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【医師監修】ビタミンC過剰摂取による体への影響は?目安量を把握し、肌荒れ・風邪予防効果の真相に迫ろう

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2025/05/23

ビタミンCは過剰に摂取しても、余剰分は排泄されるため、基本的に健康を害す心配はありません。しかし、サプリメントや強化食品で一度に多く摂取する場合は、腹痛・吐き気・下痢を招く可能性があります。また、腎機能に障がいのある方は腎結石になるリスクや、肝炎ウイルス感染者は鉄の吸収促進による悪影響が報告されているため、要注意です。美容や健康によいからと摂りすぎず、適切な量を把握して賢く補給しましょう。

  • 成田

    監修医師成田 亜希子

    2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
    臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。 国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。 現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。

 

ビタミンCを摂りすぎるとどうなる?

一般的に、ビタミンCは過剰摂取しても重篤な副作用はないとされています。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」でも、耐容上限量(健康被害をもたらすリスクがないとされる上限の摂取量)は定められていません。
とはいえ、どんな栄養成分も摂りすぎには注意が必要です。ビタミンCの摂りすぎによる影響を、詳しくみていきましょう。

参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2025年版)

食事からの過剰摂取は心配なし

厚生労働省の資料では「通常の食品を摂取している者で、過剰摂取による健康障害が発現したとの報告は見当たらない。」と記載されています。通常、ビタミンCを過剰に摂取しても消化管からの吸収率が低下して尿として排泄されるためです。
キウイフルーツ(黄肉種)やパプリカといった、ビタミンCが豊富な食品の食べすぎを懸念する方もいるかもしませんが、ビタミンCを食品から過剰に摂取しても、調子が悪くなる可能性は極めて少ないとされています。

参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2025年版)
参考:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

腎機能に障がいのある方は腎結石に注意

腎機能に障がいのある方は、ビタミンCを過剰に摂取すると、尿中へのシュウ酸や尿酸の排泄量を増加させ、腎結石を招く可能性があります。とくに、高シュウ酸尿症を基礎疾患に持つ方においては、ビタミンCを過剰に摂取すると腎結石発症率が上昇するのです。腎臓でできた結石が尿管に移動すると、尿管結石と呼ばれます。
また他の研究においては、ビタミンCを1日30mg~1000mg摂取しても尿中へのシュウ酸排泄量が増加しなかったとの報告もあり、ビタミンC過剰と腎結石発症の関連性は明らかではありません。

参考:厚生労働省|ビタミンC

肝炎ウイルス感染者は肝がんに注意

肝炎ウイルス感染者がビタミンCを過剰に摂取すると、肝がんリスクが上がると報告されています。ビタミンCは鉄の吸収効率を高める働きがあり、肝臓に鉄が蓄積すると、酸化ストレスや炎症が生じるため、肝がんリスクが上昇するのです。

参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター|野菜・果物および抗酸化物質摂取と肝がんとの関連について
参考:九州大学|肝臓の過剰な鉄が肝臓がんを引き起こす仕組みを解明 -肝臓がんの新たな予防法・治療法開発に期待-

サプリメントでの過剰摂取は腹痛・吐き気・下痢に注意

通常、一般的な食事からの過剰摂取は心配ありませんが、サプリメントや栄養補助食品による摂取量には注意が必要です。一度に多量を摂取すると、腹痛・吐き気・下痢といった胃腸症状があらわれる場合があります。
厚生労働省では、通常の食品以外から1日に1000mg以上ビタミンCを摂るのは推奨できないとしています。

参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2025年版)

摂取量が増えるほどビタミンC吸収率は下がる

「美容のためにどんどんビタミンCを摂ろう!」と、サプリメントや野菜・果物を必要以上に摂取しても、実はあまり意味がありません。実はビタミンCの吸収率は、摂取量が増えると低下するからです。
ビタミンCは吸収率が高く、1日200mgまでであれば90%ほどが体内に取り込まれます。しかし、1日1000mg以上を摂取すると吸収率は50%以下に下がるのです。せっかく摂取したビタミンCを無駄にしないために、摂取目安量を把握して賢く補給しましょう。

参考:青森県立保健大学|リンゴ果汁によるビタミンC吸収促進作用の解明
 

ビタミンCの摂取目安量と過剰摂取の目安は?

