フィットネス・健康ライター渡邉 輝
米国公認パーソナルトレーナー資格保有の「理系フィットネス・健康ライター」。
「健康は人生を豊かにする」をモットーとしており、健康の大切さを世の中に発信するためにライターとして活動中。実体験・研究論文(英語含む)・書籍から得た情報を参考に、日々記事を執筆している。ベンチプレスなどの重さを競う「パワーリフティング」の選手としても活躍中。
血圧が高い状態で日常生活を送ってしまうと、血管に負担がかかり体に支障をきたしてしまうリスクが上がります。運動は血圧を下げるだけでなく、高血圧の要因となる肥満の防止につながるため、日々の健康を保つために重要です。ただ、あなたに合った運動や強度、頻度を理解しないまま始めると、筋肉や関節を痛めてしまうかもしれません。
適切な運動と条件を把握してから、日常生活に取り入れてみましょう。
血圧が高い状態のまま日常生活を過ごしてしまうと、ある日突然体に異常をきたす可能性が高くなります。より長く健康を維持して生きていくために、運動習慣を取り入れ血圧を下げていきましょう。
まずは、「血圧が高い」状態について確認しましょう。
日本高血圧学会が提示している「高血圧の基準(家庭血圧)」は、以下表のとおりです。
参考:厚生労働省「高血圧」
日本国民のおよそ2人に1人が該当する高血圧。放置すると、血管へ負荷がかかり続けます。血管は食事から摂取した栄養素や呼吸で得られる酸素を運ぶ重要な部分なので、固くなったり狭くなったりすると、体への負担がどんどん大きくなるのです。
健康な体を保つためにも、血圧は常に正常値を保つ必要があります。
運動をすると交感神経が活発になるため、運動強度に比例して血圧も一時的に上昇します。
ただ、運動を続けると自律神経のバランスが正常に近づき、血管が広がりやすくなるため、血圧は徐々に低下していきます。
血圧を下げるための運動は「有酸素運動」と「レジスタンス運動」の2種類に分かれます。あなたの生活状況に合った運動から始めてみましょう。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、動きやすい服装とシューズを用意するだけで始められるため、運動習慣のない方におすすめです。いきなり高強度の運動(筋力トレーニング)から始めると、筋肉や関節を痛めてしまう可能性があります。
また、有酸素運動は低・中強度の運動なので、血圧の上昇は緩やかですが、高強度の場合、血圧が急上昇してしまうため、血管や心臓への負荷が強くなってしまいます。
運動を始める際は、ウォーキングやジョギングから始めてみましょう。
血圧を下げるためにも有酸素運動は1日合計30分(できれば20分以上連続)、最低週3回以上実施しましょう。有酸素運動を20分以上連続で実施すると、エネルギー源が体脂肪に変わりやすくなるため、内臓脂肪減少にもつながるのです。
毎日運動するのが困難な方は、掃除・通勤・買い物などの日常動作を少し変えてみましょう。
レジスタンス運動は、基礎代謝を上げて太りづらい体を作るために重要です。肥満になってしまうと、インスリンの分泌量が過剰になってしまい、血圧を上昇させてしまうのです。
レジスタンス運動で基礎代謝を上げると、日々の消費カロリーも増えるため、太りづらい体に近づきます。ただ、レジスタンス運動は血圧が急上昇しやすいので、すでに血圧が高い方は、医師の許可を得てから始めるようにしましょう。
レジスタンス運動は負荷を与えて筋繊維(筋肉)を損傷させるトレーニングなので、2~3日筋肉を休ませる必要があります。
効率的に全身を鍛えるためにも、以下のメニューを週2~3回ペースで実施しましょう。
運動習慣がない方や有酸素運動と並行して実施する予定の方は、無理のない範囲でレジスタンス運動を取り入れてみましょう。
運動前後は怪我防止のためにストレッチを忘れずに実施しましょう。ストレッチを飛ばしていきなり有酸素運動やレジスタンス運動を始めてしまうと、ちょっとした動作で筋肉や関節を痛めてしまい、治るあいだ運動ができない体になってしまうかもしれません。
また、運動による疲労を蓄積させたまま寝てしまうと、筋肉が固くなり、翌日以降の怪我のリスクが上がります。
