管理栄養士ライター広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方への栄養相談や、高齢者への栄養サポート、また赤ちゃんや子どもの食事相談など、幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。わかりやすく実践しやすいコラム執筆や、身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
亜麻仁油の食べ方や使い方をご存じですか?特有のクセがありますが、健康オイルとして注目され、味噌汁やヨーグルトにかけると風味が気になりにくく美味しく食べられます。α-リノレン酸の保有量は植物油の中でもトップクラス。悪玉(LDL)コレステロール値の低下にも期待できます。熱に弱い特徴もあるため、1日の適量を確認し、効果的に使いましょう。亜麻仁油を使ったレシピをチェックし、健康づくりに役立ててください。
亜麻仁油とは亜麻という種子から作られる油です。オメガ3(n-3)系脂肪酸であるα-リノレン酸を含み、いわゆる「健康オイル」として注目されています。 亜麻仁油の栄養成分や体に期待できる注目の機能を詳しく見てみましょう。
亜麻仁油の特筆すべき栄養成分は、オメガ3(n-3)系脂肪酸であるα-リノレン酸です。さまざまな生理機能を持つ脂肪酸ですが、ヒトの体内で作られないため「必須脂肪酸」と呼ばれ、食べ物から摂る必要があります。
α-リノレン酸は、さばやあじなどの青魚に含まれる脂肪酸であり、植物油にはあまり多く含まれません。亜麻仁油の含有量は植物油の中でもトップクラスで、サラダ油の約8.4倍、オリーブ油の95倍もの量です。
ほかにも、オメガ6(n-6)系脂肪酸であるリノール酸や、オリーブ油に豊富であるオレイン酸も含みます。
亜麻仁油に含まれるα-リノレン酸には、悪玉(LDL)コレステロール値を低下させる働きが報告されています。悪玉(LDL)コレステロール値は自覚症状がなく増加し、さまざまな病気を引き起こすリスクとなります。悪玉(LDL)コレステロール値が上昇する原因は、コレステロールの多い食品や肉類や乳製品に含まれる飽和脂肪酸の摂りすぎです。
悪玉(LDL)コレステロール値を低下させるには、α-リノレン酸や食物繊維の摂取が大切といわれています。
亜麻仁油と並んで健康オイルとして知られる「えごま油」。2つの主な違いは、原料です。亜麻仁油は亜麻科の「亜麻仁」、えごま油はシソ科の「えごま」の種子から作られています。
どちらも原料由来の特有の風味がありますが、クセがなくさっぱりとしており、いろいろなお料理によく合うでしょう。亜麻仁油・えごま油の使い方は、同じ方法でOK。後ほど紹介する食べ方を参考にしてみてください。
また脂肪酸の含有量については、下記の表の通り、亜麻仁油・えごま油ともに大きな違いはありません。取り入れやすいほうを選ぶとよいでしょう。
<100gあたりの脂肪酸含有量>
亜麻仁油を取り入れる際は、成分を損なわないための効果的な使い方のコツを知っておきましょう。
亜麻仁油は加熱せずに使うようにしましょう。
亜麻仁油に含まれるα-リノレン酸は熱に弱く酸化しやすいため、加熱調理に向きません。油が酸化するとにおいや風味が変化したり、胸焼けを起こしたりすることがあります。
炒め物や揚げ物の調理や薄力粉や米粉などを使った焼き菓子作りには向かないため、後ほど紹介するレシピのような「お料理にかける」「ドレッシングに使う」という使い方をしましょう。
α-リノレン酸などのオメガ3(n-3)系脂肪酸の1日の目安量は、18歳以上の男性は2.2~2.3g、18歳以上の女性は1.7~2.0gとなっています。亜麻仁油100gあたりではα-リノレン酸を57.0g含むため、約2.8~3.9g(小さじ1弱)が目安の量といえるでしょう。
しかし、オメガ3(n-3)系脂肪酸は、亜麻仁油以外にもさばやあじなどの青魚にも含まれるため、目安量を亜麻仁油だけから摂る必要はありません。
あくまで目安として、食事の一部として取り入れるようにするとよいでしょう。
