管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
紙おむつを洗濯してしまうと、ゼリー状となった吸水ポリマーや繊維が洗濯物にへばりついて、それはもう大変な惨事です。誤って乾燥機にかけてしまうと、洗濯機の故障原因になるため、適切な手順で対処する必要があります。
ドラム式とタテ型では方法が異なるため、次回以降も安全に使用していくために、失敗しない掃除法を確認しましょう。自力で排水口やホースの対処が難しい場合は、清掃業者に依頼するのも一案です。
紙おむつを洗濯すると、洗濯物から“パンパンに膨らんだ紙おむつ”が発見されます。
紙おむつがパンパンになる理由は、紙おむつ中にある粒状の吸水ポリマーが水を大量に吸い込み、ゼリー状に膨らむからです。洗濯機が回ると紙おむつが破れ、ゼリー状になった吸水ポリマーや紙おむつの繊維が洗濯物と洗濯槽にこびりつきます。
ティッシュペーパーを洗濯した時以上に大惨事となるのです。
紙おむつを一緒に洗濯しても、落ち着いて正しい手順を踏めば、洗濯物は元通りキレイにできます。まずは、濡れているうちに吸水ポリマーを振り落とすのがポイント。乾いてからも、振り落としたり、粘着テープで対処可能です。
ただし、乾燥機の使用はご法度。吸水ポリマーが乾燥経路に詰まり、故障の原因になるため避けましょう。焦らずに対処するのが大切です。
洗濯機から洗濯物をすべて取り出します。付着した吸水ポリマーが床に落ちてしまうため、かごなどに取り出すようにしましょう。
庭・ベランダ・浴室といった汚れてもよい場所で、付着した吸水ポリマーを振り落としましょう。この段階では、だいたい落ちればOKです。無理に取ろうとすると、余計にポリマーが繊維中に入り込んでしまうため、注意しましょう。
洗濯機に残った吸水ポリマーや繊維を、キッチンペーパーやおしりふきでやさしく拭き取ります。ティッシュは繊維が残りやすいため、避けてください。
手順2を終えた洗濯物を、手順3を終えた洗濯槽内に戻し入れ、洗剤は入れずに「すすぎモード」で洗い、脱水します。柔軟剤を入れるのも一案です。柔軟剤には、静電気を抑える効果があるため、洗濯物に付着した吸水ポリマーが落ちやすくなるとされています。
洗濯物を干します。可能であれば、外干しがおすすめです。
※吸水ポリマーが熱で溶けて付着しやすくなるため、乾燥機の使用は避けましょう。
吸水ポリマーは、乾燥すると粉状になり落としやすくなるため、洗濯物が乾いてから再度除去します。洗濯物を振ったり叩いたり、粘着テープを使用したりして、乾燥した吸水ポリマーを落としましょう。
紙おむつを洗濯してしまったら、衣類だけでなく洗濯機や周辺をしっかりと掃除しましょう。吸水ポリマーの残留を防ぐために、「洗濯物の対処手順」を一通り終えたあと、下記の手順に沿って、洗濯槽や糸くずフィルター・排水ホース・排水口を丁寧に掃除しましょう。
「洗濯物の対処手順」で対処した洗濯物を取り出したら、もう一度洗濯槽を確認して、残った吸水ポリマーを拭き取りましょう。洗濯機のタイプにより、ポリマーが付着しやすい箇所は異なるため、下記をチェックして念入りに拭き取ります。
糸くずフィルターを取り外し、吸水ポリマーやゴミを取り除きます。お使いのメーカー取扱説明書に従い、正しく清掃しましょう。洗濯機のタイプ別に掃除例を紹介します。
部屋干しなら、床に落ちた吸水ポリマーを片付けましょう。水分が含まれているため、掃除機ではなく、ほうきとちり取りで掃除します。
洗濯機の排水口・排水ホースに、吸水ポリマーが詰まっていないか確認します。詰まりがあれば、市販の排水口クリーナーなどを使用して詰まりを解消します。お使いのメーカー取扱説明書を参考にお手入れしてください。
洗濯機に“槽洗浄モード”があれば、3時間ほど運転させて、洗濯槽を洗浄したら完了です。“槽洗浄モード”がなければ、お使いのメーカー取扱説明書を参考に洗濯槽をお手入れしてください。洗濯機のタイプ別に掃除例を紹介します。
インターネット上で検索をすると「紙おむつを洗濯してしまった際の対処法」がたくさんでてきます。しかし、なかには洗濯機のサビれや故障原因になりかねない方法もあるため、注意が必要です。
インターネット上では、紙おむつを洗濯した際の対処法として「塩を入れて洗濯する方法」が多数紹介されています。浸透圧によりポリマーが小さくなるため、取り除きやすくなるのです。しかし、洗濯槽がステンレス製の場合、塩を使うとサビの原因になります。また、溶け残りがあると配管を詰まらせてしまうため、使用は控えましょう。
塩と同様に、洗濯機で紙おむつを洗った際の解決策として「重曹を入れて洗濯する方法」も多数紹介されていますが、おすすめできません。
