看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
ダニ刺されの主な症状は、強いかゆみや赤み、腫れです。蚊の虫刺されと似ており、見分け方が難しいときがあります。両者の違いは刺されやすい部位と発疹の出方です。ダニは、衣類に覆われた皮膚の柔らかい部分を刺します。複数箇所に点在して赤みや腫れが生じる場合も。刺されたときは、ステロイド成分を配合した市販の虫刺され薬が使えます。ただし、マダニに刺されたときは自分で対処せずに、皮膚科を受診してください。
ダニは、昆虫類とは異なるグループに属するクモの仲間です。地球上で2万種類以上いるといわれ、私たちの身近なところに生息しています。動物や植物に寄生するダニや、家の中、土の中に生息するダニなどさまざまです。刺されると、かゆみや腫れが生じたり、人によってはアレルギーを引き起こしたりします。なかでも人を刺すとされているのは、イエダニ、ツメダニ、マダニの3種類です。それぞれの特徴や症状を見ていきましょう。
イエダニは体長0.7mm程度で、ネズミに寄生する吸血性のダニです。5月頃から発生し、6~9月にかけて活動のピークを迎えます。家庭で見られるダニの被害の多くは、イエダニが原因です。二の腕や脇の下、お腹周り、太ももなど皮膚の柔らかい部分を刺すのが特徴で、刺された直後から症状が見られます。主な症状は以下のとおりです。
ツメダニは体長0.7~0.8mm程度で、他のダニや虫をエサにして生息するダニです。本来、吸血はしませんが、誤って人を刺して体液を吸う場合があります。梅雨の時期から秋口にかけて増殖する傾向です。布団やカーペット、畳といった場所に生息しています。
刺された直後は自覚症状がなく、翌日以降に症状があらわれます。主な症状は以下のとおりです。
マダニは、屋外で生息する体長2.0~8.0mm程度のダニです。肉眼で確認できる大きさで、吸血し、満腹になると10~20mmほどにもなります。生息場所は市街地をはじめ、山や河川敷、畑といった野外です。春から秋にかけて活動が活発になり、温暖な地方では、冬も活動します。
マダニは他のダニ刺されより注意しなければなりません。対処法を誤ると、虫の体の一部が残ったり、感染症を引き起こしたりするためです。日本紅斑熱やライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)といった感染症を引き起こすケースがあります。マダニに刺されても、すべての人が発症するわけではありませんが、治療が遅れると重症化する可能性も。主な症状は以下のとおりです。
ダニ刺されと蚊による虫刺されは、どちらも赤みやかゆみがあらわれ、見分けがつきにくいといえます。代表的な違いは、刺されやすい場所と発疹の出方です。症状のあらわれ方は個人差があり、体質や刺された頻度で異なります。
ダニ刺されの対処法は、ダニの種類によって異なります。イエダニやツメダニは、家庭で対処できるケースが多いです。いっぽうマダニには、医療機関の受診が推奨されます。詳しい対処法を見ていきましょう。
イエダニ・ツメダニは、ステロイド成分を配合する虫刺され薬の塗布、患部の冷却、掻きむしらないといった方法で対処できます。
イエダニやツメダニに刺されると、しつこいかゆみや炎症があらわれます。適切に対処しないと、かゆみが長引いたり、色素沈着を起こしたりするため注意が必要です。
刺されたら、ステロイド成分配合の虫刺され薬を使用するとよいでしょう。炎症や腫れをしっかり鎮める効果があります。ステロイド成分は5つのランクに分類され、「最も強い」「とても強い」に該当する成分は医師の処方が必要です。市販薬に配合されているのは「強い」「普通」「弱い」に属するステロイド。プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステルなどがあります。
かゆみを抑えるために、刺された部位を冷やしてみましょう。保冷剤をハンカチやタオルでくるみ、患部に当ててみてください。
かゆみが強いと、無意識に掻きむしってしまうときがあります。掻きむしって肌に傷がつき、治癒の過程でメラニン色素が沈着し、痕(あと)が残るため注意しなければなりません。色素沈着が長く残ると、シミになるケースも。
マダニに刺されたときは、医療機関での処置が推奨されます。自分で取ろうとすると、マダニの体の一部が、刺された人の体内に残る可能性があるためです。吸血中のマダニを触るのも危険です。潰れたマダニの体液中にある病原体が体内に入り、感染症を引き起こすおそれもあります。
マダニに刺された部位は、かゆみや痛みを伴わない場合もあり、吸血して大きくなってから気づくケースが多いようです。
屋内では、ダニの繁殖しにくい環境作りが重要です。こまめな掃除や洗濯、室内の換気、室温・湿度の調整などを行いましょう。それぞれ解説しますので、できる対策から始めてみてください。
室内は定期的に掃除をし、きれいな状態を保つのが重要です。ダニのエサとなる髪の毛やフケが残らないように、ゆっくりていねいに掃除機をかけてください。1㎡あたり20秒以上時間をかけましょう。拭き掃除も合わせて行い、ほこりや汚れを取るようにしてください。洗濯可能な寝具類は、定期的に洗濯しましょう。
室内は換気して風通しをよくしましょう。こまめな換気により、湿気によるダニやカビの発生を防げます。できるだけ対角線となるように、空気の出入り口を2カ所以上作るのがポイントです。
ダニが生息しにくい環境を作ります。梅雨の時期や夏場は、エアコンや除湿機を適切に使用しましょう。ダニが繁殖しやすい条件は、温度25~30℃、湿度60%以上です。
