管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
新生児のミルク量は個人差が大きく、足りているかは体重の増加量により判断します。3時間おきの授乳が基本ですが、赤ちゃんは授乳の練習をしながら徐々にリズムをつけていくため、目安通りに飲まなくても過度に心配する必要はありません。はじめは飲み過ぎて吐き戻すときもある一方、ちょっとした環境の変化で飲まなくなる場合も。母乳は吸われる刺激により作られるため、たくさん出ないからと焦らず、混合などで調整していきましょう。
新生児とは、生後28日未満の赤ちゃんを指します。新生児期は、赤ちゃんがぐんぐん成長する大切な時期なので、基本的に欲しがる分だけ与えましょう。
育児用ミルクでの授乳は、飲んだ量が明確なため、目安量に届いていないと心配になりがちです。しかし、赤ちゃんが元気で、体重が増加していれば問題ありません。1日に体重が25g~30gずつ増えるペースが理想とされています。
授乳量は個人差があるため、調乳した量をすべて飲ませる必要はありません。回数よりも1日に飲む量を優先的に考えましょう。
生後1週間頃までの新生児は、授乳の目安量が毎日増えます。飲む量や回数は個人差が大きいため、あくまで目安量です。入院中は医師や助産師といった医療スタッフの指示に従いましょう。
育児用ミルクに記載されている規定量を目安にしましょう。個人差があるため、多少の増減は気にする必要はありません。ただし、量が多過ぎると吐き戻すリスクがあるため注意が必要です。
赤ちゃんの成長スピードには個人差があります。体重に応じて育児用ミルクに記載されている規定量を参考に、適切な量を与えましょう。
赤ちゃんの成長にともない、少しずつ与える授乳量を増やしていきましょう。生後5カ月頃から離乳食が始まったら、授乳量は増やさず、食事からの栄養割合を徐々に増やしていきます。
育児用ミルクは、「思うように母乳が出ない」「赤ちゃんの体重が増えない」といった理由で母乳育児が難しい方に心強いアイテムです。ただし、新生児に与える際には注意点があるため、確認しておきましょう。
育児用ミルク(調整粉乳)は無菌ではないため、体内機能が未熟な乳幼児に与える際には殺菌が必要です。殺菌が不十分な場合、腸炎や髄膜炎など重大な感染症を引き起こす可能性があります。
感染症による死亡症例は、感染した乳幼児の2割~5割にのぼり、死亡に至らなくても、神経障害をはじめとする合併症が継続するリスクも。感染症は、大人でも感染する可能性がありますが、症状はかなり軽症で済むとされています。一方で、生後28日未満の新生児では、高リスクで感染し重症化してしまうため、十分な殺菌が重要です。
原因菌は70度以上で感染力が失われるため、厚生労働省では、70度以上の熱湯を使うよう推奨しています。
熱湯で調乳後、熱いまま与えるとやけどをしてしまいます。必ず人肌程度に冷ましてから、赤ちゃんに与えましょう。
ミネラルウォーターは、ミネラルが多く含まれているため、赤ちゃんの腎臓には負担が大きいです。また、消化不良を起こす可能性があるため避けましょう。
感染症リスクを少なくするために、調乳後は長時間放置せず、2時間以内に飲み切らなかった育児用ミルクは廃棄しましょう。
出産後すぐに始まる授乳は、思い通りにいかない場面も多く、戸惑いや不安を感じる場面が多々あるかもしれません。ママやパパが抱きやすい疑問を一つずつクリアにして、安心して育児に向き合えるようにしましょう。
基本的には赤ちゃんが欲しがったタイミングで飲ませるのが大切です。生まれたばかりの赤ちゃんは、泣いたり顔をしかめたりして「おっぱいが欲しい」とサインを出します。欲しそうなタイミングで授乳すると、赤ちゃんは「伝わった」と安心するのです。
ママの体も、次第にリズムをつかんでいき、だいたい生後6週~8週以降に母乳量を調整できるようになります。赤ちゃんのペースに合わせて、無理なく育児を進めていきましょう。
哺乳瓶の乳首は、母乳に比べて簡単にミルクが出てきやすく、赤ちゃんが勢いよく飲み過ぎてしまう可能性があります。ゴクゴクと空気も一緒に飲み込んでしまい、嘔吐や鼻から逆流する場合があるのです。
さらに、新生児は胃や逆流防止機能が未発達なため、少量でも吐きやすい傾向があります。母乳は吐かないのに、ミルクだけ吐くようであれば、胃の容量以上に飲んでいる可能性も。大量の嘔吐を繰り返す際は、念のため医療機関に相談しましょう。
