季節の変わり目に起こる睡眠トラブルと自律神経の関係
春や秋といった気温差が激しい季節の変わり目に、眠気やだるさを感じる方も多いのではないでしょうか。
近年の研究により、さまざまな心身の不調は自律神経の乱れから起こる場合が多いと判明してきています。
季節の変わり目は、自律神経が乱れて睡眠に悪影響を及ぼすために、眠気やだるさを感じやすいと考えられるのです。
まずは日常生活に重要な役割を果たす自律神経と、睡眠との関係について解説します。
自律神経とは
自律神経とは、末梢神経として全身のすみずみまで伸びる、意識的命令から独立して働く神経です。自律神経の働きにより、意識せずとも呼吸はでき、心臓や内臓が活動するのです。
自動運転装置として、呼吸・消化・吸収・排泄・免疫系などをコントロールしている神経と考えると、わかりやすいかもしれません。
自律神経は、身体活動を向上させるアクセルの役割を果たす交感神経と、身体活動を抑制しブレーキの役割を果たす副交感神経に分かれます。
アクティブになる交感神経とリラックスさせる副交感神経が共によく働き、どちらかに偏りすぎていない状態が、最もバランスよく自律神経の整った状態とされています。
睡眠時には、副交感神経優位のリラックスした状態でないと、質の良い快眠が訪れません。
自律神経が乱れる原因
自律神経は、変化やストレスに弱いと言われています。
季節の変わり目に起きやすく、以下の変化によって、自律神経が乱れてしまうかもしれません。
気温変化による寒暖差疲労
気温の変化が大きいと、自動的に体温調節しようと自律神経が過剰に働いて疲れてしまいます。疲れた自律神経の乱れにより、身体的な疲労まで感じるようになり、寒暖差疲労と呼ばれるのです。
環境の変化による疲労
環境の変化によってストレスがかかると、自律神経は疲れやすいとされています。
進学・就職・異動によって初対面の人との出会いが多く、環境の変化を感じやすい春は、自律神経が乱れやすい季節と言えるでしょう。
花粉症も自律神経を乱す原因となります。
自律神経が乱れると睡眠不足になりがち
自律神経が乱れると、体温調節がうまくいかなくなったり、リラックスして副交感神経優位の状態になりにくくなったりします。
結果として、寝つきは悪く、睡眠も浅くなり、睡眠不足になるのです。
また、自律神経の乱れが悪化すると、自律神経失調症と総称される、疲れやすい・頭痛といった身体的症状およびイライラ・うつといった精神的症状が出てしまう場合もあります。
知らず知らずのうちに自律神経が乱れているかも
自律神経は意識して使っている訳ではないため、自律神経が疲れて乱れた場合でも自分で気付きにくいかもしれません。
睡眠や眠気に関して普段との異変を感じる際には、自律神経の乱れを疑いましょう。長く不眠や体調不良が続くようであれば、睡眠や自律神経に関する専門医に相談するのをおすすめします。
春と秋の眠気の原因
季節の変わり目でも、寒暖差の激しい春と秋は、とくに眠気を感じやすいと言われています。春と秋に感じやすい眠気の原因となる、季節ごとの特徴について、より詳しく考察してみましょう。
春の眠気の原因
春は暖かくなっていく季節で、交感神経の活動が低くなる季節です。
冬は寒さで交感神経が刺激されて目覚めやすいと考えられますが、暖かくなってくると、朝起きた際に副交感神経優位の状態から交感神経優位の状態に切り替わりにくくなるのです。
アクセルがなかなか入らず目覚めにくいため、もっとも朝に眠気を感じるのは春かもしれません。
前述のように、花粉症になったり、就職といったイベントで環境の変化が生じやすいのも春の特徴なので、自律神経の乱れによる睡眠トラブルに最も気をつけるべき季節は春と言えるでしょう。
秋の眠気の原因
秋は、日照時間が段々と減少していくため、精神を安定させるホルモンであるセロトニンの不足を身体が感じやすくなる季節です。
強い光により分泌を促進されるセロトニンが減少するとうつ状態になりやすく、うつ状態では疲れて自律神経が乱れてしまうでしょう。
さらに、睡眠をサポートするホルモンであるメラトニンはセロトニンを原料とするため、セロトニンの不足によりメラトニンまで分泌されにくくなります。