参照:「健康・快適居住環境の指針.健康を支える快適な住まいを目指して.室内の環境整備とアレルゲン対策」/東京都福祉保健局布団は乾燥機を使用すると、ダニの駆除に効果的です。寝具の内部まで高温となり、ダニの繁殖を抑えられます。布団乾燥機を使用した後は、掃除機をかけてダニの死骸を取り除きましょう。
イエダニがいる場合は、宿主であるネズミを駆除する必要があります。ネズミ用のくん煙剤を使用するのも手です。一般的なネズミ用くん煙剤は、ネズミが嫌いな成分を含んでおり、ネズミを寄せつけなくする効果が期待できます。自分での駆除が難しいときは、専門業者に相談してみましょう。
アウトドアやレジャーではマダニに注意しましょう。長袖・長ズボンの着用や虫除けで対策してください。
屋外では長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を避けましょう。シャツの裾やズボンの裾は、衣類の中に入れるようにしてください。長めの靴下や長靴の使用もマダニを避けるために有効です。
参照:「マダニ対策、今できること」/国立感染症研究所昆虫医科学部ディートやイカリジンを含む虫除けスプレーは、ダニ類の付着を防ぐ効果があります。肌の露出がある部位は念入りに吹きかけましょう。靴下やズボンの裾に吹きかけるのも効果的です。
ディートは幅広い虫に対して効果があるとされています。アウトドアやレジャーでは、ディート配合の虫除けがおすすめです。ただし、小児に使用させようとする場合は、保護者等の指導監督のもとで、以下を目安に使用するよう注意喚起されています。
アウトドアやレジャーから帰った後は、マダニが体についていないか念入りにチェックします。上着や作業着は家の中に持ち込まないようにしましょう。入浴してダニがついていないかも確認してください。
イエダニやツメダニによるダニ刺されは、適切なセルフケアで改善が見込めます。しかし、以下のケースは医療機関を受診しましょう。
| 商品名 | ウナコーワエースプレミアムL 30mL | ウナコーワエースプレミアムG 15g |
|---|---|---|
| 商品画像 | ![]() |
![]() |
| 分類 | 指定第2類医薬品 | 指定第2類医薬品 |
| 剤形 |
液体(液剤)
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クリーム(軟膏)
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| 容量 | 30mL | 15g |
| 効能・効果 |
![]() PVAはすぐれた抗炎症作用のアンテドラッグ型ステロイド ![]() 虫さされ,かゆみ,湿疹,かぶれ,皮膚炎,あせも,じんましん |
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| 有効成分 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)、ジフェンヒドラミン塩酸塩、サリチル酸グリコール、l-メントール、dl-カンフル | |
| こんなかゆみに |
★赤み・はれ・ほてり などの 炎症 がある ★掻きむしりたいほどの 激しいかゆみ ★掻いてしまってぶり返すかゆみ |
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| こんな虫刺されに | 蚊・ムカデ・ブユ・毛虫・ダニ・ノミ・クラゲ | |
| 使用上の注意 | これらの医薬品は薬剤師、登録販売者にご相談のうえ、添付文書をよく読んで正しくお使いください。 | |
強いかゆみや炎症に悩まされるシーンで活躍するのが「ウナコーワエースG」です。アンテドラッグ型ステロイド成分であるPVA(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)を中心に、局所麻酔成分リドカインやかゆみ止め成分ジフェンヒドラミン塩酸塩を複合的に配合。これにより、炎症の抑制・かゆみの鎮静・清涼感の付与といった複数の効果が期待できます。
また、破れにくく中身が出しやすいラミネートチューブを採用しており、携帯性と使いやすさの両面に優れた仕様です。
効能・効果:虫さされ、かゆみ、湿疹、かぶれ、皮膚炎、あせも、じんましん
使用上の注意:この医薬品は薬剤師、登録販売者にご相談のうえ、添付文書をよく読んでお使いください。
「我慢できないかゆみ」をどうにかしたいときは、「ウナコーワエースL」がおすすめです。PVAをはじめ、かゆみを伝えにくくするリドカイン塩酸塩、素早く作用するジフェンヒドラミン塩酸塩、そして患部に清涼感を与える2種の清涼成分を配合しています。
特筆すべきは、スポンジ付きのボトル容器。患部に直接塗ることができ、手を汚さずに使える点が特徴です。外出先でも素早く塗布できるので、屋外レジャー時の常備薬としても重宝するでしょう。
効能・効果:虫さされ、かゆみ、湿疹、かぶれ、皮膚炎、あせも、じんましん
使用上の注意:この医薬品は薬剤師、登録販売者にご相談のうえ、添付文書をよく読んでお使いください。
ダニは暖かく、湿度の高い環境を好みます。梅雨の時期や夏は活動が活発になるため、刺されるリスクは高まるでしょう。温度や湿度を適切に保ち、掃除や洗濯をこまめに行うのが大事です。
屋外ではマダニに注意しましょう。近年国内では、マダニによって媒介される重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発症が報告されています。2013年に国内ではじめて確認されて以降、患者数は増加傾向です。感染すると発熱や全身倦怠感、消化器症状を引き起こし、重症化や死亡のおそれもあります。レジャーシーズンは熱中症対策と合わせ、予防対策を徹底しましょう。
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