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「女性特有の鉄分不足」はなぜ起こる?鉄分の役割や1日の摂取量・効率的な補給方法とは

フェムケアFEMICARE
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2023/10/18

最近、人気を集めている鉄分入りの女性向け商品。栄養ドリンクやサプリメントなど数多く登場しています。そもそも「女性特有の鉄分不足」は、なぜ起こるのでしょうか?
鉄分がどのような役割を担っているのかを理解したうえで、女性が鉄分不足になりやすい理由を知っておきましょう。また、1日の鉄分必要量に対する実際の摂取量もお伝えします。最後には、鉄分の効率的な摂り方をご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

そもそも鉄分の役割とは?

鉄分は、私たちが生きるために必要不可欠なミネラルの一つです。人間の体内では、役割別に分けると以下の2種類の鉄分が存在しています。

全身で酸素を運ぶ「機能鉄」

「機能鉄」は全身に酸素を運ぶ役割を担っています。赤血球(血液成分の一種)のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在しており、体内にある鉄分の7割を占めます。

いつでも働けるようにスタンバイしている「貯蔵鉄」

機能鉄が不足したときのために、ストックされている鉄分です。骨髄や肝臓・筋肉などに存在し、体内にある鉄分の3割を占めます。

 

鉄分が不足すると…?

鉄分が不足すると、赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンが減少し、全身への酸素の供給が不十分になります。各機関は、酸素が不足すると正常に機能できません。

鉄分不足により現れる症状

  • ●集中力の低下
  • ●頭痛
  • ●食欲不振
  • ●筋力低下
  • ●疲労感
 

女性はなぜ鉄分が不足しやすいの?

「女性特有の鉄分不足」が起こりやすい理由はいくつかあります。順番に見ていきましょう。

「月経」による血液喪失

女性は、月経による血液喪失により鉄分不足を招きやすいです。
20歳前後の日本人女性を対象とした研究結果では、月経による平均的な出血量は37ml/回でした。月経による鉄分の喪失量は、およそ0.55㎎/日であり、月経による鉄損失を補うためには、月経なしの日よりも3.64㎎/日の鉄分をプラスして補給する必要があります。
また、過多月経(月経血量が80ml/回以上)の場合は、16㎎/日以上も鉄分を補給するよう推奨されているのです。食品のみで必要量を満たすのは難しいため、サプリメントや鉄剤による補給が必要になります。

「妊娠・出産・授乳」による鉄分必要量の増加

女性は、新しい生命を育てるために鉄分の必要量が増えます。多量の鉄分摂取が必要となるため、鉄分不足になりがちです。
妊娠時・出産時・授乳期は、以下の理由から鉄分の必要量が増えます。

妊娠時・出産時・授乳期に鉄分がより必要な理由

  • ●妊娠時:胎児の成長と同時に母体が大きくなり、鉄分の消費量(必要量)が増加
  • ●出産時:分娩による大量な出血に伴い、体内の鉄分を大量に喪失
  • ●授乳期:母乳の原料として鉄分が大量に消費

成人女性の鉄分の推奨量は、6.0~6.5㎎/日(月経なしの場合)です。
必要量の増加に伴い、妊娠初期は+2.5㎎、中期・末期は+15.0㎎、授乳期は+2.5㎎をプラスして鉄分補給するよう推奨されています。

成人女性の鉄分の推奨量

参照:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」/厚生労働省

「女性特有の健康問題」による血液喪失

子宮内膜症や子宮筋腫・子宮がんによる出血がみられる場合は、血液の喪失と同時に鉄分不足を招きます。

 

女性はどれぐらい鉄分が足りていないの?