ミルクは母乳よりも消化に時間がかかるため、基本的には新生児期は3時間おきの授乳が目安です。しかし、赤ちゃんの成長にともない、今までの量では足りなくなる傾向があります。
例えば、100mlで3時間もたないなら、まずは120mLに増やして様子をみましょう。それでも足りなければ、20mLずつ徐々に増やして調整していきます。
ただし、一気に量を増やすと、赤ちゃんの胃腸に負担がかかり、吐き戻しや便秘・ぐずりにつながるため要注意です。元気がない、ぐったりしているといった不調がみられる際は、無理に飲ませず医療機関に相談しましょう。
体重が順調に増えているなら、無理に起こして授乳する必要はありません。新生児は一度に飲める量が少なく、頻回に授乳が必要ですが、ミルクは母乳より腹持ちがよいため、長く寝るケースもあります。おなかが空けば自然と目を覚まして泣くので、ぐっすり寝ているなら、そっとしておいて大丈夫です。
赤ちゃんがミルクを飲まない原因は、一つではありません。新生児はとてもデリケートなため、ちょっとした環境の変化や体調が影響する可能性があります。焦らず、1つずつ原因を確認してみましょう。
メーカーごとに味が違うため、別メーカーを試してみたり、適温(人肌程度)かどうか確認しましょう。
暑過ぎる・寒過ぎる・抱っこが不安定といった理由で、赤ちゃんが不快を感じている可能性があります。不快感によりミルクを飲まなくなるケースもあるため、落ち着ける環境を整えてあげましょう。
哺乳瓶の乳首が吸いにくかったり、口に合わない可能性があります。乳首の形やサイズを変えてみるのもおすすめです。
赤ちゃんが母乳やミルクを飲んだ後にしゃっくりをする光景は珍しくありません。授乳時に空気を一緒に飲み込んだり、急におなかが満たされた結果、胃が横隔膜を刺激しやすくなるために起こります。また、寒さや濡れたおむつで下半身が冷えるのも、しゃっくりが出やすくなる要因です。
しゃっくりが出たら、まずは赤ちゃんの様子をみて、自然におさまるのを待ちましょう。驚かせる、無理にくしゃみを誘う、水を多く飲ませる、うつぶせで寝かせるといった対応は危険があるため避けてください。赤ちゃんのしゃっくりは成長にともない自然と減るため、やさしく見守る姿勢が大切です。必要に応じて、下記の対処法を試しましょう。
新生児は、ミルクが足りないときや飲み過ぎているときに、サインを出してくれます。様子をしっかり観察し、心配なときは迷わず医療機関・専門医に相談しましょう。
混合栄養の場合は、「母乳後に30~40ml程度が目安」です。ミルクを与え過ぎてしまうと、母乳の分泌量が減少するため注意しましょう。また、母乳は赤ちゃんが欲しがる分だけ与えます。ただし、体重が過度に増えていたり、吐き戻してしまう際は、量が多過ぎるかもしれません。
新生児に母乳とミルクを混合で与える場合は、胸の張り具合や生活スタイルに合わせて、母乳と育児用ミルクを使い分けましょう。混合栄養パターンはいくつかあるので、参考にしてみてください。
はじめに母乳を飲ませて、飲み足りない分を育児用ミルクで補うようにします。新生児は、ミルクは欲しがる分だけ与えましょう。
「おっぱいが張っているときは母乳を、張っていないときは育児用ミルクを」というように、母乳が出ないタイミングで育児用ミルクを補うとよいでしょう。例えば、3時間おきに授乳をさせる場合、「朝6時に母乳、9時に育児用ミルク、12時に母乳」といった形で、母乳と育児用ミルクを交互にするとやりやすいです。
母乳は朝は出やすく、夜になるにつれて少なくなる傾向があります。午前中は母乳だけにして、午後から母乳に加えて育児用ミルクも併用するとよいでしょう。
仕事などで授乳が難しければ、日中は保育園などに預けて育児用ミルクを与え、朝・夕は母乳を与えましょう。
母乳には赤ちゃんの成長に必要な栄養が含まれており、育児用ミルクは母乳の代用品として、牛乳を原料に母乳に似せて作られている食品です。年々品質が向上している育児用ミルクは、母乳に不足しがちな鉄分などが強化されており、パパとのスキンシップにも役立ちます。
授乳量が不足していたり、ママが授乳できない場面では、育児用ミルクを上手に活用しましょう。
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