運動前は「動的ストレッチ」、運動後は「静的ストレッチ」を実施しましょう。
ストレッチを運動前後に実施すると、筋肉や関節の可動域が広がったり、筋肉に溜まった疲労が取れたりして、パフォーマンスの向上や、怪我の防止につながります。
血圧を下げるためにも、定期的に運動を行いましょう。今回は1970年代のヒット曲「学園天国」に合わせた3分エクササイズ動画を紹介します。音楽に合わせて体を動かせるエクササイズなので、楽しみながら運動をしたい方におすすめです。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgのひとの場合)
活動強度:6.8METs / 運動時間:3分 / 消費カロリー:21.4kcal
1セット3分間と短いエクササイズながら、腕や足を大きく動かす動作で構成されているため、1セットでも疲労を感じるボリュームとなっています。
特に後半(1:53~)からはスクワットも含まれているため、筋肉にもしっかり負荷を加えられます。
一つひとつの動作が大きいため、ストレッチをせずにいきなり始めてしまうと、筋肉や関節を痛める恐れがあります。
エクササイズを実践する前に、肩周りや脚の筋肉を「動的ストレッチ」でほぐしてあげると、ケガの防止やパフォーマンス向上につながります。
1セットでも十分な運動量を確保できるエクササイズですが、2セット以上行うと、心肺持久力や基礎代謝の向上に期待できます。
血圧を下げるのはもちろん、健康な体を維持したいと考えている方は、ぜひエクササイズを2セット以上行ってみてください。
血圧を下げる方法は運動だけではありません。ここからは高血圧予防のために日常生活で意識したいポイントを紹介します。
食塩(ナトリウム)を摂りすぎてしまうと、血液中の塩分濃度を一定に保つための血液が増えます。多くの血液が必要になると、心臓から血液を流す力(血圧)も強くなってしまうのです。
日本で推奨されている食塩摂取量は以下のとおりです。
参考:厚生労働省「高血圧」
麺類の汁や調味料はもちろん、加工食品や外食にも食塩は多量に含まれています。
食品の「食塩含有量」を確認したり、調味料を香辛料に変えたりして食塩摂取量を減らす意識をもちましょう。
血圧を下げるためには、主食・主菜・副菜のバランスを考えた食事を心がけるのが大切です。バランスのよい食事で「何を」「どれだけ」食べたらよいかをわかりやすくコマのイラストを用いて示したのが食事バランスガイドです。
平成17年(2005年)6月に厚生労働省と農林水産省によって、食事バランスガイドが策定されました。
三大栄養素はもちろん、ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取量が不足すると、体の不調の原因につながりかねません。また、必要な栄養素が不足すると、血圧が上がってしまう可能性もあるのです。 食塩含有量やカロリーを考慮して、主食、主菜、副菜のバランスを整えましょう。
血圧を下げるためには睡眠時間を確保しましょう。睡眠不足は集中力の低下や日中の眠気を引き起こすだけでなく、食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌量が低下してしまいます。さらに食欲を増進するホルモン(グレリン)の分泌量が増えるため、食べすぎに発展してしまうのです。
食べすぎは過剰な塩分摂取、肥満の元になるので、血圧を下げるためにも睡眠時間は確保しましょう。個人差はありますが、6~8時間を目標にするとよいでしょう。
血圧は食事以外の生活習慣でも上昇する可能性があります。
血圧が最近上がってきた方、すでに高血圧ラインに突入している方は、一つひとつ取り除いていきましょう。
運動には血圧を下げる効果はもちろん、肥満予防や脳内の神経伝達物質の働きを整えて、心身をリラックスさせる効果もあります。運動には私たちの生活を充実させる重要な働きが複数存在するのです。
1日10分でもよいので、運動習慣を日常生活に取り入れて健康的な生活を送りましょう。
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