血圧とストレスの関係

血圧とストレスは、私たちの健康に深く関わっています。日常生活で感じるストレスが、知らず知らずのうちに血圧に影響を与えている場合もあるのです。ストレスの定義や血圧が上がる理由を詳しく見ていきましょう。

ストレスとはそもそもなに？

ストレスとは、外部からの刺激が心や体の負担となって生じる緊張状態です。主な要因には、天候や騒音といった環境的要因、睡眠不足や病気による身体的要因、不安や悩みに代表される心理的要因があります。日常生活で起こるさまざまな出来事がストレスを招く可能性があるのです。また、結婚や出産、昇進といった嬉しい出来事もストレスの一因となるときがあります。

ストレスで血圧が上がる理由

さまざまなストレスは、血圧を上げる要因となります。交感神経の働きを活発にさせ、ホルモンの分泌にも影響を及ぼすためです。ストレスの適切な管理が、心と体の健康を保つために欠かせません。

交感神経が活発になるため

ストレスを感じると、私たちの体は交感神経が活発になり、無意識のうちに戦闘モードに入ります。心臓がドキドキしたり、呼吸が速くなったりするのは、交感神経が優位になっているサイン。血管が収縮するため、血圧は一時的に上がるのです。体を守るための大切な仕組みですが、慢性化すると血管にかかる負担が大きくなってしまいます。

ストレスホルモンの影響を受けるため

ストレスを受けると、ホルモンの分泌にも影響が及びます。代表的なストレスホルモンはコルチゾールです。血圧や脈拍を上昇させる働きがあります。ストレスを感じると血圧や脈拍が上がるのは、防御反応の一環です。一時的であれば、コルチゾールの分泌が落ち着き、血圧も次第に下がっていくでしょう。しかし、ストレスが長期間続くと、コルチゾールの分泌が過剰になったり、必要なときに十分に分泌されなくなったりする可能性があります。ホルモンバランスの乱れは、血圧のコントロールに影響を与えるため、日常的な対策が大切です。

仕事のストレスが血圧に与える影響

現代社会において、仕事は私たちの生活の中心であり、同時に大きなストレス源となる場合も少なくありません。仕事や職場のストレスが血圧に与える影響を深掘りします。

現代社会と仕事のストレス

現代社会では、仕事でのプレッシャーや責任、ノルマなど、日々ストレスを感じやすい環境にあります。精神的な負担が続くと、自律神経のバランスが乱れ、結果として血圧に悪影響を及ぼす場合があるのです。たとえば、長時間労働による疲労の蓄積は、体への負担となり、血圧を上げるリスクとなります。

見過ごせない職場のストレス

人間関係や労働環境も大きなストレス源です。上司や同僚とのコミュニケーション不足や、ハラスメントといった人間関係の問題は、精神的な負担を増大させます。不適切な温度や湿度などの物理的環境も、血圧に影響を与えるのです。慢性的なストレスによって、気づかないうちに血圧が上がる恐れもあるため注意しましょう。とくに、職場での血圧は高めで、病院で測ると正常値となる方は、職場ストレスが影響している可能性もあります。心当たりのある方は、将来の健康リスクを高める恐れがあるため、早めの対策が重要です。

不安も血圧に影響を与えるの？

日常生活で感じる不安は、精神的な負担となり、血圧を上げる要因になり得るでしょう。強い不安を感じると、体は緊張状態となり、血圧にも影響を与えます。よくある例は、病院の診察で血圧が高くなるケースです。医療スタッフや医療機器を前にすると、緊張したり不安になったりして、一時的に血圧が高くなります。該当する方は、定期的な血圧測定と、生活習慣の見直しが必要です。

仕事や職業生活でストレスや不安を感じている人は8割

令和5年の「労働安全衛生調査（個人調査）」では、仕事と職業生活において、ストレスや不安を感じている人が多数を占める結果でした。
仕事や職業生活に関する内容で、強い不安や悩み、ストレスとなっていると感じる労働者の割合は、82.7％となっています。ストレスで多い内容3つと割合は以下のとおりです。個人での対策だけでなく、職場全体でのストレスマネジメントが欠かせないといえるでしょう。

参照：令和5年　労働安全衛生調査（実態調査）の結果概要．個人調査／厚生労働省

血圧を健康的に保つためのストレス対策

ストレスの原因を見つける

まずは、ご自身がどんなストレスを感じているのかを把握しましょう。ストレス日誌をつけて、仕事内容や人間関係、生活習慣などから原因を探ります。可能であれば、原因を取り除いたり、物の見方を変えたりする工夫をしてみてください。できていない点に注目するのではなく、達成できている部分に目を向けると、気持ちがラクになるケースもあります。

心身をリラックスさせる

ストレスがたまっているときは、リラックスできる時間を持ちましょう。外で深呼吸をする、景色を眺めるといった簡単な方法でもかまいません。
ウォーキングやジョギングといった有酸素運動も効果的です。運動は体によいだけでなく、精神面にもよい影響をもたらします。ヨガは、意識的に深い呼吸を行うため、リラックスにも効果的な運動です。好きなアロマを利用してお風呂に入ったり、好きな音楽を聴いたりするのもよいでしょう。

規則正しい生活を送る

十分な睡眠時間の確保と規則正しい生活は、血圧を安定させるために重要です。睡眠不足になるとストレスが増し、血圧上昇のリスクにつながります。質のよい睡眠をとるために、寝る前のパソコンやスマートフォンの使用、夕食後のカフェイン摂取を避けましょう。食事は1日3食きちんととり、栄養バランスに配慮するのも大切です。喫煙や過度のアルコール摂取も血圧上昇につながるため、禁煙を心がけ、アルコールは適量にとどめましょう。

サプリメントを活用する

日々の食事に加え、サプリメントで栄養を補うのも選択肢の一つです。GABAには、血圧が高めの方の、血圧上昇を抑える機能があると報告されています。GABAを含む食べ物は、トマトやかぼちゃ、ジャガイモが代表的です。ストレスを感じやすい方の血圧ケアに役立ちます。

カウンセリングや診察を受ける

ストレスが長期間続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなり、血圧の上昇につながります。さらに、「気分が落ち込んでいる」「なにをしても楽しめない」「眠れない日が続く」といった状態が続いているときは、心の不調かもしれません。メンタルヘルスの不調を感じるときは、医師やカウンセラーへの相談が推奨されます。血圧が不安定なときは、体だけでなく心の状態にも目を向けてみてください。

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