血圧の正常値とは

血圧の正常値は、健康を維持するための重要な指標です。高すぎたり低すぎたりすると、体にも影響を与えます。血圧とは何を意味するのか、血圧の正常範囲について詳しく見ていきましょう。

血圧とは何を意味する？

血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の壁に与える「圧力」を意味します。心臓は血液を全身に行き渡らせるポンプの役割があり、収縮と拡張を繰り返すのが特徴です。
心臓が収縮して血圧が最も高くなるときを「収縮期血圧（最高血圧）」、心臓が拡張して血圧が最も低くなるときを「拡張期血圧（最低血圧）」といいます。
血圧が変動する要因は、体の活動や状態、季節などさまざまです。朝の目覚めとともに上昇し、日中は高く、夜間や睡眠中は低くなるのが一般的。血圧の高い状態が続くと、体への悪影響が考えられます。

血圧の正常範囲

正常血圧は、診察時血圧120/80mmHg以下、家庭血圧115/75mmHg以下が目安です。
健康リスクの判断をするには、病院やクリニックで測定する診察時血圧に加え、自宅で測定する家庭血圧が有用でしょう。家庭血圧は、生活習慣の改善や血圧の長期的な評価に役立つとされています。血圧が高めと感じた場合は、生活習慣を見直すことが大切です。健康的な数値を維持するために、継続的なセルフチェックと習慣づくりを心がけましょう。

2024年に血圧の正常値は変更されていない

血圧の正常値が2024年に変更になったとの話を耳にした方もいるかもしれませんが、実際には変わっていません。一般的には「140/90mmHg以上」が続く場合、注意が必要です。一方、協会けんぽ（全国健康保険協会）では以前から「160/100mmHg以上」を一つの目安として、生活習慣の見直しを呼びかけていました。後者の数値だけが強調されたため、基準がゆるくなったと誤解されるケースがあったようです。
しかし、140/90mmHg以上で生活習慣の改善を行っても高めの数値が続く場合は、早めの対応が望ましいとされています。誤解については、日本高血圧学会でも注意を呼びかけています。

参照：
特定健診における受診勧奨判定値についての正しいご理解を／日本高血圧学会
高血圧治療ガイドライン2019／日本高血圧学会
標準的な健診・保健指導 プログラム （令和6年度版）／厚生労働省

年代別血圧の平均値

20～60歳代の年代別血圧の平均値を見ていきましょう。令和5年の国民栄養・健康調査では表のとおりでした。年齢が上がるにつれ数値が高くなっていくのがわかります。年齢を重ねた方は、たとえ健康診断で指摘されなくても、日頃から注意が必要です。

注1）血圧の測定を行い、身体状況調査の問診において血圧を下げる薬の使用の有無に「無」と回答した20歳以上の者を集計対象とする。
注2）数値は2回の測定値の平均値を用いた。なお、1回しか測定できなかった者についてはその値を採用。

参照：令和5年国民健康・栄養調査「第2部身体状況調査の結果」／厚生労働省

家庭用血圧計の正しい使い方

血圧は、時間や環境などさまざまな要因によって変動します。正しい結果を得るには、使用方法を理解しておくのが重要です。測定値は記録に残しておきましょう。測定のタイミング、測定基準、測定ポイントを解説します。

測定のタイミング

血圧は、毎日決まった時間での測定をおすすめします。起床時と寝る前の測定が望ましいです。また寒すぎると、血圧が上がる要因となるため、冬期間は室温に注意しましょう。

測定手順（上腕式カフ巻き付けタイプ）

測定のポイント

血圧は、リラックスできる環境で測定しましょう。会話によって、血圧が上がる可能性もあるため、他者とのおしゃべりも控えてください。また、排尿や排便を済ませてから測定しましょう。尿意を我慢すると測定値に影響を与えるためです。

血圧を正常範囲に保つための生活習慣

塩分をとりすぎない

塩分のとりすぎには注意しましょう。例えば、インスタントラーメンや漬け物には塩分が多く含まれています。普段よく使う調味料も注意が必要です。日本人の食事摂取基準（2025年版）では、1日あたりの食塩摂取目標量を「男性7.5g未満、女性6.5g未満」としています。調理には出汁やスパイスを使ったり、酢やレモン汁をかけたりして工夫しましょう。

参照：日本人の食事摂取基準（2025年版）策定検討会報告書／厚生労働省

野菜・いも・果物を積極的にとる

野菜や果物に含まれるカリウムには、余分な塩分を体外に排出する働きがあります。積極的に取り入れるようにしましょう。ただし、腎臓の病気がある方は、野菜や果物は控えた方がよい場合もあるので、医師に確認してください。以下は、カリウムを含む野菜・いも・果物です。

参照：食品成分データベース／文部科学省

ストレスをため込まない

緊張やストレスは血圧を上げる要因となります。普段からストレスをため込まないのが大切です。
仕事で休憩するときは、深呼吸やストレッチを行うとよいでしょう。休日は趣味に没頭したり、自然に触れたりするのもおすすめです。定期的にリラックスする時間をとれば、健康的な血圧の維持に役立ちます。

適度な運動を行う

定期的に運動をしましょう。ウォーキングや軽いジョギング、水泳といった有酸素運動や筋トレがおすすめです。毎日30分または、週180分以上を目安に行ってみてください。ただし、無理な運動をすると、つらくなり継続できなくなる可能性もあります。まずは継続を目標にしましょう。

機能性表示食品を活用する

最近では「血圧が高めの方に」などと表示された、機能性表示食品も増えてきました。機能性表示食品とは「事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたもの」です。ただし、特定保健用食品と異なり、国による評価を受けたものではありません。
代表的な成分の一つはGABA（ギャバ）です。GABAには、血圧が高めの方の血圧を穏やかにする機能が報告されています。
あくまで食生活の補助として取り入れ、バランスの取れた食事や生活習慣の見直しも合わせて行いましょう。

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