、結果にかかわらず医療機関への受診を検討しましょう。
また、症状がない人が「自分は陰性だ」と証明する目的で使うのは推奨されていません。無症状の段階では、正確な判定が難しいためです。検査キットは体調が悪いときに、次の行動を決める判断材料として活用しましょう。
第1類医薬品である抗原検査キットは、ネット通販であっても薬剤師による情報提供と確認が義務付けられています。 したがって、注文ボタンを押しただけでは手続きが完了しません。多くの場合は店舗から問診メールが届き、回答後に薬剤師からの『使用承諾メール』に返信する必要があります。確認作業を放置すると、商品は発送されず自動的にキャンセルされる場合があるため注意しましょう。
体調の急変は前触れなく訪れます。昨晩までは元気だったのに、朝起きたら高熱が出ているといった事態は、誰にでも起こり得ます。
しかし、感染症のニュースが増えてから準備を始めると、注文が殺到して品薄になったり、配送が遅れたりする懸念があります。
本当に必要なタイミングで手元にない状況を避けるためにも、在庫がある今のうちに家族構成や生活状況に応じて、必要数の確保を検討しましょう。
感染が判明した場合、学校には法律に基づく基準がありますが、会社(社会人)の場合は一律の決まりはありません。「いつから職場に復帰できるのか」は、勤務先によって異なります。
インフルエンザの出席停止期間は「小学生以上は発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と定められています。新型コロナは「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」です。いずれも、2つの条件を満たす必要があります。
社会人には、法律による一律の出勤停止命令はありません。ただし、多くの企業が、学校の基準や、厚生労働省が推奨する「発症後5日間は外出を控える」といった指針を参考にしています。独自の規定を設けている場合も多いため、自己判断で出勤せず、勤務先の就業規則や担当者に確認しましょう。
参照:感染症各論/学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉一般用検査薬(キット)を用いたセルフチェックは、自身の体調管理や医療機関を受診すべきかどうかの判断材料として活用できます。「仕事や学校を休むべきか確認したい」「受診のタイミングを見極めたい」といった初期段階では、キットが役立つでしょう。しかし、高齢者や基礎疾患がある方、妊婦の方など重症化リスクが高い場合、または呼吸困難などの強い症状がある場合は注意が必要です。キットの結果や費用に関わらず、迷わず医療機関を受診してください。最終的な診断は医師が行います。目的に合わせて適切に使い分けましょう。
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