40歳を過ぎると血圧が高くなる理由
40歳を過ぎると、老化により血管が硬くなり、男女ともに血圧は上昇しやすくなります。さらに、男性・女性に特有の原因もあります。
エストロゲンの減少
女性の体は、若いうちは血管の老化を防ぐ働きをする女性ホルモンのエストロゲンに守られています。そのため、老化の進行は男性より少し遅くなります。ところが、40代・50代に入り更年期を迎えると、エストロゲンが減少して高血圧になりやすいのです。
生活習慣の悪化
高血圧には、二次性高血圧と本態性高血圧の2種類があります。二次性高血圧を引き起こす主な原因は、甲状腺や副腎などの疾患で、睡眠時無呼吸症候群による場合もあります。一方、本態性高血圧の主な原因は、運動不足やストレス・過度の飲酒や喫煙・塩分の過剰摂取といった若い頃からの悪い生活習慣です。肥満や遺伝的体質が関係している場合もあります。
日本人は塩分を摂り過ぎる傾向があり、ほとんどが本態性高血圧に該当すると言われています。とくに男性の場合は内臓肥満をともなう高血圧が多いので、メタボリックシンドロームが進まないように、早めの対処が必要です。
成人の血圧の正常値
血圧の基準値は、年代や性別に関係なく一定です。また、自宅で測る(家庭血圧)よりも、病院で測る(診察室血圧)方が緊張などのストレスがかかりやすいので、数値は高くなる傾向があります。そのため、家庭血圧は、診察室血圧よりも5~20mmHg低い基準値を目安にします。
最高血圧(収縮期血圧)と最低血圧(拡張期血圧)の基準値

出典:高血圧/e-ヘルスネット 厚生労働省
血圧は、食事や運動、ストレスなどの影響によって値が変動するので、たまたま測ったときの値が高血圧に当てはまったとしても、高血圧とは限りません。
年代・男女別による血圧の平均値
血圧の平均値は、年代や性別、血圧を下げる薬を飲んでいるかどうかによって変わります。
血圧を下げる薬の服用者も含めて男女ともに40代から血圧が上昇しはじめ、男性は50代から60代にかけて、女性は60代から高値血圧に達します。
高値血圧は高血圧ではありませんが、正常血圧と比べると体調に影響を及ぼしやすくなるので注意が必要です。
年代・男女別 血圧の平均値(血圧を下げる薬の服用者を除外 単位:mmHg)

年代・男女別 血圧の平均値(血圧を下げる薬の服用者を含む 単位:mmHg)

出典:令和元年「国民健康・栄養調査」の結果 第2部 身体状況調査の結果/厚生労働省
血圧が高いと指摘されたらどうする?
健康診断で血圧が高いと言われたら、生活習慣の改善が必要です。
血圧を下げるためのポイントをご紹介します。
塩分を控えめにする
血圧を正常値に保つのに欠かせないのが、減塩に配慮した食生活です。以下の減塩のコツを参考に、食事を見直してみてください。
1日の塩分摂取量の目安は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満ですが、血圧が高い場合には6g未満です。たとえば、ラーメンの汁を全部飲むと6g近くの塩分摂取になります。日頃、私たちは想像以上に多くの塩分を摂っているのです。とくに外食が多い方は、塩分を過剰摂取している可能性が高いので、食事の摂り方に工夫しましょう。
減塩のコツ
● 麺類の汁を残す
● 味噌汁や漬物の摂取量を減らす
● 新鮮な食材を使い、薄めの味付けにする
● 調味料を使う場合は控えめにする
● ナトリウムの少ない調味料を使用する
● 香辛料や香味野菜、かんきつ類の酸味を利用する
● 外食の回数や加工食品の摂取を控える
出典:高血圧/e-ヘルスネット 厚生労働省
有酸素運動を習慣化する
少しきついと感じる程度のウォーキングやランニングといった有酸素運動を、毎日行いましょう。できれば30分以上、もしくは1回に10分以上継続し、合計で1日40分以上行うのが理想です。運動習慣のない方は無理せずに、軽めの運動からスタートしてみてください。運動時間がとれない場合には、階段を使う・帰宅時に1駅分歩く・掃除や片付けをする…といった日常生活の中で、活動時間を増やすように心がけましょう。
出典:高血圧症を改善するための運動/e-ヘルスネット 厚生労働省
体重を減らす
血圧の高い原因が肥満の場合には、まず体重を減らしましょう。1kg体重が減ると血圧は約1.7~2mmHg低下すると言われています。ただし、急激な減量は体に負担がかかるので、食生活の改善や適度な運動を取り入れながら、無理のないように体重を落としていきましょう。
タバコやお酒を控える
喫煙は、血管を収縮させて血圧を上昇させるうえに、血液の流れを滞らせるので動脈硬化につながります。また、過度の飲酒も血圧を上昇させる原因になります。1日の飲酒量の目安は、純アルコールで20g程度です。
以下のお酒の種類による適量を参考にして、摂取量を調整しましょう。
純アルコール20gに相当する1日の酒量の目安

出典:アルコール/厚生労働省
出典:お酒と健康 飲酒の基礎知識/公営社団法人 アルコール健康医学教会
家庭での正しい血圧の測り方と注意点
朝目覚めたときから、血圧は上昇しはじめます。日中は高くなり、夜間や睡眠中は低くなるのが一般的です。運動・入浴・ストレスなど、日常生活や精神状態によっても変動し、寒さの影響も受けるので、冬の方が夏よりも高くなります。
血圧は状況や環境によって変動しやすいので、「測定の条件を一定にする」「継続的に測る」を心がけて、できるだけ正確な数値を得られるようにしましょう。
測定前の1~2分は安静にする
歩いたり動いたりした後は、血圧は上昇している場合があります。そのため、座って1~2分間安静にしてから測定してください。血圧計は、手首に巻くタイプよりも上腕に巻くタイプの方が、正確な値をとれます。上腕式の場合は、カフ(腕帯)を心臓と同じ高さにそろえ、手のひらを上に向けて椅子に座りましょう。状況によっては、仰向けに寝ながらの測定でも大丈夫です。
毎日同じ時間に測定する
測定する時間を決めましょう。朝は「起床後1時間以内」「排尿後」「食前」「薬の服用前」、夜は「就寝前」が測定するのによいタイミングです。基本的には朝と夜の1日2回測定を行い、平均値をとります。また、仕事中やストレスを感じているときなど、不調時にも測定して、血圧が良好な状態にあるかをチェックしましょう。
数値を記録する
測定した値は記録に残しましょう。できるだけ長期間に渡って記録をとり続けると、血圧の推移を把握でき、医療機関を受診する際に役立ちます。
血圧の変化は自覚症状として現れないからこそ、定期的に測定を
血圧は、高くなっても自覚症状が出ません。しかし、血圧の高い状態を長い間放置すると心臓や血管に負担がかかってしまい、健康状態が悪化する恐れがあります。
血圧は、自分の健康状態を教えてくれるバロメーターです。定期的に血圧を測定して自分の数値を把握し、数値が高くなってきたら食塩やお酒の過剰摂取、喫煙といった生活習慣を見直してください。血圧が高めの人に向けた機能性食品も役立てながら、無理のない血圧対策をして、健康を維持してくださいね。
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