つまり、セロトニン不足は睡眠に悪影響を及ぼし、寝不足になりやすくなるのです。
また夜、想定以上に寒くなっているにもかかわらず薄着のまま寝てしまい、体温調節に失敗しやすいのも秋にありがちなケースです。
暖かくなる春は、就寝中に布団や毛布をはいで温度を調整できる可能性もありますが、秋はそうもいきません。秋は、最も睡眠時の体温調節、冷えへの対策が難しい季節と言えるでしょう。
自律神経の乱れによる睡眠トラブルへの対策
自律神経の乱れによって起こる睡眠トラブルへの対策には何があるでしょうか。
自律神経を整える方法、睡眠の質を向上させて睡眠不足を予防する方法といった、さまざまな対策法や工夫を紹介していきます。取り入れやすい対策法や工夫を、一つでも試してみてください。
深呼吸や簡単な運動で自律神経を整える
鼻から3秒吸って、口から6秒吐く簡単な深呼吸をするだけでも、自律神経は整うとされています。また軽い運動は、神経伝達物質を刺激し血流が促進され、ストレス解消につながるため、自律神経を整えるのによいと言われています。
首や耳を温めて自律神経を整える
首や耳には自律神経が集まっており、温めると自律神経を整えるのに効果的とされています。ホットタオルを首や耳にあてて温めてみましょう。
朝や昼間に日光浴をする
朝に日光を浴びると交感神経が刺激されて優位になり、しっかり目覚めやすいでしょう。
また、朝や昼の日光浴によりセロトニンの分泌が促されます。セロトニンは精神を安定させ、メラトニンの分泌にもつながるため、睡眠の質の向上が期待できるでしょう。
食生活を工夫する
セロトニンを生成するのに必要な栄養素である、ビタミンB6・トリプトファンを意識して摂取してみるとよいかもしれません。
バナナ、まぐろ、かつお、チーズ、豆腐、納豆などの食材がおすすめです。寒くなる季節には、ニラ、ネギ、にんにく、しょうがといった身体が温まる食材を使った鍋が冷えへの対策となるでしょう。
朝に白湯やホットコーヒーを飲む
朝に白湯やホットコーヒーを飲んで、腸を朝から刺激するのは、自律神経を整えるのによいとされています。ホットコーヒーは、交感神経の働きを活性化して腸の冷えを改善するだけでなく血流促進も期待できるので、おすすめです。
夜スマホや明るい照明を避ける
ディスプレイに使われているブルーライトや、明るい照明を避けると、夜寝る前に交感神経が活発になってしまうのを防ぐ効果があります。
SNSの見すぎもストレスを感じる要因になるため、できるだけ寝る前にスマホに触らないよう心がけましょう。
寝具・香りで睡眠の質を上げる
寝具を見直し、季節にあった布団を用意したり、快適なマットレスを使う工夫は、睡眠の質を高めてくれるでしょう。
アロマを利用して寝る前にリラックスする香りを嗅ぐと、副交感神経が優位になって眠りやすくなるかもしれません。
寝る前にお風呂に浸かる
夜に38℃~40℃の少しぬるめの湯に10分~15分浸かると、副交感神経が刺激されて副交感神経優位の状態になりやすく、睡眠の質を高めてくれます。
短時間の昼寝をする
15分~30分程度の昼寝は、副交感神経を刺激してリラックスするのに有効です。
忙しく活動的な現代人は、交感神経優位の状態が長すぎると言われているので、適度にリラックスした状態を作るよう意識すると、自律神経を整えるのに役立つでしょう。
季節の変わり目には
「自律神経を整える」意識を
もって生活してみよう
自律神経は、体調不良に関わる神経として最近よく耳にする言葉です。
無意識に働く神経なので、自分でコントロールするのは難しく感じる場合も多いでしょう。
自律神経のバランスを自覚しながら改善するのは難しいからこそ、自律神経の整いやすいとされる行動の習慣化が、一番よいのかもしれません。
自律神経が整うと、季節の変わり目の眠気やだるさの改善が期待できます。朝晩の気温差の激しい時節に眠気やだるさを感じた場合には、自律神経の調整を意識してみてください。
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