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脱水症は冬も気をつけるべき?知らず知らずのうちに「かくれ脱水」にならないよう、定期的な水分補給で予防しよう

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2023/03/01

脱水症は、熱中症のように真夏になる水分不足による辛い状態をイメージしやすい言葉です。
しかし、冬も「脱水症になりやすい季節」である事実をご存じでしょうか。
空気の乾燥、水分摂取量の低下、感染症による発熱の増加により、冬は脱水症もしくは脱水を自覚できていない「かくれ脱水」になりやすいといわれているのです。
脱水症やかくれ脱水について簡単に解説し、冬の脱水症のサインや、冬の脱水症の予防方法や対策を紹介します。

 

脱水症・かくれ脱水とは

脱水症とは、体内の水分量が正常に満たず、足りない状態です。
そして、「かくれ脱水」とは、気づかないうちに身体に必要な水分が減って、脱水症もしくは脱水症の一歩手前になっている状態なのです。
冬は、乾燥などの要因で脱水症やかくれ脱水になりやすいといわれています。まずは、脱水症やかくれ脱水について簡単に解説します。

脱水症の分類

脱水症は、体液の量・体内の水分量が足りない状態を指します。
大きく分類すると、ナトリウム(わかりやすくいうと塩分)が多く失われて起こる「低張性脱水」と、水分が多く失われて起こる「高張性脱水」の二つに分かれます。
低張性脱水は、下痢や嘔吐や発汗などにより、ナトリウムが多く失われて電解質不足となり細胞外液の水分が保てなくなって起こる脱水です。
高張性脱水は、水分摂取の低下などにより、もっぱら体内の水分量が足りなくて起こる脱水です。

脱水の程度による分類
脱水の程度は、水分喪失量を体重減少量とみて、体重減少の割合により3段階に分類されます。

  • 1.軽度の脱水 3~5%の体重減少
  • 2.中等度の脱水 5~10%の体重減少
  • 3.重度の脱水 10%以上の体重減少

中等度以上の脱水症の場合は、点滴が必要と判断される可能性が高く、重度の脱水症だとほとんどの場合に点滴や入院が必要になってしまいます。

脱水症の具体例

脱水症の症状としては、ナトリウム不足による「低張性脱水」の場合には、だるさや吐き気、けいれんなどの症状が出やすいとされています。
一方、水分不足による「高張性脱水」の場合には、発熱、激しい口渇状態、意識の混濁などの症状が出やすいとされています。
重度の脱水になってしまうと、精神不安定、呼吸困難、腎機能不全などさまざまな症状があらわれ、命にかかわる恐れもあるため、脱水症を甘くみてはいけません。
脱水症により血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気の引き金となる可能性もあるため、注意すべき症状と認識すべきでしょう。

かくれ脱水

「かくれ脱水」とは、自覚のないまま皮膚や呼吸から水分が失われ、脱水症もしくは脱水症一歩手前に陥ってしまう状態です。
脱水症は進行するまで症状が出ない場合も多く、自覚のないかくれ脱水になりやすいといえます。
無意識に体内から相当量の水分が失われる「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」にはとくに注意する必要があるでしょう。

不感蒸泄で大量の水分は失われている
汗や尿といった自覚できる水分の排泄と異なり、無意識のうちに皮膚や粘膜、呼気から蒸発する水分を「不感蒸泄」といいます。
不感蒸泄として、常温安静時に成人だと一日約900ml(皮膚から約600ml、呼吸から約300ml)の水分が失われているとされています。

毎日1~1.5リットルの水分摂取をしないと脱水症になる危険がある

汗や尿の量が少なく水分をあまり体外に排出していない実感があり、たくさん水分を摂取しなくても水分不足にならないはずと自己判断するのは、「不感蒸泄」もあるため危険です。
気づかずに水分不足状態が続き、じわじわと体内の水分量が減ると、ほとんど自覚症状のないまま軽度の脱水症やかくれ脱水になってしまう可能性があります。
人は食事以外で毎日1.2リットルの水分を摂取する必要があると言われており、のどの渇きを感じにくい冬でも、必要な水分量は変わらないのです。

参照:健康のために水を飲もう口座/厚生労働省
 

冬の脱水症の要因、子どもや高齢者はとくに注意

冬に起こる脱水症の特徴として、水分の摂取量の低下や空気の乾燥により、じわじわと慢性的に体の水分量が不足していき、かくれ脱水および脱水症になりやすい点があげられます。
また、冬は風邪やウイルス性胃腸炎を患い、急性的な脱水症になる恐れも高いと考えられます。以下、脱水になりやすい要因についてみてみましょう。

水分摂取量が低下しやすい

水分摂取量が低下しやすい大きな要因は、寒い冬は水を飲んで身体を冷やしたくないと、水を飲むのをためらいがちになってしまう点です。
また、のどの渇きを感じにくいのも冬場に脱水症を引き起こす要因になります。
人は汗をかいている実感からのどの渇きを感じるのですが、寒さと外気の乾燥で冬は汗を感じにくいのです。
さらに、冬はマスクの着用機会が多いのですが、マスクをしていると口内の湿度が保たれのどの渇きを感じにくくなります。
上記の理由から冬はのどの渇きを感じにくくなり、意識して水分を摂るようにしないと、水分摂取量が低下しやすい危険があるのです。