厚生労働省は、ビタミンCの摂取目安量を「12歳以上で100mg/日」としています。一方で「ビタミンCを摂りすぎても健康被害のリスクがない」と考えており、摂取上限は設けていません。では、過剰摂取になる目安はどう判断すべきでしょうか。
参考になる指標は、アメリカで定められている摂取上限量です。全米アカデミー医学研究所の食品栄養委員会は、食品とサプリメントを合わせた許容上限摂取量(UL)を下記のように定めています。


参考:Office of Dietary Supplements Health Professional Fact Sheet on VitaminC|ダイエタリーサプリメント室、ビタミンCに関する医療者向けファクトシート
参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2025年版)
 

ビタミンCの摂りすぎはよくない?噂の真相

ビタミンAをはじめとする脂溶性ビタミンは体内に蓄積されるため、過剰に摂取すると、吐き気や頭痛といった過剰症が起こる危険性があります。一方で、ビタミンCをはじめとする水溶性ビタミンは大半が体内に蓄積されないため、過剰症の心配はほとんどありません。
しかし、「ビタミンを摂りすぎるとよくない」といったイメージが先行するあまり、ビタミンCの過剰摂取にもあらぬ憶測が飛び交っています。よくあるビタミンCに関する噂の真相を追求してみましょう。

ビタミンCを多量に摂れば風邪予防できる?

ビタミンCは免疫を正常に働かせるために不可欠ですが、たくさん摂れば風邪予防や症状緩和につながるわけではありません。
1日にビタミンCを1000mg以上摂取しても、すべては吸収できずに尿として排泄されてしまうため、風邪や健康増進に対する大きな有効性は認められていないのです。
一方で、毎日200mg以上を継続的に摂取している方は、風邪をひいても早く治る傾向がみられるため、毎日不足しないように摂取しましょう。

参考:日本経済新聞|ビタミンCサプリの過大評価、誤解生んだノーベル賞学者

ビタミンCを摂りすぎると肌荒れする?

ビタミンCの摂りすぎにより、肌荒れやニキビを引き起こすリスクはありません。むしろビタミンCは、肌のハリや弾力づくりに欠かせないコラーゲン合成や、皮膚のバリア機能に関与しているため、不足すると肌トラブルを招きます。

ビタミンCを朝から摂りすぎると日焼けする?

ビタミンCを朝から摂取しても、日焼けには結びつきません。「ビタミンCを摂りすぎると日焼けする」といった噂は、柑橘類に含まれる成分「ソラレン」の性質をビタミンCと混同して広まったデマだと考えられます。ソラレンは紫外線の吸収率を高める働きがあり、日焼けやシミ・くすみの要因になる場合も。グレープフルーツ・レモン・パセリといった食品にソラレンは含まれていますが、日焼けに影響を与えるほどの量を一度に摂るのは現実的ではないため、過度に不安になる必要はありません。ソラレンとビタミンCは全く別の成分であり、ビタミンCを摂取しても日焼けを助長する心配はないでしょう。
反対に、ビタミンCには紫外線により肌で発生する活性酸素を除去し、肌の健康を守る働きがあります。日焼けによるシミ・ソバカス・炎症を防ぐサポートをするため、積極的に摂りましょう。

 

妊娠中や授乳中は、ビタミンCの必要量が増える

妊娠中や授乳中の女性は、赤ちゃんの健やかな成長を支えるために、1日の推奨量100mgにプラスしてビタミンCを多く補う必要があります。
付加量は、妊婦では新生児の壊血病予防に有効とされる1日10mgを。授乳中は母乳のビタミンC濃度や乳児の基準哺乳量・体内利用率を考慮して、1日45mgが推奨されています。
産前産後の食事では、ビタミンCを含む果物や野菜を積極的に摂取しましょう。食事から十分に摂取できない場合は、サプリメントを活用すると手軽です。