「女性は鉄分不足」と言われますが、一体どのくらい不足しているのでしょうか。
鉄分の推奨量と日本人女性の年代別摂取量を比較してみました。月経なしの場合は、おおむね鉄分の推奨量を満たしているようです。一方で、月経ありの場合は、全年代で推奨量に届いていません。

鉄分の推奨量と日本人女性における鉄分摂取量の平均値の比較

鉄分の推奨量と日本人女性における鉄分摂取量の平均値の比較

参照:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」/厚生労働省
参照:「令和元年国民健康・栄養調査報告」/厚生労働省
 

効率のよい鉄分の摂り方とは?

「女性特有の鉄分不足」

女性が鉄分を十分に補給するには、食事の見直しが大切です。鉄分は吸収率が異なる「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2つに大別されます。鉄分を効率よく摂取するには、両者の違いを理解して献立に取り入れるのがポイントです。また、鉄分の吸収をさまたげる成分が含まれる食品もあるので、解説していきます。

吸収率のよい「ヘム鉄」を積極的に摂ろう

ヘム鉄は、食品中のタンパク質と結合した鉄分で、動物性の食品に多く含まれています。
吸収率は、10~30%ほどで非ヘム鉄よりも効率的な鉄分補給が可能です。積極的に料理に取り入れましょう。ヘム鉄を多く含む食品は以下のとおりです。

ヘム鉄を多く含む食品

参照:「食品成分データベース」/文部科学省

吸収率の低い「非ヘム鉄」は、サポート成分も一緒に摂ろう

非ヘム鉄は、植物性の食品に多く含まれている鉄分です。吸収率は、1~8%ほどでヘム鉄よりも劣ります。日本人の鉄分摂取の割合は、およそ7割を吸収率の低い非ヘム鉄が占めているとされています。せっかく鉄分の多い食事をしていても、ほとんどが吸収されずに排出されているかもしれません。
非ヘム鉄を吸収しやすくするには、アミノ酸やタンパク質・ビタミンC・クエン酸と一緒に摂るのがポイントです。野菜だけでなく、タンパク質を含むお肉や魚、ビタミンCやクエン酸を含むイチゴやレモンといった果物を一緒に摂るとよいでしょう。非ヘム鉄を多く含む食品は、以下のとおりです。

非ヘム鉄を多く含む食品

参照:「食品成分データベース」/文部科学省

鉄分の吸収を妨げる食品に注意!

食品のなかには、鉄分の吸収をさまたげる成分が含まれている場合があります。
鉄分摂取を重視したいときは、次に挙げる食品は一緒に摂らないようにしましょう。

<鉄分の吸収を妨げる「フィチン酸」を含む食品>

  • ●米ぬか
  • ●玄米
  • ●大豆

フィチン酸は、穀物の外皮に多く含まれます。鉄分を効率よく摂取するには、玄米ではなく白米を、大豆は発酵食品である納豆がおすすめです。

<鉄分の吸収を妨げる「タンニン」を含む食品>

  • ●紅茶
  • ●緑茶
  • ●煎茶
  • ●コーヒー

食事中は、お茶やコーヒーは避けて、水を飲むようにしましょう。

<鉄分の吸収を妨げる「シュウ酸」を含む食品>

  • ●ほうれん草
  • ●たけのこ
  • ●紅茶
  • ●チョコレート

シュウ酸は、いわゆるアクの成分です。アクの強い野菜は、茹でてアク抜きをするとシュウ酸を軽減できます。

 
食事からの鉄分補給は大変…手軽で効率的なサプリメントで上手に健康サポート

私たちが生きるために必要不可欠な「鉄分」。だからこそ、女性が新しい生命を生み出すための準備期間や、妊娠中・授乳中は、とくに鉄分を多く必要とします。
とくに月経がある期間は、食事だけで十分に鉄分の必要量を満たすのは難しく、ほとんどの女性が鉄不足です。鉄不足による不調を避けるためにも、食事で足りない分は、サプリメントで手軽に補給しましょう。ヘム鉄が濃縮されているタイプなら、効率的に鉄分補給ができます。ぜひ、月経期間中だけでも試してみてはいかがでしょうか。

  • 高村 恵美

    管理栄養士ライター高村恵美

    12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
    自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。