乾燥した空気による身体の水分量低下

冬は気温の低さによって外気の空気が乾燥しやすくなります。また室内もエアコンの使用により、湿度が低くなります。
空気が乾燥していると、皮膚から水分が失われる「不感蒸泄」の量も増え、無自覚に水分が身体から失われやすくなってしまうのです。

風邪やウイルス性胃腸炎を原因とする脱水の危険性

乾燥と低い気温はウイルスが好む環境であり、冬は風邪やウイルス性胃腸炎が流行しやすい季節です。
風邪やウイルス性胃腸炎によって引き起こされる下痢・嘔吐や高熱による発汗を原因とする急性の脱水症にも、十分気をつける必要があるでしょう。

子どもや高齢者は脱水症になりやすい

冬だけでなく、年間を通して子どもは体液バランスや体温の調節能力が未発達のため、気づかないうちにたくさんの水分を失ってしまい、脱水になってしまう可能性が成人より高いとされています。
また高齢者は、体内の水分貯蓄力、体内の水分割合、のどの渇きを感じる能力が低下傾向にあり、脱水症になりやすいのです。
本人の注意だけでは限界があるので、子どもや高齢者に対しては、周りの人間が声をかけてあげて、こまめな水分補給を促してあげる配慮が大切です。

 

冬の脱水症で自覚できるサイン

分かりやすく自覚できる冬の脱水症のサインとして、「カサ」「ネバ」「ダル」「フラ」と短く省略され表現される主なサインを覚えておきましょう。

カサカサ

常に皮膚がカサカサ乾燥しているのを感じるのは、軽度の脱水で起こりやすい状態です。

ネバネバ

脱水の初期段階では、口の中がねばねばとねばつく感覚があったり、食べ物が喉をとおりにくかったりする状態を感じやすくなります。

ダルイ

下痢や嘔吐など「だるい」気分や症状が出ると、塩分を含んだ水分補給が必要な段階の脱水症を疑いましょう。

フラフラ

めまいや立ちくらみまでする場合、重度の脱水症の恐れもあります。水分補給で改善しない場合は、すぐに医師の診察にかかり、判断を仰ぐべきです。

上記のサインや症状を感じた場合には、脱水症かもしれないと判断し、水分補給に努めたり医師の診察を受けるよう手配しましょう。

 

冬の脱水症の予防方法や対策

最後に、冬の脱水症を予防する方法や対策について、いくつか紹介します。

定期的に水分補給をする

のどの渇きを感じていなくとも、1~2時間に一度は水や白湯を飲むようにしましょう。
長時間マスクを着用しなければならない状況でも、定期的にマスクをはずして水分を摂るのが望ましいです。
ただし、カフェインを多く含む飲み物、アルコール、糖質の多い飲み物は、利尿作用を促したり、血糖値が上昇し健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。

乾燥対策をする

部屋の湿度をこまめにチェックする習慣をつけ、加湿器を使ったり濡れタオルや洗濯物を干したりして、湿度を適正な60%前後に保つよう心がけるのがおすすめです。
身体の表面から逃げていく水分を減らす効果だけでなく、乾燥によって活発になるウイルス感染対策の効果も期待できます。

なるべく運動やトレーニングをする

筋肉には水分を蓄える力があり、筋肉は身体の水分貯蔵庫ともいわれています。
筋肉量は多い方が脱水症になりにくいため、運動やトレーニングにより筋肉量を増やしていくのも有効です。
運動により血流が良くなると血栓予防にもなりますし、水分を補給しながら運動やトレーニングに励むのは、優れた脱水症予防方法といえるでしょう。

経口補水液を備蓄しておく

急な脱水の対策として、経口補水液を備蓄もしておくのはおすすめです。
とくに冬に多いウイルス感染症で激しく発汗した際や、下痢や嘔吐があって塩分を含んだ水分補給が必要な際には、適切な食塩量を補給できる経口補水液が最適な飲み物となるでしょう。
経口補水液とは、食塩とブドウ糖を混合して適切な濃度で水に溶かした液体で、普通の水よりも吸収速度が早く、迅速な水分補給に適した飲み物です。
ペットボトルタイプ、水に溶かすパウダータイプ、高齢者向けのゼリータイプなど、さまざまな経口補水液が用意されています。

 
冬は意識して定期的な水分補給をしよう

さまざまな要因から、冬も脱水症に気を付けながらの生活習慣が大切です。
とくに冬場は水分不足状態に気づきにくいため、冬の脱水を予防するにはのどの渇きを感じていなくても定期的に水分補給をする習慣を生活に取り入れましょう。
定期的に必要量の水を飲む習慣には、リラックスを得られたり、血液をサラサラにする働きなども期待できるので、健康を整えるためにも大切です。
気がついたら水分補給を心がけて、冬の脱水症のリスクをすこしでも減らしましょう。

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