重曹は、洗剤に比べて洗浄力が劣るため、洗浄力を上げるために量を多く入れてしまいがちです。重曹を多く入れると、溶け残り排水口やホースが詰まる原因につながります。とくに、水質が“硬水”の地方では、重曹を使うと徐々に固形化しやすいため、要注意です。排水トラブルを避けるためにも、重曹は使わないのがよいでしょう。
「柔軟剤を入れて洗濯する方法」もよく紹介されています。吸水ポリマーまみれの洗濯物に柔軟剤を入れてすすぎ洗いをする方法です。柔軟剤の静電気を抑える性質により、洗濯物に付着した吸水ポリマーが落ちやすくなります。
しかし、吸水ポリマーが消失するわけではありません。根本的に解決するには、洗濯物や洗濯機についた吸水ポリマーを取り除く必要があります。洗濯槽に残っていると、詰まりの原因になるため、しっかりと取り除きましょう。
洗濯機内に吸水ポリマーが残っているうちは、乾燥機能を使用してはいけません。高熱で吸水ポリマーが溶けると、洗濯物や洗濯槽内に付着して、取れにくくなります。乾燥機は、完全に吸水ポリマーを取り除いてから使用しましょう。
酸素系漂白剤や台所用漂白剤を洗濯機で使用すると、大量に泡が発生します。水漏れや故障の原因になるため、使わないようにしましょう。
キッチンの掃除で活躍する酢やクエン酸ですが、洗濯槽向けではありません。酸性が強く、サビ・部品の不具合・運転不良につながるため、使用は控えましょう。
ただしメーカーによっては、自動投入のお手入れなどにクエン酸を推奨しているケースがあります。取扱説明書に記載されている濃度に薄めて使用し、お手入れ後は水洗いが必要です。
自分で排水口を掃除しても、詰まりが解消されなければ、「契約先の水道会社」や「清掃業者」へ相談してください。また、自分で排水口のお手入れ方法がわからない時は、「自宅の管理会社」や「ハウスメーカー」に問い合わせましょう。
「紙おむつをうっかり洗濯機で回してしまった…」なんて時も、慌てなくて大丈夫。おむつを洗濯してしまった際の正しい対処法と注意点を、Q&A形式で端的にまとめてみました。焦らずに対処できるよう、再度確認しておきましょう。
まずは慌てず、洗濯物を取り出して吸水ポリマーをできるだけ落としましょう。次に洗濯槽内を丁寧に拭き取り、洗剤を使わずに「すすぎ+脱水」で再洗濯します。衣類が乾いた後は、粘着テープやブラシを使用して残った吸水ポリマーを取り除き、最後に洗濯機のフィルターや排水口清掃も忘れずに行いましょう。
洗濯槽に残った吸水ポリマーや紙おむつの破片を、キッチンペーパーやおしりふきといった、繊維が残らない素材で丁寧に拭き取ります。その後、洗剤を使わずに「すすぎ+脱水」を1~2回行い、吸水ポリマーを洗い流しましょう。
可能であれば“槽洗浄モード”や“空運転”で3時間程度回すと、洗濯槽内部の汚れや残留ポリマーをしっかり落とせます。最後に糸くずフィルターや排水口の確認・清掃も忘れずに行いましょう。
まず、洗濯物を外に干してしっかり乾燥させます。乾くと吸水ポリマーが固まり、衣類からはがれやすくなります。乾いたら、衣類をパンパンとはたいたり、粘着テープで丁寧に取り除きましょう。それでも残るのであれば、洗濯機で「すすぎ+脱水」を1回~2回繰り返すと、おおむね落とせます。
まず洗濯物をすべて取り出し、衣類についた吸水ポリマーを軽くはたいて落とします。次に、ドラム内やドアのガラス、ゴムパッキン部分に付着した吸水ポリマーを、キッチンペーパーやおしりふきで丁寧に拭き取りましょう。
拭き取り後は、洗剤を入れずに「すすぎ+脱水」で1回~2回運転し、残りを洗い流します。仕上げに“槽洗浄モード”でしっかり洗浄し、糸くずフィルターや排水口も清掃してください。
吸水ポリマーが多少衣服に残っていても、神経質になる必要はありません。一般社団法人 日本衛生材料工業連合会によると、「吸水ポリマーは肌に付着しても害はない」としています。紙おむつは、お肌がデリケートな赤ちゃん向けに作られているため、紙おむつが破れた際の安全性にも配慮して作られているようです。
出典:「紙おむつ 軽失禁について」/一般社団法人 日本衛生材料工業連合会紙おむつをうっかり洗濯してしまうトラブルは、誰にでも起こり得えます。とくに、小さなお子さんがいるご家庭では、気づかないうちに洗濯物に紛れてしまう場合もあるでしょう。
予防には、洗濯物を直接洗濯機に入れず、一度かごに入れて仕分けるひと手間が効果的です。また、ポケットの中身をチェックする習慣も忘れずに。ちょっとした工夫で、洗濯の手間やストレスを減らしましょう。
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。