 

ビタミンCをサプリメントや栄養補助食品で摂取するポイント

ビタミンCはデリケートな成分であるため、サプリメントや栄養補助食品を何気なく摂取していると、せっかくの有用性を半減させてしまう可能性があります。ビタミンCの性質を理解したうえで、量やタイミング・水温を工夫して効率よく補給しましょう。

1度に多量を摂取しすぎない

ビタミンCは、少量ずつ摂取するのが理想だとされています。理由は大きく2つ。1つ目は、一度に多量のビタミンCを摂取すると、下痢や嘔吐といった胃腸症状を起こす可能性があるためです。
2つ目は、ビタミンCは体内に蓄積しておけないためです。一度に多くのビタミンCを摂取してしまうと、余った分は体外に排出されてしまいます。ビタミンCを無駄なく体内で作用させるには、1日のうち複数回に分けた摂取が望ましいのです。

空腹時の摂取は避ける

空腹時にビタミンCを摂取すると、胃腸に負担をかけてしまう場合があります。また、ビタミンCは体内に貯めておけないため、空腹時に摂取しても余った分は体外に排出されてしまいます。サプリメントや栄養補助食品からビタミンCを摂取する際は、食後のほうがゆっくりと吸収されるため、効率よく補給できるでしょう。

サプリメントは水またはぬるま湯で飲む

ビタミンCサプリメントは、水またはぬるま湯で飲みましょう。ビタミンCは熱に弱い性質のため、熱湯でサプリメントを服用するのは避けた方が無難です。
また、水道水に微量に含まれている塩素は、ビタミンCを破壊する働きがあると報告されています。気になる方は、沸騰させたお湯を冷ました水や浄水器を通した水で服用しましょう。

参考:一般社団法人|水道水中に含まれる塩素はどれくらいビタミンCを壊す?
 
調理法を工夫して効率よくビタミンCを摂ろう

食品からビタミンCを効率よく摂取するには、野菜や果物をミキサーにかけてジュースにしたり、すりおろして摂る方法がおすすめです。
水溶性ビタミンであるビタミンCは、水に流出してしまうほか熱にも弱いため、水にさらしたり、加熱調理により減少してしまいます。また、ビタミンCは植物を形成する硬い細胞膜中に存在するため、細胞膜を破壊したほうが吸収率がよくなるのです。
ただし、空気に触れると酸化して、抗酸化作用を失います。切ったリンゴを放置すると切り口が茶色くなる現象は酸化している証拠です。レモン汁や酢・塩を微量加えると酸化を遅らせられます。
野菜や果物を十分に摂取できない日は、サプリメントや栄養補助食品を活用して、不足しないように心がけましょう。

 
監修医師からのアドバイス

ビタミンCは水溶性のビタミンであり、たくさん摂っても体に蓄えておくことはできません。不要な分は尿とともに排出されます。そのため、ビタミンCはたくさん摂っても問題ないとされていますが、腎機能が悪い人は尿管結石になるリスクが高くなることが示されていますので注意が必要です。

どんな栄養素にも言えることですが、一つの栄養素を極端に偏って摂ることはおすすめできません。健康を維持するにはバランスよく必要な栄養素を摂ることが大切です。ビタミンCには一日あたりの摂取上限量は定められていませんが、食事やサプリメントなどから摂取するのは一日あたり1000mg程度に抑えておくようにしましょう。

ただし、たばこの煙はビタミンCを破壊することが分かっており、喫煙者は非喫煙者に比べて多くのビタミンCを摂取する必要があります。喫煙者で肌荒れなどに悩んでいる人はビタミンCが不足している可能性があります。禁煙したり、たばこの煙を避けるのが最も良い対策ですが、喫煙者や周囲に喫煙者がいる人はより多くのビタミンCを摂るように心がけましょう。