亜麻仁油を摂取する時間は、とくに根拠のある「効果的な時間」はありません。しいていうなら、朝に取り入れるようにするのはいかがでしょうか。
朝は夜に比べると基礎代謝が高く、太りにくいメリットがあります。亜麻仁油は体によいとはいえ、ほかの油と同等のカロリーを含むため、なるべくなら朝の時間帯にとるのがよいといえます。
太りにくいタイミングがよい場合は、朝に取り入れてみるとよいでしょう。
亜麻仁油は体によいからといって、たくさんとるのは控えましょう。
亜麻仁油は小さじ1杯では36kcal、大さじ1杯では108kcalとなり、とりすぎるとカロリーの過剰摂取につながります。たくさんとればとるほど効果が出るわけではなく、むしろ肥満の原因を作ります。
「何にでもかけて食べる」のではなく、適量を心がけるようにしましょう。
色の濃い野菜と亜麻仁油の相性はバッチリです。亜麻仁油はビタミンA・Eといった脂溶性ビタミンの吸収を助けてくれるため、効率的に栄養素を補給できます。
たとえば、ビタミンAの豊富なにんじんやほうれん草、ビタミンEの豊富なかぼちゃやアボカドを使ったお料理に、亜麻仁油をプラスしてみましょう。
亜麻仁油は独特の風味や苦味のある油です。独特ゆえ「おいしくないのでは?」と思うかもしれませんが、お料理に入れることで風味や苦味が気になりにくくなり、食べやすくなります。また特有の香りは、お料理の風味付けにぴったりです。
製品により風味が異なるため、お好みのものを探してみるのもよいでしょう。
亜麻仁油をおいしく食べられる、おすすめのおいしい食べ方を紹介します。
ヨーグルトにかけて食べると、亜麻仁油のクセが気になりにくく、さっぱりと食べられます。
分量の目安は、ヨーグルト100gに対し小さじ1杯程度です。お好みではちみつやオリゴ糖シロップをかけたり、バナナやキウイフルーツなどの果物を入れたりしてもよいでしょう。
味噌汁と亜麻仁油は相性がよく、脂っこくないため毎日手軽に取り入れられます。
亜麻仁油は加熱できませんが、出来上がって器に盛った味噌汁に、仕上げにかけるようにすればOKです。
普段の味噌汁と変わらずに、サラッと食べられますよ。
手作りのドレッシングを作る際に、亜麻仁油を使うのもおすすめです。あっさりとしていて口当たりもよく、クセも気にならずにおいしく食べられます。
サラダのドレッシング、カルパッチョなど、オリーブ油を使う感覚で亜麻仁油を取り入れてみましょう。
ダイエット中に亜麻仁油を取り入れたい場合は、ほかの油脂を減らしたうえでプラスするようにしましょう。先ほども伝えた通り、亜麻仁油をたくさんとると、カロリーを摂りすぎてしまいダイエットを妨げる恐れがあります。
たとえば、亜麻仁油をノンオイルドレッシングにプラスしたり、蒸し料理にかけたりするのがおすすめ。脂質をカットしつつ亜麻仁油を取り入れられるので、ダイエット中でも安心できる食べ方です。
亜麻仁油はヨーグルトや味噌汁にかけるだけでもおいしく食べられますが、さまざまなレシピに活躍してくれます。簡単に作れておいしい、おすすめレシピ3つを紹介します。
どんな野菜にも相性ぴったりの、亜麻仁油ドレッシングのグリーンサラダのレシピです。
さっぱりとした梅オクラ納豆は、亜麻仁油を入れても違和感なく、さっぱりと食べられます。オクラは不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を同時に摂れ、健康づくりをさらに後押ししてくれるでしょう。
いつもの冷ややっこに亜麻仁油をプラスすると、コクのあるやさしい味わいを楽しめます。
亜麻仁油は豊富なα-リノレン酸を含み、健康づくりに役立つ機能が期待されています。
亜麻仁油はスーパーでも手に入るため、気になる方は一度ぜひチェックしてみましょう。
しかし健康づくりには、亜麻仁油を取り入れるだけでなく、バランスのよい食事や適度な運動を心がけることも大切です。
生活習慣に改善できるところはないかを見直しながら、上手に亜麻仁油を活用しましょう。
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